NPO法人「SUPLIFE」を取材。エンターテイメントを通じて分断された社会をひとつに!

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近年、「多様性」「ダイバーシティ」という言葉をよく目にしたり、聞いたりする機会が増えました。しかし、その意味をきちんと理解できているかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

今回は、個性が共存する社会を目指して活動するNPO法人「SUPLIFE(サプライフ)」代表の井田 美保さんにお話を伺いました。

井田さんは、お子さんの障がいの告知をきっかけに、この社会が分断されていることに気がつき、活動を開始しました。

多様性やダイバーシティに関心がある方は、ぜひご一読ください!

  1. 当事者になって気づいた「分断された社会」
  2. 毎年3月に渋谷で開催「バディーウォーク東京 for all」 
  3. 予期せぬことばかりの子育てだからこそ、楽しんで欲しい

当事者になって気づいた「分断された社会」

SUPLIFE

―本日はよろしくお願いいたします。はじめに、「SUPLIFE」がどのような団体なのか概要をお聞かせください。

井田 美保さん(以下、井田):「SUPLIFE」は、障がいのある子どもと、障がいのない子どもをエンターテインメントで繋ぐ活動をおこなう団体
です。

私には娘が2人いますが、次女を出産した2日後に医師から、「ダウン症の可能性があります」と仮告知をされて、目の前が真っ暗になりました…。

1ヶ月ほど思い悩み、葛藤していたときに思い出したのは、ダウン症のある幼なじみでした。

その子だけではありません。異なる障がいや病気の友だちがいて、幼い頃は一緒に遊んだり、子どもの足だと1時間もかかる田舎道を、毎日学校まで一緒に登校したりしていました。

でも気づけば、私のまわりからその子たちはみんないなくなっていたんです。

子どもの頃は障がいのある友人と“共に”生きている気がしましたが、次女の障がいが判明して、いざ自分が当事者になったときに、私たちが生きているのは「分断された社会」だということに初めて気づいたんです。

そういえば、毎日一緒に登校していた友だちとも、学校へ着くと“分断”されていました。特別支援学級は校舎も別だったんですよ。

その“見えない壁”を取り除くために、私にできることはないか…。そう考えたときに「歌・音楽を通じて、障がいのある子とない子を繋いでいく」ことを思いついたんです。

というのも私は子どもの頃から歌が好きで、ユニバーサルミュージックから歌手デビューも果たし、ずっと大好きな歌を歌っていたんです。

ひとりで活動を開始し、続けていくなかで、いろいろな出会いがあり、お手伝いをしてくださる方や賛同してくださる方が徐々に増えて「SUPLIFE」が誕生しました。

SUPLIFEは私が歌手活動をしているときに使っていた名前で、サプリメントとライフ(生活)からとった「生活に元気や癒しを」という意味込めた言葉です。

私に多くの気づきを与えてくれた次女は小学校1年生になり、通常級に通っています。

しかしそれは容易なことではなく、教育委員会からは「学校へ行くのはお母さんではないですよ。苦労するのは誰だと思っているんですか?」と言われたこともあります。

子どもの頃の大事な約10年を共に育ち合わず、お互いが何も知らずに大きくなっていく。

何がダイバーシティ・多様性なんだろうという大きな疑問を感じるんです。この分断された社会を少しでも変えていきたいですね。

毎年3月に渋谷で開催「バディーウォーク東京 for all」 

SUPLIFE

ー「バディウォーク東京 for all」について教えてください。

井田:バディウォーク(Buddy Walk)はもともと、アメリカ発祥のダウン症の人と一緒の歩くチャリティーイベント
です。

日本ではNPO法人アクセプションズさんがバディウォーク東京として8年間イベントを開催し、
9年目からは私たちがバトンを受け取り運営しています。

私にとってダウン症はきっかけでしかありません。あらゆる障がいのある子とない子を繋ぎたくて活動しているので、バディウォーク東京に“for all”=すべての人を加えたんです。

すべての人というのは、もちろん障がいのある人も、ない人も含めてすべての人です。

毎年、東京都と渋谷区から後援していただき、代々木公園のケヤキ並木通りで開催しています。

ダウン症は21番目の染色体が3本あるので、毎年3月21日が世界ダウン症の日なんです。

それにちなんでたわけではありませんが、毎年3月に開催していて、2023年も3月25日(土)に開催することが決定しています。

歌やダンスのステージをはじめ、カルチャーエリアでのワークショップ、アクティブエリアでのユニバーサルスポーツ体験、販売ブースなどを計画中ですので、遊びに来ていただけたら嬉しいです。

過去のイベントや、来年度のイベントに関しましては、公式ホームページをご覧ください。

予期せぬことばかりの子育てだからこそ、楽しんで欲しい

SUPLIFE

ー今後開催予定のイベントなどありましたら、教えてください。

井田:
バディウォーク東京では、もともと渋谷のスクランブル交差点から宮下公園周辺の公道を歩いてたんです。多いときは1,000人近い人が参加していましたね。

ところが、コロナ禍で大勢で歩くのが難しくなってしまったんです…。

そこの代わりに、渋谷の街をゴミ拾いをしながら参加者が絆を深められるような機会を設けたいと思っています。

子どもたちとゴミ拾いをすることがありますが、子どもたちにとっては、落ちているものを探すまるで宝物探しのようで、結構楽しみながら拾ってくれるんですよ。


―最後に読者の方へ向けてのメッセージをお願いいたします。

井田:
私の娘は通常級に通っていますが、本当は通常級へ入れたかったけれど、周囲からの理解も得られるかわからない、安心して通わせることができないといった理由で、支援学校や支援学級を選択されたというたくさんの方にお会いしました。

今の社会では、共に生きたいと願っていても、共に生きられない選択をせざるを得ないというのが現状です。

私たちの団体に遊びに来てくだされば、障がいのある・なしの壁もなく、歌って踊って、楽しんでいただけることをひとりでも多くの方に知っていただきたいですね。

SUPLIFEは、障がいのある子とない子たちが、大人になってからの心の壁をなくすことができるように、互いを知り合っていける環境づくりをこれからも続けていきます。

思い通りにいかないことばかり、予期せぬこともたくさん起こるのが子育てです。

子どもが成長するにつれて、子どもも親も本当にいろいろな壁にぶつかると思いますが、よいことも大変なことも、ご家族で楽しんでいただけたらと思います。

私たちのイベントにも、ぜひ遊びに来てください!

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!


■取材協力:NPO法人SUPLIFE