人間にとって自然は欠かせないものであり、子どもにその素晴らしさを知ってもらう自然体験の機会は重要です。
しかしながら、コロナ禍によりステイホームが推奨され、子どもから自然体験の機会が減っているといいます。
そんな現状に危機感を覚え、栃木県内の子ども向け自然体験活動をおこなっている団体によって立ち上がったのが「とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク」です。
今回はとちぎ自然体験活動ネットワークの共同代表である、遠藤 隼さん、真山 高士さんにお話を伺いました。
コロナ禍であっても子どもに自然体験をさせたいと考えている保護者の方はぜひご覧ください。
栃木県内の子ども向け自然体験活動団体を結成
ー本日はよろしくお願いいたします。まずは「とちぎ自然体験活動ネットワーク」の概要について教えてください。
遠藤 隼さん(以下、遠藤):「とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク」は、栃木県内で子どもの自然体験活動に取り組む民間団体のネットワークです。
1年半くらい前に新型コロナウイルスの影響を調査するため、栃木県内の自然体験の現状調査をおこないました。そのときにできた自然体験団体同士のつながりを利用し、より多くの方々に自然体験に参加してもらうことを目的にネットワークとして組織したというものです。
元々1年前に「とちぎ自然体験活動コンソーシアム」という形で、国の休眠預金を利用した事業として、「すべての子どもたちに自然の恵みを届ける」というビジョンを持ち、4団体で活動をはじめました。
その後事業が1年で終了したことを機会に名前を「ネットワーク」に変え、県内の団体をもっと増やしながら、以前と同様に子どもたちに自然体験の機会を増やすべく活動をおこなっています。
最近は子どもが自然と親しむ機会が減っているといわれていますが、特に先述の新型コロナウイルスの影響は大きく、学校が休校になったり、学校の行事が中止になったりと、ステイホームの方針で外遊びの時間が減ってしまっているのが現状です。
そんななかでも子どもたちに自然のなかでのびのび遊び、育つために自然体験を子どもたちに届けたいと願っています。
また、このネットワークはコロナ後の時代においても栃木県の自然体験活動を底上げし、新たな自然体験活動を切り開いていくはずです。
ー具体的にはどのような活動をおこなっているのでしょうか。
真山 高士さん(以下、真山):活動としては、とちぎ子ども自然体験活動ネットワークとして自然体験を企画するのではなく、各団体がおこなっている活動を発信するプラットフォームとしての活動がメインです。
「自然学校」と一口にいってもその活動内容はさまざまで、自然と学ぶことをメインにしているところもあれば、広く環境保全を活動内容にしているところ、学習塾が自然学校をやっているところなど、栃木県内だけでも多種多様な団体があります。
そこでとちぎ子ども自然体験活動ネットワークでは、キーワードとして「子ども対象の自然体験をやっている団体」というカテゴリーを設定し、広く参加を募っています。
申請中の団体も含めると、現在参加しているのは8団体です。
新たな自然を体験する機会に
ーとちぎ自然体験活動ネットワークを作ったことでどのような効果がありましたか。
遠藤:このようなネットワークを組織したことで、共同体験会というものを開催できるようになりました。
これは1つの団体だけでなくさまざまな団体の体験を1度におこなえるイベントなのですが、ある団体の活動に参加した方がほかの団体の活動を知ることにつながるなど、子どもや保護者にとってより多彩な自然体験に参加するきっかけになっています。
ホームページや本で見て存在だけは知っていたという方も、活動を直接体験する良い機会になったと感じておられ、ネットワークを設立した甲斐があったと感じていますよ。
ー今後開催予定のイベントがあれば教えてください。
遠藤:6月5日に栃木県宇都宮市の「みずほの自然の森公園」というところで先ほど申し上げた共同体験会「キッズ&森のようちえんフェス」を開催予定です。詳細は未定ですが11月にも同様のイベントを計画しています。詳しくは公式ホームページからご確認ください。
1年半くらい前に新型コロナウイルスの影響を調査するため、栃木県内の自然体験の現状調査をおこないました。そのときにできた自然体験団体同士のつながりを利用し、より多くの方々に自然体験に参加してもらうことを目的にネットワークとして組織したというものです。
また、私は下野新聞という地方紙で月1回コラムを書いているのですが、そこで親子向けの自然体験の必要性に加え、ネットワーク加盟団体のイベントの告知や、ネットワークとしてのイベントの告知をおこなっていますので、こちらもぜひチェックしてください。
真山:栃木県内の自然体験の指導者の質を上げるための研修や、ボランティアや職員募集についてもとちぎ子ども自然体験活動ネットワークのプラットフォームで発信したり連携したりしていきたいと考えています。
まだ構想段階ではありますが、最新情報はホームページに掲載しますのでご期待ください。
将来を担う子どもに自然体験を
ー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
遠藤:将来を担う子どもが自然に親しむことは、日本のみならず世界の環境問題にとって重要です。
自然体験をすることで子どもは自然や生き物への興味が増し、さらに地球環境などにも目を向けられる大人へと成長します。逆に、自然に興味がない子どもばかりになってしまうと地球環境の改善は難しくなるのではないでしょうか。
最近ではSDGsなど環境問題が広く取り上げられていますが、すぐにできることだけではなく将来に向けた種まきも必要です。子どもの自然体験は即効性のあるものではありませんが、後々必ず効果が出てくるでしょう。
ただ、コロナ禍によって子どもの自然体験の機会はより減っています。とちぎ自然体験活動ネットワークの活動によってこれを食い止め、さらに増やしていけるよう今後も頑張っていきたいですね。
真山:栃木県には海はありませんが、都会から近いのに山、川、里、森、雪など、海以外はなんでもそろっていますよ。
ぜひ都会の方々も栃木県に色々な自然を見に来てください。きっと都会では得られないような体験ができますよ。
ー本日は、貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク