「ミニヨコハマシティ」は子どもたちが創り上げるまち!その活動内容とは?

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最近は子どもたちが忙しく、好きなことをやる時間を取れない傾向にあります。また、自分の意見を言う場が減っているのも問題です。

子どもたちが自由に自分の意見を出して話し合い、自分のやりたいことを、話し合いながら、子どもたちの力でまちを創る、子どものまちが、NPO法人「ミニシティ・プラス」が運営する「ミニヨコハマシティ」プロジェクトです。

子どもたちが自分でまちを創り上げるこの活動は、SDGsの11番「持続可能なまちづくり」の理念とも合致すると「ミニシティ・プラス」事務局長である岩室 晶子さんは話します。

子どもたちが自由な発想で活躍できる場を探している方、横浜にお住まいの方はぜひご覧ください。

  1. まちづくりを通して自分らしい生き方を見つける
  2. 8月に「ミニヨコハマシティ」を開催
  3. 子どもに好きなことを好きなだけする時間を

まちづくりを通して自分らしい生き方を見つける

「ミニヨコハマシティ」活動の様子

ー本日はよろしくお願いいたします。まずは「ミニヨコハマシティ」の活動内容について教えてください。

岩室 晶子さん(以下、岩室):「ミニヨコハマシティ」はNPO法人ミニシティ・プラスによって運営されている、「子どものまち」を横浜に作るプロジェクトです。

現代における子どもたちの課題はいくつもありますが、そのなかの1つにいろいろな大人と関わる機会が少ないということが挙げられます。

たとえばスーパーやコンビニでは一言も言葉を交わさずに買い物ができますし、学校や塾や家の行事が忙しくて家族や親戚、学校や塾の先生以外の大人と話す機会がない子どもも多いのではないでしょうか。

その結果、地域の中に知り合いもなく、いざというときに助けてもらえるような社会的なつながりが持てなかったり、子ども同士でも異年齢の知り合いがいなかったり、という状態があります。

自分のまわりの狭い世界で生きていると、多様な経験ができず、自分の意見を持つこともできない状態になりがちです。

「ミニヨコハマシティ」は、子どもが自由に、自分のやってみたいことを好きなだけチャレンジできる、大人口出し禁止のこどものまちです。ここでは異年齢のこどもや大人のサポーターと一緒に、自由に意見を出し合い、理想のまちを創る活動をしています。

この活動は、ドイツのミュンヘンに「ミニ・ミュンヘン」という、40年前から続いている子どものまちがあり、そちらをモデルにして始まりました。

子どもたち自身が社会について、まちについて自由に考えながら、子どもたちで話し合いながらまちづくりを体験し、そのなかで自分らしさが活かせる生き方を自分の力で見つけるのが目標です。

私たちがこのプロジェクトを始めた頃、ミニ・ミュンヘンをモデルにした同様の「こどものまち」は日本に30ほどしかなかったのですが、今では全国300以上に増えています。

私たちのこどものまち「ミニヨコハマシティ」では、参加している子どもは、今年は5歳から19歳までいます。今までに最年少記録では4歳で店長をやった子もいますよ。

ーそのような幅広い年齢層で、子どもたちだけでまちが作れるのでしょうか。

岩室:はい、子どもたちは会議でディスカッションしながらうまく意見をまとめていけます

会議の手順としては、まずどのような街にするか、大きなテーマ決めから始めます。

さすがに会場は大人が決めますが、たとえば海沿いの大桟橋ホールで開催したときは海のなかに浮かんでいるような街をイメージしたり、古民家のようなところでは街ではなくて村にしたりといった具合です。

大きなテーマが決まったら、その「こどものまち」の中で、子どもが一人ひとり何をするか、やりたいことを出し合っていきます。

たとえばホットケーキ屋さんをやりたい子どもが5人も6人もいるような状況になった場合、みんなで1軒のホットケーキ屋をやろうとか、誰かが諦めて違うものをやるとか、銀行員が1人もいないけど大丈夫かとか、まちに必要なものを考えながら担当が自然に決まっていきます。

担当が決まったら、さらにそのなかで何が必要で、どうやって役割を回していくかなどの準備を1年の中でおこないます。

子どもたちが頭のなかで考えるだけでなく、実際の店などに研修に行くこともあります。たとえばデパートに行って商品の並べ方を習ったり、本物のケーキ屋さんに行ってケーキの作り方を習ったりを大人が調整し、実現します。

また、長期休暇などに他の「こどものまち」の視察に行ったり、他の「こどものまち」のこども市長と対談したりすることもあります。

人は大人になるにつれて「まち」というものの既成概念にとらわれ、自由な発想ができなくなりがちです。固定概念があまりない子どもたちからは、ときには面白いお店も生まれます。

以前、「電車博物館」を作った子どもがいました。どんなものかというと、プラレールでできた電車の博物館で子どもたちが遊ぶことができるお店でした。

砂鉄を集めて売る「砂鉄屋」や、店と店の間の御用聞きをする仕事で起業した子どもや、似顔絵を描いて売っていたけど売れなくて、途中からしおりを作って売る子ども、宝くじを急に売り出す子どもなど、本当に自由な発想で、いろいろなユニークなお店ができます。

このような活動は、SDGsの11番目「住み続けられるまちづくりを」につながっていきます。将来的には子どもたちがまちづくりを担うわけですが、次世代を担う子どもたちが、まちに関心を持ってくれないと、住みやすい、素敵なまちにはならないのではないでしょうか。

子どもの頃から「子どものまち」でまちづくりに携われば、本物のまちをよく見るようになり、まちへの関心度が変わっていきます。大人になってもよりよいまちを創るということに関心を持ち続けてくるとよいなと思っています。

8月に「ミニヨコハマシティ」を開催

「ミニヨコハマシティ」活動の様子

ー「ミニヨコハマシティ」の活動に参加するにはどうしたら良いでしょうか?

岩室:「ミニヨコハマシティ」の運営市民は年中受け付けています。以前はイベント当日でも参加できたのですが、最近はコロナ禍の影響で事前申し込み制にする予定です。

ミニシティ・プラスでは「こどものまち」を地域団体や青少年支援団体、地区センターなどのコミュニティ施設、学校などの行事やイベントでおこなうための支援もしています。

「ミニヨコキット」という、子どものまちを作るキットの貸し出しもおこなっていますので、使ってみたい方はぜひお問い合わせください。

東北の震災の後に、子どもたちと「ミニヨコキット」を石巻に持っていき、そこで1日だけの「こどものまち」を開催したこともあります。ちなみにキットは段ボール製で、コンパクトに持ち運べて再生可能なため、SDGsの理念にも合致しています。

ー今後、開催予定のイベントがあれば教えてください。

岩室:8月12日(金)と13日(土)にミニヨコハマシティの本番を開催します。

横浜市役所1階のアトリウムで、両日とも10時から16時くらいまで開催予定です。

開催日の1カ月ほど前から応募を受け付ける予定にしていまして、ホームページ上でお知らせをおこないます。興味がある方はぜひ参加してください。

「ミニヨコハマシティ」の活動場所でもある横浜市には、たくさんの塾・学習塾があります。

テラコヤプラスでは、横浜市都筑区 塾・学習塾 ランキングや、センター北駅 塾・学習塾 ランキングなど、エリアや駅など条件を絞って塾を探すことができます。

お子さんの塾探しにぜひご活用ください!

子どもに好きなことを好きなだけする時間を

「ミニヨコハマシティ」活動の様子

ー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

岩室:子どもには好きなことを好きなだけやれる時間をあげてほしいと思います。

勉強が好きな子は勉強を、化学実験が好きな子は化学実験を、ピアノが好きな子はピアノをといったように、一律ではなくそれぞれの個性を大事にしてあげたいと子どもたちと接していると強く感じます。

自分の力で自分がやりたいことを見つける可能性は誰にでもありますが、それには時間が必要です。その意味でも、たとえ毎日でなくても子どもが自分の好きなことをやれる時間は必要ではないでしょうか。

好きなことで遊ぶ時間は大切です。遊びの時間がこどもたちの発想を豊かにし、自分で考える力、生きる力を育みます。ノーベル賞を受賞した方のお母さんに「どうやって育てたんですか?」との問いで、子どもの頃は自由に外遊びをしていたとか自然のなかで駆け回っていた、という話を聞いたことがあります。

一方で、たとえば都会では外で遊ぶ子どもが少なくなっているという調査結果があるそうです。

たとえば砂場のようなところで、何もないところから何かを作りだすとか、森の中に秘密基地を創るとか、そんなことを失敗しても良いからやってみる、そういう経験は遊びのなかからこそ生まれるので、自分の好きなことで遊ぶ時間を大切にして欲しいなと思います。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

■ 取材協力:ミニヨコハマシティ

中山 朋子
この記事を執筆した執筆者
中山 朋子

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

小さい頃からピアノ、書道、そろばん、テニス、英会話、塾と習い事の日々を送る。地方の高校から都内の大学に進学し、卒業後は出版社に勤務。ワーキングホリデーを利用して渡仏後、ILPGAに進学し、編集ライターの仕事をしながらPhonétiqueについて学ぶ。帰国後は広告代理店勤務を経て、再びメディア業界に。中学受験を控える子を持つ親として、「テラコヤプラス」では保護者目線の有益な情報をお届けする記事づくりを目指しています。