仮面ライダーリバイス・前田拳太郎「経験の積み重ねが活きてきた」空手日本一の“過程”で得たもの

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「今日はよろしくお願いします」と、はつらつとした声とともに現場に現れたのは、仮面ライダーシリーズ生誕50周年『仮面ライダーリバイス』の主人公・五十嵐一輝/仮面ライダーリバイを務める前田拳太郎さん

ドラマの劇中で見事なアクションを披露していますが、それもそのはず中学生時代に全国大会で優勝するほどの空手の腕前でした。

インタビューでは、「日本一になれる」と信じてやまなかった中学時代や役者への思いについてもたっぷり語っていただきましたが、そのなかで見えてきたのは…なぜ、本格的な芝居は初めてという前田さんが生誕50周年という記念すべき作品の主役を託されたのか。

抜擢の背景には、ヒーローを演じるに相応しい挫折や葛藤、その一瞬一瞬に全力を注ぐことで確実に成長してきた「前田拳太郎」がいました。

ほかにも、2022年7月22日(金)に公開される映画『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』の見所についても熱く語っていただきましたので必見です。

「絶対に日本一になれると信じてた」空手一色だった中学時代

「絶対に日本一になれると信じてた」

―取材に来る前に、約1年前の『仮面ライダーリバイス』の制作発表の映像を見てきました。こちらにまでその緊張が伝わってくる初々しい姿でしたね。

前田挙太郎(以下、前田):(笑)さすがに1年やってだいぶ緊張しなくなりましたけど、最初は本当に大変でした。撮影自体の経験が少なかったので、現場にこんなにスタッフさんたちがいると思っていなかったんです。お芝居のレッスンはしていたのですが、人前でいざ演じるとなると、全然違いました。

―仮面ライダーと言えばアクションシーンも見所ですが、前田さんは空手で日本一になったことがあるそうですね。

前田:はい、中学3年生のときに形の団体戦で全国優勝しました。名前に「拳」が付くので、「家が道場なの?」などとよく聞かれるのですが、全然そんなことはなくて、幼稚園のときに友人が空手を始めるというのを聞いて「じゃあ、僕も行こうかな」とそれがきっかけで始めました。

小学生のときはそこまでモチベーションは高くなかったのですが、中学生からその面白さに目覚めました。本当は小学校で辞めようと思っていたのですが、師範に「中学入ったらどうするの?」と言われ「続けます!」と勢いで言ってしまって(笑)でも、自分で続けますと言った以上、中途半端には絶対やりたくないと思ったので「一番を獲るんだ」とそれだけを目標にしていました

―そして本当に中学3年生のときに日本一に!

前田:今思えば休みがあった記憶がないくらい練習していました。休日ともなれば、朝は5時ころ起きてランニングして、そのまま夜まで一日中練習。長期休みは合宿。唯一の休みはテスト前の一週間くらいでしたね。でも辛い練習も「ここで休まなければ日本一になれる」と本気で思っていたので、続けられました。

でも一番練習していたのは3年生のときではなく、中学2年生のときだったと思います。そのときも全国大会のメンバーに選んでもらったんですけど、僕の代わりは誰でもいるような崖っぷちの状態でした。自分でもそれを分かっていたのでとにかくがむしゃらに毎日練習していたんです。

ただ、それが良くなかったんでしょうね…大会前日まで調子が全然上がらなくて「そんな状態なら出なくてもいいよ」とまで言われちゃうくらいだったんです。本番はよい演武ができたとは思うのですが、その大会に向けて毎日毎日練習をしていたので…いや、もうとにかく悔しかったですね。試合のあとも心残りが大きかったです。

多分そんな時だったと思うんですが、道場で一番強かった友人がチームメイト全員に帯の形のキーホルダーをくれたことがあったんです。それぞれに言葉が入っていて僕がもらったのは「継続は力なり」って書いてあるものでした。

幼稚園から空手を始めて、一番空手に夢中になり、本気で日本一を目指していたときにその言葉をもらったので、すごく心に響きました。その言葉を見たときに僕が今まで続けてきたことがどれほど大切なものか、その価値を実感したのを覚えています。そこから空手への思いが一層強くなりました。

高校では中学のときほど結果は残せなかったのですが、3時間目の短い休み時間にお昼を食べて長い昼休み時間を仲間との練習にあてたり、とにかく空手一色でした。

コンテストで落選…諦めかけた“役者”への思いがコロナ禍で再び

前田挙太郎

―そこまで熱い思いをもって臨んでいた空手ですが、役者の道へ進もうと思ったきっかけはなんでしょうか?

前田:実は、高校に入る前から「空手は高校までにしよう」と決めていました。空手しかしてこなかったということもありますが、上に行けば行くほど、まだその上がいることが見えて、どうやっても追いつけない現実にも気づいたんです。

同じ道場で国際大会でも活躍する子がいて、その子に追いつきたいと本当に必死だったんですが、どれだけ一生懸命やっても距離が縮まらないのを薄々感じていて…でも、高校卒業まで本当に一生懸命空手に取り組んだし、空手を続けてきたことで運動神経がなかった僕がほかの運動もできるようになっていたことに気づいて、こうやって別のことにも活きてくるんだと実感していました

それに気づいたときに、新しいことにも挑戦してみたい、何がしたいのかを考えたときに、子どものころに憧れていた「仮面ライダーになりたい」「役者になりたい」という思いが湧いて高校を卒業するときに“ジュノンボーイ”(ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト)に応募をしました。結果は残念だったんですが…。

―そうだったんですね。落選してしまったあとはどのように過ごしたのでしょうか?

前田:落ちた後は「自分には向いてなかったのかな…」と、せっかく両親に大学にも行かせてもらっているので、大学でいろいろ経験してそれからまたチャレンジしようという気持ちでした

なので、大学でもサークルとかでなく本気で取り組める何かがしたくて競技ダンス部に入りました。正直、強引に入部させられたようなもんだったのですが(笑)やり出したらこんな性格なのでハマっちゃって、夢中になってしまいました。

ただ、コロナ禍になり部活も活動停止に…授業もオンラインになって自分の人生について考えることが多くなり、また役者への思いが芽生え始めました

「仮面ライダー合格は芝居じゃない。でも今までの自分を見てもらえた気がした」

前田挙太郎

―でも一度コンテストで落選していて、再度挑戦することに不安はありませんでしたか?

前田:不安でした。怖かったですね。だからすぐには決断できず一年ぐらい毎日ずっと考えていました。周りが就職活動を始める時期でもありましたし、一度落ちていますから親にも周囲にも言いづらくて本当に悩みました。

最終的に言い出すときは、ジュノンボーイのときに中途半端な状態だった自分を思い出し、「どうなるか分からないけれど、役者ひとつに絞ろう」と決意し、部活にも「役者を目指すので辞めさせてください」と告げて、今の事務所LDHのEXPG STUDIOの演技コースに育成候補生として通い始めました。

―お話しを聞いていると、すごく“前田さんらしい”決断ですね。でもそこからこうして今は念願の仮面ライダーに!オーディションは気合が入ったのでは?

前田:仮面ライダーのオーディションは何回か行われるんですけど、始めの審査はすごく手応えがあったんです、でも最終審査に近づくにつれて、プレッシャーとか思いが込み上げてきてか、急に全然出来なくなっちゃって…最終審査直後は「落ちたかな」って落ち込んでいました。

でも合格の知らせを聞いたときに、なんだろう…受かった理由は芝居じゃないんです。確実に芝居ではなかったという自覚はあるんです。だけど、何だか自分がこれまで空手とか役者になりたくて一生懸命やってきた、自分自身を見てもらえたような気がしました

―それは逆に、今までやってきたことっていうのが評価されたっていうのは自信になるのでは?

前田:そうですね。それはすごくあります。どこに行っても「姿勢がいいね」とか「礼儀正しいね」って言っていただけることが多いので。他人から褒めてもらえるところって、今までの自分の経験から培ったものが多く、過去にやってきたことの積み重ねが今活きてきたと実感しています。だからお子さんに習い事はおすすめですよ、特に空手(笑)

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劇場版はアクション盛りだくさん「大迫力の映像をぜひ劇場で観てください!」

前田挙太郎

―最後になりましたが、7月22日は『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』が公開されますね! ぜひ見所を教えてください。

前田:はい!やっぱりなんといっても今回は坂本浩一さんが劇場版で監督を務めてくださっているところです。坂本監督といえばアクション。今回の映画もすごくスケールの大きいアクションばかりで、特に仮面ライダーって変身して戦うっていうイメージが強いと思うんですけど、今回は変身前のアクションシーンもてんこ盛りなので、映画館の大画面で見たら大迫力でめちゃくちゃカッコイイと思います。

もちろん『仮面ライダーリバイス』がずっと大切にしてきたテーマ“家族”についてもいつも以上に熱いメッセージが込められています

“家族”は子どもたちにとってもとても身近なテーマだと思うので、僕もいつも以上にそこを意識しましたし、身近なテーマだからこそ僕や仮面ライダーを身近に感じてもらいたくて、僕を「近所のお兄ちゃん」って思ってもらえるようなお芝居を心がけました。

アクションは楽しめるし、家族で来たらまた家族の大切さだったりを改めて考えるきっかけになる映画になっているので、ぜひ家族みんなで映画館で観てほしいです。

―テレビシリーズのほうもいよいよ佳境に入ってくるころかと思います。この仮面ライダーとしての経験がこの後の役者人生にどのように活かされる、そのイメージってできていますか?

前田:仮面ライダーを1年間やったら、これから役者としてどんなことがあっても、そうそう挫けずにやっていけるのでは、と思っています。

お芝居のうえでは、1年間さまざまな監督の下、また同世代や先輩キャストの方々から、1年かけて学べるところに、僕はすごく魅力を感じていて、これから役者として歩んでいくなかでこの1年間の経験ってすごく大事だなって。そして、1年間の厳しい撮影のなかで精神面や、体力面のコントロールが求められていましたが、一度も体調を崩さずにやってこられたのも今後の自信につながりました。

お芝居だけでなく「自分をコントロールする」そういった部分は特に今後の役者の人生のなかで大きく活かせていける部分じゃないかと実感しています。

前田拳太郎

「仮面ライダーリバイス」 テレビ朝日系毎週日曜(午前 9:00〜9:30)絶賛放送中
『仮面ライダーリバイス』公式ホームページ
『仮面ライダーリバイス』公式Twitter
『仮面ライダーリバイス』テレビ朝日公式ページ

取材協力:前田拳太郎

ひらおか ましお
この記事を執筆した執筆者
ひらおか ましお

Ameba塾探し 執筆者

大学で入部したスポーツ新聞部をきっかけに、大学卒業後から本格的にライター業に従事。主にスポーツ雑誌を中心に活動していましたが、結婚と出産を機にwebや地元の情報誌などに活動拠点を移しました。子どもの成長と共に教育関連に興味をもち、2021年11月より「Ameba塾探し」で執筆を担当する二児の母。インタビューを通して得た情報を皆さまにシェアする気持ちで執筆しています。