初めての子育て。どこに、そして誰に悩みを相談してよいのかわからず困った経験をお持ちの方はいませんか?
特にコロナ禍で人と会うことが制限されてしまい、苦しい思いをした方もいるのではないでしょうか?
今回は、「松戸子育てさぽーと ハーモニー」理事長の石田 尚美さんと、副理事の加藤 教子さんにお話を伺いました。
子育て中の方、またご自身の子育て経験を活かしたいと考えている方は、ぜひご一読ください!
子どもがいきいきと活動できる場所
―本日はよろしくお願いいたします。まず、「松戸子育てさぽーとハーモニー」がどういった団体なのか教えてください。
石田 尚美さん(以下、石田):私はもともと松戸市の事業などの一時預かりをおこなうボランティアグループに所属していました。
子どもを預けている保護者の皆さんの生の声を多く聞いているなかで、「子どもがより、いきいきと活動できる姿を見たい」という想いが芽生えたんです。
そこで、平成16年にボランティアグループに所属していた6人のメンバーで、子どもに関わるNPOを立ち上げることにしました。
立ち上げて、“小学生の居場所活動”を中心におこなっていました。その後、松戸市の「野菊野こども館」の民間委託を受けることになりました。0歳から18歳の子どもが対象です。
もともと乳幼児を扱うことが多かったこともあり、0歳から3歳の親子が対象の委託事業「松戸市つどいの広場」(現 おやこDE広場小金原)を開始しました。
その後、一時預かりを併設している「ほっとるーむ新松戸」「おやこDE広場北小金」「おやこDE広場八ヶ崎」と活動の場所が増えて、現在は5か所で親子の広場を運営しているんですよ。これらはすべて松戸市の委託事業という形になります。
市の委託事業だけではなく、私たち独自の活動もおこなっています。
たとえば、小学生の子どもをもつ保護者の方を対象としたおしゃべり会、発達がゆっくりめの子どもをもつ保護者向けに座談会、妊産婦さん向けのイベントの企画など。
4月からは小規模保育というかたちで保育園事業にも参入しました。NPOが運営する保育園という独自性を出しながら取り組んでいます。
また、コロナ禍で広場が閉まってしまい…。今まで広場に来てくれていた利用者の皆さんは、どこに相談して、どこに居場所を求めていくのか。
私たちができることは何か、必死に考えました。今まではオンラインを使っての会議などには縁がなかったのですが、まずは、メールでの相談を始め、ZOOMで月に1回、2回の「おしゃべり会」にも挑戦しました。
加藤 教子さん(以下、加藤):私は利用者のひとりで、そのときの代表が現理事長の石田でした。そういった繋がりから3年後にはスタッフとなり、今では広場の代表を務めさせていただいてます。
「おやこDE広場 小金原」は、私たちにとっても最初の“広場”でしたので、いろいろと手探り状態で17年前に始めました。
コロナ禍が少し落ち着き、通常ひろば開館になった現在は月に1回ですが、オンライン広場も続けています。
スタッフの中でいろいろ工夫をしながら、各広場、ただのおしゃべり会だけではなくて、保護者向け、子ども向け、他の親子との繋がりを感じられるような内容で企画運営しています。
私自身が利用していた時も感じていましたが、何か悩みごとがあっても、専門家や市へ相談に行くというのはなかなかハードルの高さを感じていました。
そこが普段から遊びに行けたり、子どもと一緒にスタッフと話ができたりする場所であったら、相談もしやすいのではないでしょうか?
じつは、私自身が子育てをしているときにも大変助けられましたので、多くの子育て家庭に対して、気軽に相談して欲しいと思っていますし、どんな話でも聞く姿勢は持ち続けたいと日ごろから活動しています。
モットーは「一人ひとりを大切にする」
―今後開催予定のイベントを教えてください。
石田:各広場いろいろなイベントをおこなっています。
乳幼児向けのものが中心にはなりますが、最近では、保育園を利用する方が増加していて、私たちの広場を利用される方の年齢が低くなっているんです。
そういう意味では、お子さんの出産を控えているプレママ・プレパパのときから、この地域にこういう広場があることを知ってもらうためにの周知をしていきたいですね。
もともと市が主催するママパパ学級と一緒に活動をしていましたが、コロナ禍でなかなか実施できていませんので…。
また、私たちは市から認定を受けた“子育てコーディネーター”という立場で、保護者の方々の相談を受けることが多いですが、最近の悩みごととして、子どもの発達がゆっくり目だという方が増えています。
その子が何に困っていて、何が大変だかを周りの人が理解できていないと、子どもと親はもっと困ってしまいますよね。
「一人ひとりを大切にする」が、私たちのモットーでもありますので、一人ひとりに寄り添い少しでも正しい情報を伝えていくことも私たちの使命です。
加藤のように今まで利用者だった人たちが、次の世代の人たちに伝えていくということも大切だと思いますので、ゆっくり目の発達に困っている人たちに対して、先輩ママや専門家の人たちを呼んで座談会をおこなうことも考えています。
イベントに関しては、決まり次第ホームページでもお知らせしていきますので、ぜひご覧ください。
困ったときは周囲に相談して欲しい
―最後に読者の方へ向けてのメッセージをお願いいたします。
加藤:「子育てはひとりじゃない」ということを伝えたいですね。
子育て中は、どうしても孤独になりやすかったりとか、独りで悩んでしまったりすることが多いかと思います。
私たちは地域の中で、みんなで子育てを見守っていけたらということを理想に掲げています。
少し話すだけで気が楽になることもあるでしょう。
私たちのような子どもたち、そして保護者の方々が集まれる場があることを知っていただけたらと思っています。ぜひ、勇気を出して一歩外に出てみてください。
石田:子育てに関わるあらゆる人たちに向けて、私たちはこれからも活動していきたいと思っています。
お母さん、お父さんだけではなく、おじいちゃんやおばあちゃん、そして地域の子どもがいない方たちにも子どもに目を向けてもらいたい。みんなで理解を広めてもらうところから始めていきたいと考えています。
皆さん、子どもは何もできない、お世話をしなければいけない、大変だと感じられているでしょう。しかし、子どもというのは、とてもすごい力を持っているんですね。
一緒に見守っていきながら、子どもの力を信じてもらえたら、きっと子どもはすくすくと育っていくでしょう。そういう意味ではしっかりと子どもに向き合って欲しいと思います。
そのときにちょっと困ったり、悩んだり、気になったりすることがあれば、お住いの地域の私たちのような団体を頼ってください。決してひとりで子育てを頑張りすぎないでくださいね。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:松戸子育てさぽーとハーモニー