「キーデザイン」がおこなう子どもの不登校に不安を抱える家庭への手厚い支援とは?

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不登校中のお子さんにとって、家族はかけがえのないよりどころ。まずは親御さんがお子さんを理解し、支え続けることが大切です。

しかし子どもの不登校は、当事者であるお子さんはもちろん、そのご家族にも大きな心の負担がかかります。頭で理解はしていても、思うようにいかないこともあるでしょう。

我が子の将来を思い不安になったり、どのように接してよいかわからなくなったりしたときには、相談できる場所があればいいですね。

今回は、NPO法人「キーデザイン」の代表を務める土橋 優平さんにお話を伺いました。

不登校に関する悩みを抱えている保護者の方は、ぜひご一読ください。

  1. 不登校のお子さんがいる家庭の支えになる“3つの活動”
  2. 悩みを抱える保護者のための相談室
  3. LINEで友だち登録すれば、いつでも頼れるお守り代わりにも

不登校のお子さんがいる家庭の支えになる“3つの活動”

キーデザイン

ー本日はよろしくお願いします。はじめに、 NPO法人「キーデザイン」がどのような団体なのか、概要を教えてください。

土橋 優平さん(以下、土橋):「キーデザイン」は、栃木県宇都宮市を中心に不登校のお子さんと、その保護者の方の支援をおこなう団体です。

私が大学生の頃、同級生はもちろん後輩や先輩からも、家族や進路のこと、セクシャリティや生き方のことなど、さまざまな相談をよく受けていました。

そのなかで「死にたい」「消えたい」という声を本当によく聞いて…なんとかできないものだろうかと考えたんです。

私からすれば大好きでかけがえのない友人たちですが、苦しんでいる背景や根本には、家庭のことや社会のことが必ずありました。

死にたいほど悩んでいる理由は、本人が何かしたからではないんです。

だからこそ、「なぜここまで追い詰められてしまっているんだろう」「そのような相手に対して自分は何もできないのだろうか」と、悔しさを感じていました。

その悔しさから私はまず、相談支援団体をつくり、活動を始めたんです。

しかし、そうした活動のなかで、相談を聞くことだけの無力さを知りました。

相談を聞いた直後は「すっきりしました」と言ってくれる人も、次の日になるとまた「死にたい、消えたい」って、元通りになってしまうんですよ。

そのようなことに何度も何度も直面していくうちに、「辛さが溜まりに溜まった後に、相談支援として関わっているだけでは遅いのではないか」と気づかされました。

もっと前の段階、小学生や中学生といった子どものうちに頼ることができる場所や、受け入れてもらえるという安心感のある存在との出会いが必要なのではないかと。


そこで当団体を立ち上げ、フリースクールやホームスクールといった、子どもたちの支援に取り掛かるようになりました。

2016年に法人化し、担っている事業は3つあります。

ひとつは栃木県内の小学生と中学生を対象に、居場所型支援を目的とした「フリースクール」です。宇都宮市と、隣町のさくら市の2か所で開いています。

もうひとつは、家庭訪問型の支援としての「ホームスクール」です。いわば家庭教師のようなものなのですが、勉強を教えるだけの役割ではありません。

たとえば一緒にサッカーをしたり、映画を観に行ったりしたこともあります。お子さんから頼まれて、高校見学に一緒に行ったこともありました。

最後のひとつは、「お母さんのほけんしつ」というLINEを利用した保護者向けの無料相談室です。

お母さんとありますが、もちろんお父さんからのご相談も受け付けているほか、地域関係なく全国の方からお話をお聞きしています。

現在では1,300名ほどの方が登録してくださっていますが、内訳としてはだいたい県内4割、県外6割です。

なお、これらの活動の一貫したテーマは、「一人にならない社会をつくる」ことです。

私は子育てや教育に関わっていることもあり、自立という言葉を耳にする機会が、とても多くあります。

自立というと、自分で考えて決めて、自分で行動する…というように、すべてを自分だけでできる力があることのように思われがちですよね。

でも実際には、どれほど立派な人であっても、自分の足だけで立っている訳ではありません。

たとえば前にいて手を引っ張ってくれる人や、隣にいて一緒に歩いてくれる人であったり…。

辛いときには支えあえたり、一緒に休んだりしてくれる人が、誰であっても必要です。

そういったいろいろな人の支えがあって初めて、自立できる状態になれると私は思っています。

私はそのような支えを誰もが自然に得られる社会にしたいのです。

それこそこのような支えあいは不登校のお子さん自身にはもちろん、保護者にとっても大切です。

不登校のお子さんを抱えた保護者の方は、どうしても「自分の子育てが悪かったのではないか」と自分を責めてしまう方が多いので…。

すべての方がひとりにならない社会、たくさんの方に助けてもらって支えあえる社会を目指していきたいと考えています。

悩みを抱える保護者のための相談室

キーデザイン

ー「お母さんのほけんしつ」について、詳しく教えてください。

土橋:
お母さんのほけんしつ」は2020年5月から始めた支援活動です。

フリースクールやホームスクールを運営するなかでも保護者の方から話を聞ける機会はあったのですが、少し話を聞くだけでも、やはり悩みが垣間見える方が多くて…。

どうにかできないものかと考えていたころ、ちょうどコロナのことが世間で騒がれ出したんですね。

それで休校になる学校も多かったんですが、休校明けはどうしても「学校に行きたくない」という子どもが増えるんですよ。

その影響も考え、5月にサービスを開始しました。

そもそもですが、子どもが学校に行けなくなるタイミングというのは、子どもにとって回復が始まるタイミングなんです。

世のなかでは、悪いことやトラブルの始まりかのよう思われがちですが…。

実際のところは、友達との関係性や何かしら辛いことが学校であって、そこと距離を置くことで自分の心を休めようという流れから、不登校は起こります。

でも不登校を悪と決めつける社会や周りの声によって、子どもたちは自分を否定された気分になり、回復どころかむしろ自分を追い詰めてしまいます。

ですので、不登校になったときには、子どもの支援ももちろん大事ですが、保護者の方へのいち早い支援が本当に大切です。

不登校になった子どもを受け入れ、子どもの回復をサポートできるような保護者の体制を整えなくてはいけません。

そのために、お母さんのほけんしつはあります。お子さんとの接し方や不登校の受け止め方に悩んだときには、ぜひお気軽にご相談ください。

LINEで友だち登録すれば、いつでも頼れるお守り代わりにも

キーデザイン

ー最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

土橋:辛いときは、周りに頼ってほしいと伝えたいです。 決して一人にはならず、相談してください。

でも、家族のこととなるとなかなか人には話しづらいですよね。変に思われるんじゃないか、親の責任だと責められるんじゃないかなど、不安も多いと思います。

しかし「キーデザイン」は、そのような不安があるときでも、いつでも遠慮なく頼ってもらえる場所でありたいと考えています。

当団体では、毎月オンラインで「親の会」も開催しています。

親の会では、実際に不登校を経験した親御さんから話を聞ける場も設けているので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。

また、私たちのLINE相談窓口であれば、匿名でもご利用いただけます。ぜひお気軽にご相談ください。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

■取材協力:NPO法人 キーデザイン