NPO法人Small Stepの「居場所づくり」でおこなう“慢性疾患児と家族に寄り添うサポート”とは

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慢性疾患を抱える子どもを持つ保護者の方のなかには、就園・就学先が見つからず途方に暮れている方、お子さんとの付きあい方に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

悩みごとや困ったことがあるときは家庭のなかだけで抱え込まず、外部機関や同じ境遇の人たちと交流すれば解決できるかもしれません。

今回は、慢性疾患児とその家族を支えるサポート事業「居場所づくり」を運営する、NPO法人Small Step(スモールステップ)の浪口 智子さんに、交流会やイベントなどのお話を伺いました

慢性疾患児のご家族の方、子育てに関する悩みを誰かに相談したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 慢性疾患児とその家族の居場所をつくるサポート事業
  2. 勇気や希望をもらえる交流会が保護者同士のつながりに
  3. 病気を持つ子どもが地域のなかで自立できる環境を目指して

慢性疾患児とその家族の居場所をつくるサポート事業

慢性疾患児のご家族交流会をzoomで行っている画像

ー本日はよろしくお願いします。まず「居場所づくり」の事業概要について教えてください。


浪口 智子さん(以下、浪口):「居場所づくり」は、疾患を持つお子さんのご家族や、就園・就学に悩む方のサポートを目的に、交流会やイベント、勉強会を企画・運営しています。

事業を担うのは、NPO法人Small Stepです。Small Stepは、子どもの自立を目的に、Small Ally(スモールアライ)というサービスを提供しています。居場所づくりも、このSmall Allyの事業のひとつなんです。

実は、私には慢性疾患を持つ娘がいます。今から4年前、私は娘の就園活動をしていたのですが、「医療ケアが必要だから難しい」などの理由で、受け入れ先の幼稚園をなかなか見つけられずにいました。

そのとき医療的ケア児の受け入れ施設として区役所から教えてもらったのが、Small Stepの運営する「すもーるすてっぷ保育園」だったんです。

残念ながら年齢があわなくて入園はできませんでしたが、「いろいろな方法があるから一緒に考えてみましょう」と相談に乗っていただけて、そこから私もSmall Stepの活動をお手伝いするようになったんですね。

最初は調理補助や法人の会員管理のお手伝いをしていましたが、だんだん「保護者のための居場所づくりや交流会の場が必要」と思うようになり、居場所づくりの事業を始めることにしました。

ちなみに娘は地域の幼稚園への入園が決まり、今では地域の小学校に通うようになったんですよ。

私も経験したからわかるのですが、就園・就学をどう進めたらいいかわからないときこそ、保護者同士での失敗談や情報の共有が本当に大切なんです。それに私は、話をするだけでも気持ちが支えられました。

今度は私がそういう“居場所”を提供していけたらなと思って活動しています。

勇気や希望をもらえる交流会が保護者同士のつながりに

慢性疾患児のご家族交流会の画像

ー居場所づくりの交流会では、どのような活動をしていますか?


浪口:過去の事例としては、2019年度にパネルシアターを楽しみながら、ご家族の交流会をおこないました。

交流会にパネルシアターのイベントを組みあわせたのは、保護者同士で話す場を設けようと思っても、疾患を持つお子さんの場合は預け先を見つけるのが困難だからです。

一緒に参加する子どもたちが退屈せず、楽しめる場を考えました。

また「保護者だけでなく、子ども同士のつながりもつくりたい」という希望もあったので、親子でパネルシアターを楽しんだあと、保護者の方々はお話し会、子どもたちはパネルシアターの工作教室と分かれるような流れにしました。

パネルシアター開催にあたり、たくさんのボランティアの方、これから学校の先生になる方にお手伝いに入っていただけて、参加されたみなさんにとっていい経験の場になったと思っています。

パネルシアターのあとは、年に2、3回の頻度でZoomの交流会を開きました。

Small Stepに通う慢性疾患児のご家族を中心に、現状を話したり、資料を共有したりと情報交換しましたね。

さらに昨年度は、パルシステムさんの助成金を活用して、交流会の頻度を1、2ヶ月に1回程度まで増やしたり、オンラインとリアルの場を併用したハイブリッド交流会を開催したりしました

ー交流会は保護者の方々にとってどのような場になっていますか?


浪口:どうすれば受け入れ先に医療ケアについて知ってもらえるか、どういうところに注意して伝えればいいのか、保護者同士で相談しあえる場になっています。

医療ケアとはどういうものなのか、まだ世間ではあまり知られていません。知らないから、保育園や幼稚園、学校側は「大丈夫なの?」と不安になるんだと思うんですね。

私たち親も、我が子の医療ケアについて不安を感じた経験があります。だから保育園や幼稚園、学校に子どもを預けようとするとき、現場の方々が不安を感じるのはわかるんです。「無理はいえないよね」とみんなが思っています。

でも資料を用意したり、看護師さんに協力してもらったりして、「これだけ注意してもらったら大丈夫なんですよ」と相手にわかってもらえれば、受け入れ先の反応も変わってくるんですよ。実際にお子さんを見てもらうことも大切です。

そういうちょっとしたアドバイスをもらえるところが、交流会のいいところだと思っています。

わからないこと、不安なことなどを話せる交流会は、保護者の方にとってとても大事な場所なのだろうと感じました。

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病気を持つ子どもが地域のなかで自立できる環境を目指して

チラシの画像

ー今後開催予定のイベントについて教えてください。


浪口:今年度は4回、ハイブリッド交流会を開催したいと思っています。

現時点では5月にZoom&すもーるすてっぷ保育園にて開催の予定です。

また昨年度は、慢性疾患児ご家族の交流会という大きなテーマでスタートしたのですが、今年度はもう少し小さいテーマに絞って複数の交流会を開催します。

テーマは私たちが決めることもありますが、それ以外にもみなさんから意見をいただきたいです。

最近だと「気管切開の医療的ケア児のご家族の話を聞きたい」「療育について話したい」という要望をいただいて、交流会を開催しました。

テーマだけでなく、呼んでみたい講師や開催したいイベントなど、どんなことでも構わないので、提案やお手伝いいただきたいですね。

今後は交流会のほか、ほかの団体さんとの共同イベント開催や、ケースワーカーや保健師の方、小学校の教育委員会の方とのシンポジウムをできたらいいなと思っています。

でも私ひとりでは実現できないので、悩んでいるご家族が全国にこれだけいることを伝えられるよう力をお貸しいただき、疾患を抱えている子どもたちが受け入れてもらえる環境をつくっていきたいです。

ー最後に読者の方へ一言メッセージをお願いします。


浪口:疾患を持つ子ども本人はもちろんですが、その保護者の方々も医療ケアや体調管理など、すごく頑張っていると思うんです。

ご家族だけで抱え込まずに、居場所づくりの交流会へ顔を出していただけると嬉しいですね。

医療ケアの悩みに限らず、さまざまな子育ての悩みをテーマにしているので、みなさんでお話ししましょう。

また地域や行政の方々にも、医療ケアや療育が必要な子どもたちについて知っていただきたいと考えています。

今は当事者のご家族だけで集まっていますが、ゆくゆくは地域や行政の方々にも参加してもらえる交流会に育てていきたいです。

私たちSmall Stepは、病気を持つ子どもが地域のなかで自立できる環境をつくることを目指して活動しています。

居場所づくりサポート事業のほか、保育園事業中間支援事業にも取り組んでいるので、興味のある方はぜひお声がけください!

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!



■取材協力:居場所づくり(NPO法人 Small Step)

有田 幸恵
この記事を執筆した執筆者
有田 幸恵

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期は5歳から小学校6年生まで英会話教室に通う。高校受験時には家庭教師や塾の特別講習で猛勉強し、第一志望に合格。その後、芸能関係の道に進み、ライター業に転身する。エンタメや美容ジャンルの執筆を経験した後、弁護士コンテンツの法律記事に携わったのをきっかけに、読者の役に立つ情報発信を志し、2020年9月から株式会社サイバーエージェントのグループ会社 株式会社CyberOwlで編集者兼ライターとして従事。現在、テラコヤプラス by Amebaで保護者やお子さまの未来に繋がる記事づくりを目指しています。