学校行事や地域イベントの運営・お手伝いをしたり、子どもの安全や防犯のための地域パトロールをしたりと、さまざまな活動をするPTAをご存じでしょうか。
お子さんがいる家庭では、実際にPTAの会員や委員として活動に参加された経験がある方もいるでしょう。
今回はそんなPTAの協議会を束ねている「公益社団法人 日本PTA全国協議会」の会長 金田 淳さんにお話を伺いました。
子どもたちの教育に関わる活動をしたい、PTAの活動について興味があるという方はぜひご覧ください。
子どもたちの健全育成や福祉の増進などを図る社会教育団体
ー本日はよろしくお願いいたします。はじめに、公益社団法人 日本PTA全国協議会の概要について教えてください。
金田 淳さん(以下、金田):「公益社団法人 日本PTA全国協議会」は、全国にある64の協議会を束ねるPTAの組織体です。
その全国64の協議会が、日本PTA全国協議会の直接的な正会員となります。
ただ、実際にはそれら全国64の協議会のなかに各市町のPTA連合会、さらにそのなかに各単位PTA、学校のPTAや各家庭のPTAとして所属している会員がいます。
それらすべての会員をあわせると約800万人の会員規模となり、日本最大の社会教育団体になるんです。
わたしたち日本PTA全国協議会は公益社団法人として綱領に基づき、6つの大きな指針となる公益目的事業を運営しております。
具体的にいうと全国大会事業、調査研究事業、表彰事業、広報事業、国際交流・研修事業、教育支援助成事業です。
たとえば全国大会事業の取り組みとして研究大会をおこなっています。これは全国各地の単位PTAやPTA連合会・協議会の活動状況、成果発表などをする活動です。
全国の研究大会、そして各ブロックごとでおこなうブロック大会を開催しております。
PTA活動を深めることはもちろん、研究討議した内容を各協議会に持ち帰り、自分たちの活動をさらに充実したものにするというのが目的です。
また、調査研究事業としてメディアや教育に関することについて全国64の協議会から保護者やお子さんにアンケートをとっています。
加えて、アンケートを集計し考察したものをフィードバックする取り組みもおこなっています。
そのほかにも国際交流・研修事業の活動として、中学校2年生の子どもたちを各協議会から集めまして、自然体験の活動やリーダー講習のようなこともおこなっているんです。
この国際交流は例年、沖縄の渡嘉敷島などに行って青少年の家などを利用しながら活動していましたが、コロナ禍により直近2年間はできていません。
ただ、昨年度に関してはオンラインでの開催というような形で子どもたちと活動しました。
さらに、PTA活動をする上での参考書的な書籍を出版して、研修のマニュアルやいじめ対策のハンドブックなども発信しています。
日本全国の情報を網羅して学校や地域社会に貢献
ー日本PTA全国協議会だからこそできること、子どもたちの未来のための取り組みなどを教えてください。
金田:まず一つは情報共有、連絡調整機関としての役割というのがあります。
日本PTA全国協議会は、先ほど申し上げた通り、全国の協議会や連合会などの会員もあわせると約800万人規模にもなる日本最大の社会教育団体です。
つまり、会員数が多くて日本全国の情報を網羅できるというメリットがあります。
全国さまざまな地域で活動しているPTAですが、地域ごとに抱えている課題や活動の取り組みは違います。
そこで、64の協議会の会長が一堂に集まる機会を設け、地域それぞれの活動や取り組みについて情報共有しているんです。
ほかの地域での取り組みを知ることで、自分の地域が抱えている課題に対して、何か新しい見方ができたり、斬新なアプローチができたりすると思います。
もう一つは、全国を網羅している日本最大の社会教育団体だからこそ、行政の方と対峙してお話ができたり、文部科学省の会議に参加できたりすることです。
たとえば保護者の代表としてご意見を欲しいということで文部科学省がおこなう会議・中央審議会などに参加できる機会をいただけます。
これは日本PTA全国協議会だからこそできることだと思います。
そして、そのメリットを活かして、これまで子どもたちの教育環境や地域の課題解決などに貢献してきました。
ー日本最大の社会教育団体として意識していること、重要視している点があれば教えてください。
金田:今年度は特に、日本PTA全国協議会のイメージ向上と発信力の強化を重視しています。
わたしたち日本PTAは、各単位PTAの上部組織のトップだと思われていることが多く、お堅いイメージをもっている方も多いと思います。
でも、実際はそうではなくて単位PTAが一番のメインであってそこを下支えしていきます。
形でいえば逆三角形のようなピラミッドの一番底で支え、サポートしているのが日本PTA全国協議会だと認識してもらえると嬉しいです。
皆さんの単位PTAや市町の連合会、県の連合会の皆さんが何か困っていることに対して、下支えしながら情報共有したりしてフォローしていく、そういう団体です。
それを皆さんに伝えようとしてきましたが、日本PTAは発信力が弱くてなかなか伝えられていませんでした。
マスコミに大きく発信することも控えてきたので、ネガティブなイメージをもたれることもありましたね。
しかし、やっぱり伝える努力をしなければ、なかなか理解してもらえないことが分かってきました。
SNSが普及して一個人でも発信できる時代になりましたし、これからは皆さんに発信・共有していかなくちゃいけない、分かってもらう必要があるなと。
今後はペーパーやホームページだけじゃなくてSNSも利用するなど、さまざまな手段を用いながら情報を伝えていきたいと考えています。
PTAにもっと気軽に参加できるようにしたい
ー今後の展望や開催予定のイベントなどについて教えてください。
金田:イベントとしては、全国研究大会を8月26〜27日に山形県でおこないました。
そのほか10月・11月に関東ブロックや東北ブロック、九州ブロックなどに分かれてブロック大会を実施予定です。
興味のある方は、PTAの各連合会や各協議会などで、参加の申し込みをぜひお願いします。
また、書籍に関してはコロナ禍を通して、見直しの時期に入っています。これからの時代にあわせて書籍の内容を改訂していくつもりです。
今後、何か情報がありましたら、ホームページをはじめさまざまな媒体で発信・共有していきます。
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
金田:どうしても堅苦しいイメージをもたれやすいPTAですが、PTAというのは子どもが同じ世代の小中学校にたまたまいて、その世代のお父さん、お母さん、先生たちの集まりです。
そして、やれる時にやるもので、義務ではないので決して堅苦しい組織ではありません。もっと気楽に、ぜひ参加したいという方が増えるようにしたいです。
主体的に参加いただけるとよりよいPTA活動になりますし、自分自身にも子どもにもプラスになると思います。
私自身、PTA活動としては10年やっていますが、本当にあっという間でした。
PTA活動に参加する時期は、子育てや仕事で大変ですし金銭面でも大変な時期だと思います。
でも、だからこそ、PTAの横のつながり、各家庭のお父さんやお母さんとのつながりを作っていただきたいですね。
そして、みんなで一緒に子どもの教育環境や地域の課題解決の取り組みに、ご参加いただけると幸いです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:日本PTA全国協議会