子育てしている方にとって悩みや不安、ストレスはつきものですが、身近な支援やサービスを気軽に活用している人はまだまだ少ないものです。
なかには、「専業主婦なのに頼るのは…」と遠慮して、育児疲れをうまく消化できていない人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、千葉県野田市にあるNPO法人「ゆう&みい」理事長の瀬谷 由香さんと、保育士の亀﨑 典子さん、遠藤 倫子さんに子育て支援についてお話を伺いました。
育児の悩みを1人で抱え込んでいる方、地域の子育て支援を利用してみたいという方は、ぜひご一読ください。
理由を問わず1時間から利用できる預かり保育
ー本日はよろしくお願いします。まず、NPO法人「ゆう&みい」がどういった活動をされている団体なのか教えてください。
瀬谷 由香さん(以下、瀬谷):私たちは千葉県野田市で、子育て支援活動などをしている団体です。
もともとは地域の方たちへの家事支援をする「たすけあいの会」として活動し始め、2002年にNPO法人「ゆう&みい」として発足しました。
現在のおもな活動の一つとして子育て支援事業があり、一時預かり「マミーズブレイクタイム」や「休日預かり保育」、親子で遊べる「子育てサロン」などを運営しています。
また介護支援活動もおこなっており、「シルバーサロン」事業も展開しています。
ー「マミーズブレイクタイム」の活動内容について具体的に教えてください。
瀬谷:「マミーズブレイクタイム」は、子どもの一時預かり事業です。
「どんな理由でも子どもを預けていいんですよ」とご案内しているのが特徴で、保護者に、子育てから少し離れて好きなことや息抜きをする時間をもっていただきたい、という想いで始めました。
利用者からは、「理由を問わず預けることができて助かる」という声をよくいただきます。
また幅広い年齢の子どもをお預かりするので、子どもたちにとってもよい成長の機会になると感じてくださっている方もいます。
亀﨑 典子さん(以下、亀﨑):お母さんたちにとっては、ちょっと疲れたときに頼れる場所があるということは、安心感につながっているようです。
遠藤 倫子さん(以下、遠藤):コロナ禍の影響で、働くお母さんのご利用が中心でしたが、最近では一時預かりの利用も増えていますね。
瀬谷:お預かりするのは6か月から就学前までのお子さんを対象にしておりまして、基本の利用日時は、祝日を除く月曜日から金曜日の9時〜16時です。県外、市外の方もご利用いただけます。
料金は以下の通りです。1時間単位の一時預かりのほか、1週間に15時間以上利用する方向けの週契約もご用意しています。詳細は、公式サイトにあるマミーズブレイクタイムのページをご覧ください。
1時間 | 週契約 | |
---|---|---|
0歳児 | 700円 | 7,000円 |
1歳児 | 600円 | 6,000円 |
2歳児〜 | 500円 | 5,000円 |
※登録料1,000円/年
※土曜日・時間外の一時預かりは各+50円(土曜日・時間外は応相談)
※上記の週契約料金は15時間までの価格(15時間以上、時間外は別途料金設定あり)
ー続いて「休日預かり保育」の内容について教えてください。
瀬谷:「休日預かり保育」は子育てしやすい環境を目指すことを目的として、野田市と連帯し、2020年10月からおこなっている事業です。
日曜日に子どもを預ける場所がなく困っていると地域の方々からの要望を受けて始動しました。
野田市は周辺地域でも、こういった子育て支援を始めたのが一番早かったと思います。市でも力を入れてくださっており、そのおかげで私たちもよいかたちで運営ができています。
子どもの対象年齢はマミーズブレイクと同様に6か月から就学前までで、利用日時は日曜・祝日の9時〜16時です。
野田市在住もしくは野田市に勤務先のある方を対象としています。料金は一律1時間850円です。
保育所を利用できない日曜日にも子どもを預けられるという点が、日曜・祝日に働かれている保護者に特に喜ばれていますね。また、コロナ禍で子どもを連れて行ける場所が限られるという背景もあり、喜ばれています。
遠藤:保護者の方のなかには、「上の子の習い事に同行しなくてはいけないので、下の子を預けたい」といって、ご利用される方もいらっしゃいます。
亀﨑:そういった事情での利用も多く、コロナ禍以降、ニーズも多様になっていると感じますね。
親子で参加できるイベントや1対1の育児相談も
ー今後、開催予定のイベントなどはございますか?
瀬谷:子育てサロンでは、毎月、絵本やおはなしを楽しめる「おはなし玉手箱」や「3歳からのおはなし会」、親子で体を動かして遊ぶ「親子ふれあい遊び」といったイベントをおこなっています。
そのほかにも、サロンに遊びに来た子どもやお預かりした子どもたちと、作品をつくって飾ったり遊んだりできる「季節のかんたん製作」などを実施しています。
また、保護者の子育ての悩みを1対1で聞く「育児相談日」も毎月1回設けています。
育児相談は随時受け付けておりますので、サロンに来て子どもを遊ばせている間に、おしゃべりをしながら相談をすることも可能です。
コロナ禍ということもあり、各イベントには人数制限を設けており、参加は先着順の予約制です。イベントや育児相談日の詳細は、ホームページのイベントページで公開しているので、こちらもチェックしてくださるとうれしいです。
子育ての不安や孤独を解消できる場所を目指して
ー最後に、読者の方へひと言メッセージをお願いします。
瀬谷:情報社会の中の子育てで「子どもをきちんと育てなくては」とプレッシャーを感じている親御さんが多いように感じますが、子育てに正解はないですし、各家庭なりのかたちがあっていいのではないかと思います。
そんな中で、私たちは子育てに取り組む皆さんが気軽に遊びに来られたり、不安や悩みを話せる、そんな場所になれたら嬉しいです。
子育ては不安と孤独がつきものだと思いますが、1人で考えこんだり悩んだりせずに、こういった支援の場があるということを、常に頭の片隅においていてほしいです。
また、子どもを預けることに対して、引け目を感じたり悩んだりする方もいますが、それは決して悪いことではないということもお伝えしたいです。
子育てをしている皆さんにも、やらなくてはならない事や行きたいところはあるはずですし、たとえば子どもを預けてご両親で出かけるのも、私はすごくよいことだと思っています。
預けるときに子どもが泣いてしまったからと罪悪感を抱く方もいらっしゃると思いますが、お迎えのときに輝いた笑顔でお子さんに接することができれば、よりよいのではないでしょうか。
私たちは、子育てをするみなさんが笑顔になれるよう、今後も支援活動を続けていきます。お近くの方や当事業に興味のある方はぜひお気軽にお声かけ、ご参加ください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:NPO法人「ゆう&みい」