共働きやシングルペアレントの家庭では、保護者が仕事をしている間、子どもがひとりで過ごす時間ができてしまいます。
すると「危険なことをしていないだろうか」「不審者が家に来ないだろうか…」といった不安が生じるもの。ましてや障がいをもつ子どもであれば、なおさら心配です。
今回は栃木県宇都宮市で“放課後等デイサービス”を展開するNPO法人「ふらっと宇都宮」施設長の樋田 匡俊(ひだ まさとし)さんに、お取り組み内容について伺いました。
宇都宮市で子どもを預けられる場所をお探しの方は、ぜひご覧ください。
障がいをもつ子どものための放課後等デイサービス
ー本日はよろしくお願いします。まず「ふらっと宇都宮」の概要と、活動内容について教えてください。
樋田:私たち「ふらっと宇都宮」は、障がいのある方のサポートをおこないつつ、地域社会の健全な発展に寄与することを目的としたNPO法人です。
現在「ふらっと宇都宮」「ふらっと宇都宮ゆう」という、2つの“放課後等デイサービス”を運営しておりまして、各施設とも定員を10名とし、小学校1年生から高校3年生までの子どもを受け入れています。
平日は施設の職員が学校までお迎えにあがり、午後5時半までお預かりするかたちです。
両施設とも活動内容はほぼ同じですが、受け持っている方の障がいの程度などにおいて若干の違いがあります。
職員に関しては、私も含めて障がい者に関する施設で10年以上働いていた経験をもつ者が5名在籍しております。
そんなこともあり、重度の知的障がい者の方への対応ができるところも、私たち「ふらっと宇都宮」の特徴です。
ー子どもたちは、具体的にどのような活動をおこなっているのでしょうか?
樋田:たとえば発達に障がいがあるような子ども、言うなれば軽度の障がいをもつ子どもたちには、グループでのレクリエーションに取り組んでもらっています。
自分で選択する機会を多く与えることが当施設の方針なので、活動はあくまで強制ではなく、自分の好きなものを選んで参加してもらうかたちです。
たとえば決められた金額を設定して、その金額内で自分の好きなものを買うトレーニングをおこなっています。
障がいの程度に関係なく、可能であれば金銭の受け渡しをやってもらったり、それが難しいようであれば欲しいものを選んでもらう。そのような内容で、週に2〜3回ほど実施しています。
あとは、公園でサッカーやドッジボールなどのスポーツを楽しんだり、夏にはプールで泳いだりと、運動も大切にしています。
毎日みんなで同じことをするのではなく、少人数のグループに分けて、それぞれが別の活動をおこなう形式です。
おやつも提供しているのですが、そこでもまた、選択する機会を設けています。「このなかから好きなものを選んでください」といった感じですね。
あとは各施設で、おやつ作りなども積極的に進めています。自分たちで食べるものは自分たちで作る、といった具合に。
休日に来てくれた子どもたちには、給食を作ってもらうこともあります。ただ、現在は昨今の状況を考慮して、職員が作る場合が多いですね。
料金に関しては、おやつ代として100円、もし昼食も施設でとられる場合は350円いただいております。
それ以外は、特に決まった費用をいただくことはありません。
ー実際に施設を利用されたお子さんや保護者の方の反応はいかがですか?
樋田:私たちは子どもと保護者の方との信頼関係をとても大切にしておりますので、クレームなどはほぼありません。
子どもが学校を卒業するタイミングでお別れすることはあるものの、それ以外で辞めていく方はいらっしゃいませんし、気持ちよくご利用いただいています。
子どもや保護者の方と良好な関係を築けている証拠かなと考えています。
今後も子どもを送迎する際のコミュニケーションですとか、保護者の方との連絡などを活用しながら、良好な関係性を築いていければと思っています。
より充実したサービスをおこなうために準備中
ー今後開催予定のイベントなどはありますか?
樋田:「ふらっと宇都宮ゆう」の施設が、今年度の12月を目安に移転します。現在、そのために大きな建物を作っている最中です。
当団体は成人向けのデイサービスである「生活介護」という事業もおこなっているのですが、今後はより本格的に展開していきます。
生活介護は、もともと通っていた方が高校を卒業してからまた利用していただけるようなサービスです。卒業後も安心して来てもらえるように、今後数年かけて準備を整えます。
この取り組みに関しては、第一弾として「東岡本」という場所を拠点に活動できるよう、現在調整しているところです。
施設の見学は、随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
子どもには、いろいろな場所でいろいろな経験を
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
樋田:保護者の方のなかには、人が集まる場所に子どもを預けることに抵抗がある方もいると思います。私としても、利用を強くお願いすることはできません。
ですが、やはり子どもはいろいろな場所で、いろいろな経験をさせることが重要です。
また、暇な時間が多いほど問題行動をとりやすいという事情もあります。
ですからぜひ、私たちの施設で暇な時間を解消しながら、好きなことに取り組むきっかけを増やしてあげてほしいと思います。
私たちは、重度の知的障がいをもつ方への対応も、ほかの法人や事業所よりすぐれている自信があります。
たったひとりで悩んでいてはいけません。相談できる場所や人を増やしながら、サポートの輪を少しずつ大きくしていくイメージでいてください。
「最初からお気軽に」というのは難しいと思いますが、その方にとって安心できる場所のひとつとして、私たちが存在できればなによりです。
子どもが時間を有効活用でき、なおかつ問題行動を起こさないためのプログラムを常に考えておりますので、ぜひご相談いただければと思います。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:NPO法人 ふらっと宇都宮