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茨城県が拠点の「阿見アスリートクラブ」を取材!陸上競技の普及と発展を願うその想いに迫る

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サッカーや野球などのクラブは全国各地に多数あります。

しかし一方で、身近なところに陸上競技のクラブがない現状…。陸上競技をやりたい人は、学生の間に部活動に入るしか選択肢がありません。

今回は、茨城県で活動する、陸上競技中心のクラブ「阿見アスリートクラブ」理事長の楠 康夫さんにお話を伺いました

陸上競技に対する想いを強く感じた今回の取材。

陸上競技に興味のある方、生涯にわたって陸上競技を楽しみたい方は、ぜひご一読ください。

民間からスタート!陸上業界の発展と生涯スポーツクラブへの想い

桜が咲くなか子どもたちが走っている画像

ー本日はよろしくお願いします。まず、NPO法人「阿見アスリートクラブ」の概要について教えてください。


楠 康夫さん(以下、楠):「阿見アスリートクラブ」は、私が2000年に茨城県稲敷郡阿見町でスタートさせた、陸上競技中心のクラブです。

私は阿見アスリートクラブを、小さなお子さんから高齢者の方まで幅広い年代が在籍しつつ、トップ選手もいるような“生涯スポーツクラブ”にしたいと思っています。

設立当時、私は30年構想でクラブづくりをしようと考えていたのですが、23年経った今、着実に前進してここまで来たなと感じていますね。

クラブの形はほぼ完成したので、あとは後継者を育てながら、私が71歳になるまでクラブ運営を見守り続ける段階に入ってきています。

サッカーにはJリーグがありますが、陸上競技を中心としたクラブはないので、当クラブをJリーグに負けないクラブにするのが私の目標です。

ークラブ発足のきっかけは何だったのでしょうか?


楠:実は私は、ヤクルトの実業団で長距離マラソンの選手をしていたんです。

そして28歳で引退し、引退後は陸上競技からすっかり離れて、ヤクルト本社の営業部や販売会社で仕事をするようになりました。

「これからの人生は仕事を頑張って、陸上競技は応援団として後輩たちにエールを送ればよい」と一度は割り切ったんですけどね。

そんななか、わが家の長男が小学3年生のときに阿見町のマラソン大会があり、低学年の部で2位になると、長男の同級生たちから「僕たちにも陸上を教えてください」とお願いされたんですよ。

当時の私は、食べていくためにヤクルト販売会社の社長になる気で経営を意識して仕事をしていました。

ただそのとき、「クラブをつくれば陸上競技で食べていけるかもしれない」と本気で思ったんです。

それから2000年1月からクラブ生11人で活動をスタートし、6年間はヤクルトの仕事と兼業しながら基盤づくりをしてきました。

その後、40代後半でヤクルトを辞めて現在に至ります。

今思えば、一度陸上を離れたときも、本心では指導者になりたかったのかもしれませんね。

しかし私の世代は日本のマラソンの黄金時代。「一流選手たちと指導者になったら私は格落ちするのではないか」という変なプライドがありました。

それに組織に入るのも、陸上のことを上から査定されるような気がして魅力を感じなかったんです。

でも自分でクラブを立ち上げれば、経営者と監督を兼任できるので、その心配はないと思いました。

子どもや妻を巻き込みながら、「自分の評価は自分ですればいいだけ。よし、これに命をかけてみよう」とここまでやってきたんです。

おかげさまで、ここ5年で「阿見アスリートクラブはすごい」と言っていただけることが増えてきて、やっとブランドになってきたなと感じます。

最初は自分がこのクラブを支えていると思っていたけれど、今では私が阿見アスリートクラブというブランドに守られているわけです。

それが嬉しく、またクラブを運営するのが面白くてたまらないですね。

クラブ生のストーリーを共有する「世代間育成システム」

子どもたちがグラウンドで練習をしている画像

ー阿見アスリートクラブの取り組みについてお聞かせください。


楠:当クラブの事業の柱となっているのは、「世代間育成システム」という、小学生から高校生、そしてトップチームを生涯サポートする取り組みです。

特に高校生までのジュニアの育成に力を入れていて、小学生は週2日から3日、中高生は週5日の定期練習会を開催しています。

以前、スポーツ関係のNPO法人の方から「すごいね、そんなにやっているNPOはないよ」と言われたほどで、部活動に負けないくらいの練習日数です。

また当クラブのジュニア選手は、小学校から高校卒業まで、最大12年間クラブで練習できるので、長期間在籍する選手がたくさん出てきます。

そうなると、大学に進学する人、実業団に入る人、会社に就職する人など、一人ひとりに独自のストーリーができます。そのストーリーを共有しようというのが世代間育成の目的です。

たとえば、今トップチームでオリンピックや世界選手権を狙っているクラブ生がいるのですが、彼は私にとってのモデルになっているんですよ。

世代間育成システムは、当クラブの根源であり、生命線です。

世代間育成システムを軸として、年間50試合の試合サポート、地域貢献のイベント開催、スポーツの普及振興活動など、さまざまな事業を展開しているイメージですね。

そして今後は、引退して年齢を重ねたあとも、生涯にわたって陸上競技を楽しめる仕掛けをつくっていくつもりですが、もうその形はできています。

さまざまな事業の展開でスポーツ全般の普及を図っているのですね!

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ジュニア選手権を開催予定!誰もが陸上競技を楽しめる社会に…

大会で集合写真を撮っている画像

ー今後開催予定のイベントについて教えてください。


楠:8月14日に「ジュニア選手権All Comers Cup」という大会を開催予定です。

関東規模の大会で、茨城県のケーズデンキスタジアム水戸が会場となっています。

ただの公認大会ではなく、イベントも実施するなど、誰でも楽しめるような方向で準備を進めているところです。

昨年はコロナ禍の影響で中止になってしまったので、ぜひ今年は開催まで持っていきたいですね。

あとは冬に、小学生向けの陸上競技大会「かけっこフェスタ」もあります

織田記念で男性が走っている画像

※提供:月間陸上

ー最後に読者の方へ一言メッセージをお願いします。


楠:陸上競技業界は部活動で成り立っているのが現状なので、私は部活動以外のところで、誰もが陸上競技を楽しめるクラブをつくっていきたいと思っています。

陸上競技をやりたい人たちが集まって、そして試合に出る。それが、“阿見アスリートクラブ”です。

日本には、ジュニアの育成システムを持つ陸上競技のトップチームクラブはほぼありません。

だからこそ先駆的なクラブをつくり、参加してくれる人たちをサポートしようと今動いているところです。

「陸上やるなら部活でいいんじゃないの?」という方がいらっしゃるかもしれませんが、クラブから生まれてくるエネルギーはたくさんあります。

また部活動はすばらしいシステムですが、体罰問題や顧問の先生方の働き方改革など、さまざまな課題がありますよね。

それらの解決策のひとつとして考えられるのもクラブなんです。

クラブの必要性を読者のみなさんにもご理解いただき、私たちの取り組みに興味をもっていただけると嬉しいですね。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!


■取材協力:NPO法人 阿見アスリートクラブ

有田 幸恵
この記事を執筆した執筆者
有田 幸恵

Ameba塾探し 執筆者

幼少期は5歳から小学校6年生まで英会話教室に通う。高校受験時には家庭教師や塾の特別講習で猛勉強し、第一志望に合格。その後、芸能関係の道に進み、ライター業に転身する。エンタメや美容ジャンルの執筆を経験した後、弁護士コンテンツの法律記事に携わったのをきっかけに、読者の役に立つ情報発信を志し、2020年9月から株式会社サイバーエージェントのグループ会社 株式会社CyberOwlで編集者兼ライターとして従事。現在、「Ameba塾探し」で保護者やお子さまの未来に繋がる記事づくりを目指しています。