子どもたちがいじめで苦しんだり、社会に出てからパワハラなどで悩んだりするケースが少なくありません。
そのようなことは人権に対する正しい知識がないからだと、「NPO法人 インターナショナルガバメントガフィン」の代表理事である長谷川 孝広さんは話します。
また、メンバー同士が困ったときに助け合う活動もおこなっており、そこから社会全体が幸せになることを目指しています。
子どもに正しい人権の知識を持ってほしいと考えている保護者の方はぜひご覧ください。
個人の幸せが社会全体の幸せにつながる
ー本日はよろしくお願いいたします。まずは「NPO法人 インターナショナルガバメントガフィン」の概要について教えてください。
長谷川 孝広さん(以下、長谷川):「NPO法人 インターネットガバメントガフィン」は、日本だけでなく全世界、日本人だけでなく外国人やさまざまな民族も含め、人権を守るために活動している団体です。
大きなテーマとしては人権を守りながらよりよい社会、生きやすい社会を目指し、不平等や理不尽さをなくすことを目標としています。
名称の「インターナショナル」は各国の共通した主権に基づいた団体であることを示し、「ガバメント」は政府を意味する言葉です。そして、「ガフィン」はポルトガル語の俗語で小人を意味しています。
つまり、「インターナショナルガバメントガフィン」は、個人という世界で最も小さい政府を意味しているのです。
人間は一人ひとりが主権を持ち、自主権がある政府といえます。一番小さい政府である個人が幸せになれば、1ステップ大きい政府である家庭が幸せになり、それが結局社会の幸せにつながると考えてこの名前をつけました。
どんなに人権を大事にしている国であっても、一番重要なのは国家ではなく個人を大切にすることであり、そんなことができる社会を目指すことを提案しています。
そのためにさまざまな勉強会や情報交換をおこなっているのですが、前提としているのはいろいろな価値観を認めることです。さまざまな意見や価値観を否定するのではなく、むしろそのようなものがあることを前提に人権を考えていくようにしています。
ー子ども向けの教育もおこなっているのでしょうか。
長谷川:教育の分野では、日本国憲法について学ぶ機会を作っています。
日本国憲法の第3章には平等及び人権と人間の尊重について書かれているのですが、残念ながらその内容を理解して説明できるような方は少ないでしょう。
若い世代のなかには社会に出てから躓く方が多くいますが、それは必要な知識、情報をしっかりと得ていないからではないでしょうか。
若い方々は、パソコンやスマホを使って情報をどんどん得ているようにみえて、実際には情報を選択できず必要な情報が不足していることが非常に多いです。
知っていれば解決できていたことがたくさんあったり、善と悪の判断ができなかったりして躓いている方を多く見てきています。
意外と多いのがいじめやパワハラを受けているのに、それらを受けている本人がそれと気づいていないケース。
たとえば、何か変な責任感みたいなものを押し付けられて、本人は一生懸命やっているのだけどうまくいかず潰れてしまい、それに対して周りは本人の気持ちがわからないので怠けているのではないかと思い余計に追い込んでいくようなことがあります。
そういうことを避けるには、ノーといえる勇気より前にノーといえる知識が必要です。
ただ、平等や人権、人間の尊重を子どもが実践するのはかなり難しいです。もちろん、日本国憲法を子ども向けに解説する資料はあり、内容を理解することはできるのですが、それを日々の生活のなかで実践したり深めたりしていくのは子どもでは負担が大きすぎます。
だからといって子どものうちにこの内容を学ぶ必要がないというわけではありません。子どもたちが大人になり、社会に出てからいろいろな障害などに躓くのは、子どものうち、学生のうちに知っておかなければいけないことを学ばなかったからだと思います。
そこでインターナショナルガバメントガフィンでは、勉強会や学習会といった小難しいものではなく、サークルに入って楽しく活動しているうちに自然と必要な知識を身につけられるようなプログラムを用意しているのです。
また、単に学ぶばかりではなく、実践の場としてボランティア活動もおこなっています。
これは、さまざまな経験をすることで自分のなかで真実を身につけてほしいと考えているからです。
一方的に押し付けられた知識では身になりませんし、身につけた知識も実際に体験してこそ本当の力になるのではないでしょうか。
メンバー同士の助け合い活動も
ー教育以外にはどのような活動をおこなっているのでしょうか。
長谷川:インターナショナルガバメントガフィンの活動は多岐にわたります。その活動の数々は紹介しきれないほどなのですが、ここではメンバーの人権を守る活動について紹介させてください。
人間は誰しも、突然病気や怪我をして病院に行きたかったり、強盗に襲われたりしても自分で助けを呼ぶことは難しいです。
そんなときでも助けを求めればほかのメンバーや事務局のスタッフが駆けつけるという活動をおこなっています。
困ったことや悩みに対する相談にも乗りますので、先ほど申し上げたいじめやパワハラが起きたときに、一人では負けてしまう状況でもメンバーになっていれば皆で意見を合わせどう対処するかを考えることが可能です。
また、お金をかけてさまざまな情報を取得し、メンバーに配信する活動もおこなっています。たとえば円安や物価の上昇がなぜ起こったか、いつまで続くのかといった情報を得ることで、正しい行動をとることができるでしょう。
ただ、これらはメインの活動ではないことはご理解ください。メンバーになった特典という位置付けであり、本来はメンバーだけでなく社会全体の人権を守り、よりよい社会を目指すのが目標です。
ーメンバーとして参加した方はどのような感想を持っていますか。
長谷川:活動に参加した方のなかには半ば無理やり連れてこれらたような方もいるのですが、それでも長く活動を続けている方が多いです。
そして活動を続けているうちに少しずつ日々の生活のなかにプラスアルファが生まれ、前向きになり、だんだんと自分で工夫をしていくようになっていきます。
長く活動する方が多いのは、私たちが目指しているものは大きいのですが、そのなかで楽しく活動しているためではないでしょうか。
私たちが一番大切にしているのは助け合いなので、まずはメンバー同士が助け合いながら活動を楽しむことでその輪を広げていきたいですね。
ー今後予定している活動はありますか。
長谷川:私たちの活動や人権について啓蒙するイベントを開催したいと考えています。
堅苦しいだけのイベントではなく、メンバーのなかにはプロ並みの歌唱力を持つ方がいるなど、さまざまな特技を持っている方がいますので、そういった方々の表現の場にすることで多くの方々に参加してもらえるものにしたいです。
一人ひとりの幸せのため一人ひとりを大事に
ー最後に読者の方へメッセージをお願いします。
長谷川:人々は皆、幸福になる権利を持っている一方で、社会全体で幸福になるためにさまざまな活動をおこなう義務があると思います。
インターナショナルガバメントガフィンに来てもらえれば実際の活動の場がありますので、一緒に社会全体をよくしていくことができますよ。
また、最近は助け合いやコミュニケーションが苦手という方が多くいらっしゃいますが、社会のなかで孤立するのは非常に危険です。
勇気を出して扉を叩いてもらえれば決して一人にならないようにしますし、今までとは異なる人や価値観と出会いもあり、損をさせない自信があります。
これからも一人ひとりが幸せになるため、一人ひとりを大事にする活動をしていきたいと考えていますので、興味を持ったらぜひお気軽にお問合せください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:NPO法人 インターナショナルガバメントガフィン