国立科学博物館といえば、展示会などさまざまな取り組みをされていることで有名ですが、「自然史セミナー」をご存知でしょうか。
今回は、自然史セミナーの詳細をはじめとする国立科学博物館の魅力について、学習課の原田さん、熊野さん、広報担当の鳥谷さんにお話を伺いました。
子どもの探求心を育みたいとお考えの方はぜひご一読ください。
国立唯一の総合科学博物館で学ぶ自然史セミナー
画像提供:国立科学博物館
ー本日はよろしくお願いいたします。まず、国立科学博物館について教えてください。
鳥谷さん(以下、鳥谷): 国立科学博物館は、1877(明治10)年に創立された、日本で最も歴史のある博物館の一つであり、自然史・科学技術史に関する国立の唯一の総合科学博物館です。
日本及びアジアにおける科学系博物館の中核施設であり、主要な三つの活動(調査・研究、標本・資料の収集・保管・活用、展示・学習支援)を推進。
これらの活動を上野本館(日本館(重要文化財指定)・地球館)、筑波地区の実験植物園や研究施設、さらに港区白金台地区の附属自然教育園(天然記念物及び史跡指定)の三地区で展開しています。
ー続いて、「自然史セミナー」について教えてください。
原田さん(以下、原田):国立科学博物館の「自然史セミナー」は、自然史に関する専門的な知識、研究法等について講義や実習、実験等を通して理解を深めることを目的とした講座です。
動物、植物、地学、人類学等の分野を中心に、毎回異なる様々なテーマを扱います。講師は国立科学博物館の該当分野の専門の研究員が努めます。
コロナ禍に入ってから開催を休止していましたが、ただいま順次再開をしているところです。
一例として、10月1日の自然史セミナー「モグラの仲間とその暮らし」について紹介します。
ほぼ一生を地中で暮らす小哺乳類のモグラですが、その暮らしには驚くほど謎が多いです。
この講座では、当館動物研究部の川田伸一郎研究主幹が、20年間モグラを捕まえて研究を続けてきた経験から推測する見解を、講義形式で紹介するものです。
今後開催される講座については、当館ホームページのイベントカレンダーをご確認ください。
過去の自然史セミナーに参加いただいたみなさんからは、「専門の研究者の先生から教わり、内容は難しいところもあったけれど、楽しかった。」「普段見ることのできない化石の標本を観察したり、実験をしたり、貴重な経験ができた。」
「本格的で面白かった。『なんちゃって』だった知識がちゃんとしたものになるのはうれしい。」「今後勉強していく内容なので予習になりました。今日学んだことを生かしたいと思います。」などの感想をいただいています。
また、学校教諭のみなさんからは「科博の標本の収集と教育に関する情報を得ることができました。学校現場で有効に利用したいと思いました。」「科博のリソースを活用する特に中高生の授業での利用をさらに考えていきたいと思います。」などのお声もいただいており、私たちも非常に嬉しく思っています。
自宅で楽しめるオンラインコンテンツも充実
画像提供:国立科学博物館
ー「おうちで体験!かはくVR」と「
おうちで!かはく・たんけん教室 」とはどのようなコンテンツなのでしょうか。
鳥谷:「おうちで体験!かはくVR」は、ご自宅でも国立科学博物館のコンテンツをお楽しみいただけるよう、当館の展示室や外観を高画質の画像で撮影し、3Dビュー+VR映像で公開しています。自宅にいながらまるで国立科学博物館の中にいるように展示を鑑賞することができるのが魅力ですね。
熊野さん(以下、熊野):「おうちで!かはく・たんけん教室」は、これまで国立科学博物館で開発・実施した学習プログラムの中から、ご家庭でも楽しめる題材を選び、復刻版として紹介しています。
簡単な観察や工作、動物のぬりえやクイズなどを紹介しながら、以前来館して体験した記憶がある方も、初めてご覧になる方も、お子様から大人の方まで、気軽に楽しんでいただけるコンテンツです。
「おうちで!かはく・たんけん教室」は「たんけん教室」、「ぬりえプラス」、「いきものクイズ」の3つで構成されています。
「たんけん教室」は小学校3年生以上を主な対象とし、「海のおいしい豆ちしき!アサリ」など、身近な素材を使った内容をテーマにしたコンテンツで、ご自宅で気軽に体験していただけるものです。
「ぬりえプラス」は未就学のお子さん〜小学生を主な対象としており、過去に展示と関連して作成したぬりえを公開しています。お子さまの年齢に合ったものをお選びいただけます。もちろん、大人の方もお楽しみいただけます。
「いきものクイズ」は小学生以上を主な対象とした展示に関連するクイズです。少し難しい問題もありますが、国立科学博物館の展示をウェブ上で鑑賞できる「おうちで体験!かはくVR」と組み合わせて、ご家族でお楽しみいただけるのでおすすめです。
ー今後、開催予定のイベントについて
鳥谷:2022年7月16日(土)~10月10日(月・祝)は、特別展「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」 を開催しています。世界初公開となる「チベットケサイ」の復元した全身骨格と生体モデルも展示していますので、ぜひお越しください。
また、2022年11月1日(火)~2023年2月19日(日)には、特別展「毒」 を開催予定です。
動物、植物、菌類、そして鉱物や人工毒など、自然界のあらゆるところに存在する「毒」について、動物学、植物学、地学、人類学、理工学と多角的な視点から、各研究部門のスペシャリスト9名が徹底的に掘り下げ、さまざまな貴重な標本資料を用いて解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
現在は予約制入館で感染防止対策を実施
画像提供:国立科学博物館
ー最後に、読者へ向けてメッセージをお願いいたします。
鳥谷:現在、新型コロナウイルス感染防止のため、外出を控えられている方も多くいらっしゃると思います。
当館では、館内での「密閉・密集・密接」な状況の発生を防ぐため入館は予約制にするなど、皆様に安心してご来館いただけるよう様々な感染防止対策を行っております。
今後も展覧会やイベントを数多く予定しておりますが、事前に当館ホームページをご確認の上、ご来館いただきますようお願い申し上げます。
また、当館ではご自宅からでも“かはく”のコンテンツをお楽しみいただけるよう情報を配信しています。
情報は、当館ホームページのほかに、国立科学博物館公式SNS(TwitterやInstagram)でも発信してまいりますので、是非フォローいただけたら嬉しいです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材協力・画像提供:国立科学博物館