近年さまざまな学習塾がありますが、本当に信頼のおける塾はどこなのか、不安や疑問を抱えている保護者の方も多いかと思います。
そこで今回は、学習塾の信頼性の確保や健全な教育環境の発展に尽力している公益社団法人「全国学習塾協会」会長の安藤 大作さんにお話を伺いました。
利用者が安心して塾を選び、通えるように“学習塾認証制度”といった塾の信頼性やサービスの質を担保する取り組みをおこなっています。
お子さんの塾探しや教育に不安を抱えている方は、ぜひご覧ください。
塾業界の高い信頼性を目指して
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、公益社団法人「全国学習塾協会」について概要をお聞かせください。
安藤 大作さん(以下、安藤):全国学習塾協会は、塾業界で唯一、経済産業省や文部科学省などの教育にかかわる省庁や、議員の先生方とのやりとりの窓口を担っている法人です。
塾業界に対しての現場からの要請や声を行政にあげる橋渡しをしています。
利用者との適正な契約やアルバイト講師の契約の制度をつくったり、学校教育の手の届かないところを塾業界全体で請け負って公教育との連携を図ったりするなど、塾業界の社会的価値を高めるための役割も。
適正な契約や運営を目指し、私たちの活動にご理解をいただいた意識の高い学習塾さまに多く加盟いただいております。
また、我々の活動でみなさんが馴染みのあるところでいうと、「全国読書作文コンクール」の開催があります。
現場の声をまとめるといった本来の仕事内容とは少し離れているかもしれませんが、公益社団法人を取得する前の社団法人のころから続けているいわば伝統行事です。
ー「認証制度サポート」についてお聞かせください。
安藤:認証制度サポートは、生徒が安心して通塾したり、講師が安心して働いたりできる、利用者とスタッフが安心できる適切な措置を講じる事業者を審査する第3者認定制度です。
塾業界をクリーンな業界として社会的価値を高めるためにも、適正な契約を結べているか否かを精査できる制度を設けています。
もちろん、これは講師にも同じことがいえます。非常勤の多い業界なので、非常勤講師の方々にも安心して働いていただくための労働契約の認証も同様におこなっているんです。
塾に通っている子どもたちに、この塾なら安心だと思っていただいて、行政や国からも、全国学習塾協会があるから安心だと思っていただけるように、認証制度が業界の土台固めの一環となるよう運営しております。
年に一度の塾の日シンポジウムを3年ぶりに開催
ーイベントやセミナー、寄付のご案内などの告知があれば教えてください。
安藤:近頃おこなった大きなイベントですと、塾の日シンポジウム仙台大会を2022年10月9日(日)に開催いたしました。
また、公益社団法人への寄付は、常に募集しております。
寄付をお考えの方は、公式ホームページをご覧ください。
なお、公益社団法人に寄付をいただきますと、法人の場合、税率控除などのメリットがあります。
そちらに関しても、同様にホームページに掲載させていただいているのでご一読ください。
子どもたちのよりよい教育環境のために
ー最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
安藤:全国学習塾協会は、ご家庭の大切なお子さんや保護者の方々に安心して塾に通っていただけるよう、今後さらに加盟塾を増やしてまいります。
そして、加盟いいただいている学習塾さまには、子どもたちが安心して通えるための情報を、これからも発信し続けていきたいです。
保護者の方やお子さんからすると、あまり馴染みのない団体なので、接する機会は少ないかもしれません。
しかし、このような団体もあるということを知っていただいて、少しでも安心して塾に通っていただければと思っております。
また、安心感を得るだけでなく、これからの国の教育行政や教育環境がよりよいものになっていくように、民間教育のなかでも中心的となって行政に働きかける活動をしております。引き続き、よりよい教育環境の実現に努めていく所存です。
私たちが目指すのは、この国のなかでよりよい塾が増えることによって、子どもたちが健やかに成長できる未来。
塾の運営においては、許可や資格が必要なく、誰でもいつでもどこでもできてしまうので、業界として大きなリスクも抱えています。
塾が子どもを守るべきなのに、予期せぬ事態が起こってしまう場合も。そのようなことが起こった場合、国は「塾が悪い」と塾を全面的に非難してしまいます。
そうなると、事を起こした塾はほんの一部なのに、大多数の一生懸命やっている塾までもが、そのあおりを受けて正常に営業できなくなってしまう可能性もあるでしょう。
今の時代、子どもの心を支える塾や親代わりになってくれる塾など、さまざまな塾があります。
学校には馴染めないけれど塾でなら頑張れるという子どもも多くいます。そういう子は塾がなくなってしまうと困るわけです。
塾が無くなると困るのは、大人たちではなく子どもたちなんですよね。
保護者の方々が、学習塾協会に入っている塾を選ぼうという利用者マインドになってもらえれば、必然的に選ばれる塾になるよう、選ばれる側の塾が努力するはずなんです。
そういう意味でも、学習塾協会の存在を、より多くの保護者さまに知ってもらうことは、よりよい教育環境のため、そして何よりも子どもたちのためになるのではないかと思っています。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:全国学習塾協会