世界には生まれた国や環境の違いから、当たり前の生活や教育のもとに育つことができない子どもが数多く存在することはご存じでしょうか?
今回は海外里親プロジェクトや、国内での国際交流に力を入れる「NPOみらいフォスターリエゾン国際機構」理事長の片庭 慶子さんにお話を伺いました。
海外に興味がある方、社会問題に関心のある方は、ぜひご一読ください!
日本国内外の子育て環境を支援!
―本日はよろしくお願いいたします。はじめに、「みらいフォスターリエゾン国際機構」の概要をお聞かせください。
片庭 慶子さん(以下、片庭):
みらいフォスターリエゾン国際機構は、生まれてくるすべての命が守り育まれる“地域文化作り”を目指して活動するNPOです。
大きくわけて国内と海外での活動があり、海外では「海外里親プロジェクト」への取り組み。日本国内では「里親制度」の普及活動と「国際文化交流」の促進。この3つが私たちの活動の柱です。
このNPOを発足する以前から、私がパーソナリティをつとめるラジオ番組で、各国大使をお迎えし、さまざまな国(とくに日本人になじみの薄い国々)の情報発信をしてきました。
そして、NPO発足後から「各国の子育て環境」にテーマを切り替え、それぞれの国でのスタンダードな子育て環境や、親のいない子どもたちはどのように育てられているのか。また、孤児への国民の考え方や制度についてなどお聞きしています。
その活動のなかで私自身、世界にはいろいろな考え方や生き方があること、まさに多様性を知りました。そして皆さんにも知っていただきたいと思うようになったんです。
500円からできる海外里親としての支援
―海外での「里親プロジェクト」について、詳しく教えてください。
片庭:私たちは現在、モンゴルの経済的・社会的な問題でもある貧困に苦しむシングルマザー家庭の子どもたちに対して、日本人が「里親」になり経済的支援をするというプロジェクトをおこなっています。
里親といっても支援金額の設定は月500円から。500円/1000円は「海外里親プロジェクト」の活動自体を支援していただくことに充てさせていただいています。
そして月額3,000円/5,000円はモンゴルのお子さんひとり、10,000円はお子さん2人の里親になっていただきます。
経済支援というほどの大きなお金ではないかもしれません。しかし、このプロジェクトのパートナーである現地のコーディネーターの方は、親御さんに「この支援金で子どもが笑顔になるものを買ってあげてください」と伝えてくれています。
支援金額によって“リターン”の内容に違いはありますが、共通しているのは「里子家庭からのレポート」です。
現地のコーディネーターが毎月里子家庭にヒアリングした内容をまとめ、1年に2回レポートとして、支援者の方々にお届けしています。
レポートといっても文字だけのものではなく、イラストや写真なども添えられたもので、なかには、支援金で買った物の写真や、購入したしたクレヨンで描いた家族の絵を送ってくれる子も。
その家族の絵のなかに、「日本のお父さんやお母さん」が登場していることもあって、受け取った里親さんには大変喜んでいただいています。
支援者の方たちにとっても、自分たちが支援したお金がどのように使われているかは一番知りたい点ではないでしょうか。
自分の支援が「届いている」「喜ばれている」という実感が、支援してよかったという気持ちに繋がるのではないかと思っています。そのためも、これからもレポートには力をいれていきます。
モンゴルに里子ができたことで、モンゴルの家庭ではどんな日常を送っているのか、どんな行事があるのか、どんな景色が広がっているのかなどをレポートを通じて知ることができます。
そのため、「モンゴルの文化を知ることができて嬉しい。国際交流という意味でも支援以上のリターンをいただいています」と言ってくださる支援者も少なくありません。
そして、希望者には現地のコーディネーターに通訳として入ってもらい、オンラインでの交流する場も持っていただけます。
海外里親プロジェクトの実施国は、現在はモンゴルだけですが、今後インドネシア、カンボジア、ベトナムなど。私がもともと仕事をしていて繋がりがある東南アジアの国々を中心に横展開していきたいです。
10月4日は「里親の日」
―今後開催予定のイベントや、寄付の呼びかけなどがあればお願いいたします。
片庭:毎月第1土曜日の10時30分~、レインボータウンFMのラジオ番組として、“片庭慶子のThe World Express!”を放送しています。
各国の駐日大使や、日本国内の子育て環境や里親制度に取り組む団体や施設の方などをゲストにお招きしてお話をお聞きしています。
コロナでなければゲストでお越しいただいた大使の方たちと、大使館イベントなどの国際交流会をおこなう予定だったのですが…。
アフターコロナにはそうしたイベントも積極的におこなっていきたいと思っています。
ラジオ番組はFM放送だけでなく、インターネット環境があればどこからもでも聴くことができます。
江東区豊洲にあるスタジオは外から見えるオープンスタジオですので、お近くの方はぜひ遊びにいらしてください!
また、私たちがおこなう「海外里親プロジェクト」では、海外の子どもたちや、その家族と関わることで今まで知らなかった国と繋がりをもつことができます。
海外に興味がある方や、社会問題に関心のある方には、非常によい楽しい機会となるはずです。
ホームページに支援方法・参加方法を載せていますので、ぜひ見てください。
―最後に読者の方へ向けてのメッセージをお願いいたします。
片庭:日本国内にも「里親制度」はありますが、あまり知られていないというのが現状です。
日本では、実親と暮らせない子どもが、施設で暮らす割合が約8割。里親や養子縁組で受け入れられ、家庭で過ごす子どもは約2割にとどまっています。
海外の例を見ると、イギリス・アメリカなどは約7割、オーストラリアにおいては約9割もの子どもたちが「家庭」に受け入れられて育っているといいます。
日本も諸外国にならった数値目標を示していますが、なかなか国民に広く知られていないですよね。こういったことに少しでも関心をもち、まずは「知って」いただくきっかけ作りをしていきたいですね。
10月4日は「里親の日」。10月は里親月間ということで、行政や他団体の動きや情報発信を、さらに広げるお手伝いをしたいと思っています。
私たちの団体の国内での子育て環境への取り組みは、ひとつはラジオ放送を通して、さまざまな状況・環境下での多様な子育てのスタンダードを発信することです。
これからも、子育てはやり方も答えもひとつではなく、多様な考え方やアプローチがあっていいと、聴いてくれた人の気持ちが少し楽になるような発信を続けていきたいです。
また、コロナ禍で児童館が閉まっていた時期に、なんとか子育て中の方と繋がれる場を作りたいと立ち上げたオンラインの児童館「みらいキッズ」もあります。
子育てお役立ち情報を配信しており、ワークショップや座談会にもインターネットに接続ができれば、どこからでも参加することが可能です。
みらいキッズの公式LINE、公式Instagramをぜひフォローしてください。
さまざまなジャンルの講師にご協力いただき、保護者の方向けのイベントを開催していますよ。
お気軽に参加していただけると嬉しいです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:NPOみらいフォスターリエゾン国際機構