現在、がんの発症率は2人に1人といわれており、身近な病と考える方も多いのではないでしょうか。
「がんのママをささえ隊ネットワーク ETERNAL BRIDGE」では、がん患者である方と、その子どもたちに対し生活のなかでサポートすることを目的に、活動をおこなっています。
今回は、副理事長の金城 舞さんにお話を伺いました。
ご家族の支え方、また子どもたちへのケアについてぜひご一読ください。
家族の包括的支援を
ー本日はよろしくお願いいたします。まず「
がんのママをささえ隊ネットワーク ETERNAL BRIDGE」の活動内容を教えてください。
金城 舞さん(以下、金城):私たちは、子育て中にがんになったお母さんとそのお子さん含めて、家族全体の包括的な支援活動をしています。
子育ては、色んな側面で大変さがでてくるものですが、子育て中にがんになってしまうと、がん治療からの身体的な負担、経済的な負担、精神的な負担がそこにプラスでのしかかってきます。
治療による辛さから子育てをする余裕がなくなったり、副作用を抱えながらの子育てにイライラしてしまうこともあります。
そのストレスがお子さんに向かったり自分に罪悪感を感じてしまう人も多いです。治療と子育ての両立は難しい局面の連続なんです。
また、治療と子育てを両立するための支援は、今の医療システムには少ないのが現状です。
そこで私たちは、そのお母さんたちを生活のなかで支援していきたいという想いで活動しています。
1つめは、お互いの辛さを分かち合うためのピアサポートとして開催する「かたり場」です。
ここでは託児保育をセットにし、子育て中のお母さんがより参加しやすくなるように工夫しています。
ほかにも、親子で楽しく参加できるお料理、コンサート鑑賞、味噌づくり、ウォーキングや、講演会や写真展などまでさまざまなイベントを毎月開催しています。
2つめは、抱える悩みを打ち明けられる場として用意しているのは、「SOSメール相談」です。24時間対応なので、いつでも不安になったときにメールで相談していただくことができます。
皆さんからは「心の浄化とリフレッシュが出来ました、自分だけで考えては頭が固くなり、日々の生活が苦しく溺れている感覚に陥ってしまいます。それがゼロになりまた今日から再スタートできます」
「久しぶりにイベントに参加しましたが、皆さん温かく迎え入れてくれてとても嬉しかったです、今回は子どもへの伝え方について悩んでいましたが、色々な方法があるのを聞け安心材料が出来ました」
など、多くの反響をいただくことができ、とても嬉しく思っています。
親子の絆を深める緩和ケア
ー続いて、「残されてしまう可能性がある子どもたちへの支援」について教えてください。
金城:活動をつづけていくなかで、がんだと診断されたあと闘病中のすべての時間に、親子で向き合い、一緒に歩むことが重要なのではないか気づかされました。
最期の時間やその後の絆が確かなものになっていくのではないかと思ったのです。
ですから、万が一お母さんに何かあったとき、残されたご家族はお母さんの想いとともに生きていける、そういう繋がりをつくっていきたいと考えています。
闘病中に親子でいかに濃密な時間を持てるのか、が重要になってきます。
私たちは、家族に対する緩和ケア、家族関係の緩和ケアというかたちで、お母さんがお子さんや家族に望むことをサポートをしたり、家族写真を撮るサポートをしたりしています。
支える側も支えて欲しい側も一歩踏み出してほしい
ー今後、開催予定のイベントなどの告知があれば教えてください。
金城:がん治療中は、食事に対して余裕がなくなってしまう傾向があります。
“お母さんの味”を一緒に作ることで、お母さんの想いや味を感じながら、一緒に生きていけるのではないかという想いを込めています。
日本の手作り伝統食も取り入れながら、2022年10月は「親子で味噌づくり」を予定しています。
また、来年3月には、がん患者さんが元気になるようなマルシェの開催を予定。
その他にも月に一度イベント開催ができるよう、詳細が決まり次第、SNS、インスタ、Facebook、ホームページでそれぞれ紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ー最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
金城:ご自身ががんであることを、周りに言えずにいるという方は多いと思います。
私たちは、例え子育て中にがんになることがあっても、周りの温かい支援があれば何とか向き合っていくことが出来ると考えています。
自分に何かあったときでも、お子さんがお母さんの想いや愛情を感じながら、お母さんと共に生きていく力になると思います。
子どもの生きる力を育むために一番大切なことは、ご家族からの愛情表現です。ご家族で、多くのコミュニケーションを取りながら、過ごしていただきたいですね。
支える側も、支えて欲しい側も、是非、そういう一歩を踏み出してください。
ー本日は、貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:がんのママをささえ隊ネットワーク ETERNAL BRIDGE