自然体験といっても、ご家庭で何をすればいいのかわからないという方も多いことでしょう。
「公益社団法人 大阪自然環境保全協会」には、子どもから大人まで楽しみながら自然環境の保全に取り組むことのできるコンテンツが揃っています。
今回は、子どもたちが参加できる活動について、事務局長の木村 進さんにお話を伺いました。
この記事では、自然体験で子どもの心を豊かにする秘訣をご紹介していきます。
大阪に豊かな自然を取り戻したい
ー本日はよろしくお願いいたします。始めに、大阪自然環境保全協会について教えてください。
木村 進さん(以下、木村):大阪自然環境保全協会は、大阪の失われつつある豊かな自然を取り戻し、可能な限り良い状態に保つことを目的に活動しており、1976年創立で50年近くの歴史があります。
当初は大阪にある自然保護団体同士で集まり、「自然を返せ!関西市民連合」として活動をしていました。
しかし、1976年に社団法人となり、現在は公益社団法人として活動をおこなっています。
現在会員数は800名ほど、正規会員のほかに、協力会員や家族会員、子どもを対象としたジュニア会員などの制度を導入。
さまざまな角度からご協力いただいている状況です。
「ジュニア会員」は中学生以下を対象として年会費500円で入会が可能です。(入会するとフィールドノートや図鑑、会員証や缶バッチなどの新入会グッズをお送りします。)
また、月2回の自然に関する「メールニュース」、2ヶ月に1回の「イベントニュース」を配信し、参加者を募集するかたちですね。
このような取り組みを含めて、当会ではさまざまな活動をおこなっていますが、より気軽に参加いただける「自然観察会」を用意しています。
当会には、大阪各地に約30の観察会グループがありますが、どのグループも、
子どもたちが自然に触れる機会を少しでも増やせるよう、自由に参加できるような観察会ですね。
また、自然を学ぶという分野において、初心者向けから上級者向けまで多くの方に受講いただける7種類の「講座」を開催。
近年は、新型コロナウイルスの影響で休止している講座もありますが、情勢が落ち着き次第、本格的に再開を進めています。
こうした講座を通じて、関心を深めていただくと共に、大阪の自然が今どういう実態でどこに問題があるのか、どうすれば守っていけるのかを実践的に学ぶことができます。
この学びから、各地の興廃した里山で不要な下草や低木を伐採したり、植樹で再生したり、実際の保全活動に加わっていただくことに繋がってほしいですね。
また、大阪の自然の実態を明らかにするために、生息している生き物を調査する「調査活動」もおこなっています。
絶滅危惧種の生息状態調査結果を大阪府に提供してレッドリストの参考にしていただいています。
専門的・学術的調査のほかにも、家の近くに自生するタンポポを調査し、身近な自然の変化を学べる「タンポポ調査」も当会で体験することができますよ。
季節ごとのテーマで楽しむ“観察会”
ー続いて「大阪府内での観察会」の具体的な活動内容を教えてください。
木村:観察会は、月1回ペースで開催していることが多いです。
大阪城公園や鶴見緑地などのほかに、近隣の公園で開催するケースもありますが、小学校低学年以下は原則保護者の方の付き添いをお願いしていますね。
夏にはセミ羽化ウォッチング、秋にはどんぐり工作、冬はカモウォッチング、春にはタンポポ探検隊など季節によってテーマを設けています。
このほかにも、各グループが独自のやり方で身近な公園や少し遠い里山や海岸での観察会を各地で実施していますよ。
参加してくれた子どもたちからは、「虫を捕まえて先生が喜んでくれて嬉しかった」「セミの動きがよくわかって面白かった」
「蟹の名前が知れて良かった、初めて蟹を捕まえて楽しかった」などの素直な感想が寄せられており、私たちもとても嬉しいです。
小学校高学年にもなると、海での観察会でプラスチックゴミを拾い環境問題に向き合ってくれる子どもたちも多いのです。
「どう流れてきたのか、これからゴミを捨てちゃダメ。リサイクルしようと思った」などの感想も寄せられていますね。
子どもたちの自然体験というのは、一生の宝物だと思います。
子どもたちが大人になり、親となった時にまた子どもたちを連れてきてくれるように、もっと自然に親しみをもってもらえるように、一つ一つ積み重ねて活動していきたいですね。
自ら発見する力を手助け
ー最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。
木村:今後もさまざまなイベントを開催予定です。詳細は公式ホームページからご覧いただくことが可能ですので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
昨今、子ども時代の身近な自然体験が減ってきています。
私は、子どもたちに対し「虫を触ることができる?」という独自アンケートを30~40年続けているのです。
以前は「触れない」と答えた子どもは6%でしたが、現在は22%に増えています。(高校生では何と60%の生徒が触れないと答えています。)
こうした苦手意識が、自然の重要性に対する認識が薄れることに繋がっているのだと感じています。
子どものころから自然と触れ合うことは、新しい発見となり心が豊かになります。一番大切なことは自ら発見する力です。
私たちが探し方のポイントなど手助けをしていくので、ぜひ一度観察会を体験しにいらしてください。
そして自然の面白さを体験していただいて、この美しい自然を守らなければいけないということに気付いていただけたら嬉しいです。
ー本日はありがとうございました!
■取材協力:公益社団法人 大阪自然環境保全協会