ブログやSNSでの家事子育てへの積極的な姿に“理想のパパ”ナンバー1とも言われている、タレントのつるの剛士さん。
かつて天然キャラで大ブレイクしたつるのさんですが、今春には短大を卒業するなど、今話題となっている大人の“学び直し”にも挑戦しています。
「子どもに“勉強しなさい”と言わなくなった」、三女の中学受験を通して「一緒に学び合えて感慨深いものがあった」とその効果を明かしてくれましたが、“学び直し”決意の裏には子育ての悩みも。
それらを経験したつるのさんが語る子育てアドバイスも必見です!
「点が線になる面白さがある!」勉強に目覚めた理由
―まずは、短大卒業おめでとうございます!つるのさんのように、大人の“学び直し”が話題になっていますが、つるのさんにとってはいかがでしたか?
つるの剛士(以下、つるの):絶対いいと思う!おすすめ。実は短大に入る前に、当時小学生だった息子が通っていた学習塾に入ったんですよ。きっかけは、おバカタレントの僕が息子には「勉強しなさい」ってずっと言い続けていたことにずっと「なんかおかしいな…」と違和感を抱いていたこと。それである日思い立ち、息子には塾を辞めさせて僕が入りました。
そしたら勉強が楽しくなってきちゃって、気が付いたらあれほど息子に「勉強しなさい」って言っていたのに、言わなくなっていたんですよ。「自分がやりたいときにやりな~」って寛大になったんです(笑)。
―つるのさんはどのような勉強をしていたのですか?
つるの:個別指導の塾でマンツーマン授業を受けていました。始めは塾に通っていたのですが、仕事などとの両立を考えてその後はオンラインに。特に歴史なんか
勉強し直してみてすごく良かったですね。
これまでの芸能生活で各地にロケで行かせてもらい、遺跡や名所など訪れていたので自分の中で“点”はたくさんあったのですが、それらを繋げる時代背景などの“線”がなかったんです。それが学び直したことで、その点を線で繋げられるようになり、人生経験を積んでまた勉強することの楽しさを実感しました。
大人になって勉強することの楽しさを知ったからかな?子どもたちには、勉強のことより「好きなことをやったらいい」と話すようになりました。勉強したいと思ったときに勉強したらこんなに身につくんだなって分かったからかもしれません。
「基本はリビング学習。娘は騒がしい中で勉強をしていました」三女の中学受験秘話
―先日ニュースで、娘さんが中学受験に合格されたと拝見しました。つるのさんの短大ご卒業に続き、おめでたいこと続きですね!
つるの:いや、実はこれニュースになるとは思わずつい喋ってしまったことで、後で奥さんに怒られちゃったんです。「テレビの前で何てこと言うの!」って。
突然みんなから「おめでとう」ってたくさん連絡が来るんで「なんのことだ?」と思っていたら、合格したことがネットにニュースとして上がっていて、嫌な予感がしたら奥さんから電話が…(笑)。
―そうだったんですね。中学受験と言えば子どもの力ももちろんですが、親のサポートも大きいと言われます。つるのさんはどのようにサポートされましたか?
つるの:基本的には「子どもの意見を尊重する」ことを心がけていました。
中学受験のきっかけは、進路を考える時期に何気なく「どうしたい?」と聞いたら「他の学校も見てみたいみたいな」と話すので「じゃあ…」と、そんな感じでした。
その後は、どんな学校がよいのか一緒に調べて見て回り、学力に合うところというより、本人が「ここに行きたい!」って思う気持ちを汲み取っていきましたね。
女の子なので、制服も学校の決め手になったようで、ギリギリになって「こっちも受けてみたいな」って、そんなこともありましたね。
勉強が好きなタイプだったので、世の中で言われているような根詰めて勉強というのはなかったと思います。勉強だけに限らず小さいときから机に座って何かするのが好きだったので、それが結果的に中学受験での勉強に繋がったのかも知れないですね。
―中学受験に向けてお子さんは塾などにも通われましたか?
つるの:通っていなかったんじゃないかな…あっ、通っていましたね! 塾に通い始める前と後で特に変化もなく、ごく自然だったのでつい忘れちゃいますね。
塾も習い事も基本的には奥さんが色々見つけてきてくれるのですが、いくつか体験させてみて子どもが「違うな…」って感じるようだったらすぐに辞めさせて、子どもの意見を大切にしていました。
「こういう塾だからよい」「こういう結果が出てる塾だからよい」っていう親の気持ちより、本人が勉強し易い環境を一緒に見つけてあげるような感覚でしょうか。
―インスタではご家族でリビングの机で一緒に勉強している写真を拝見しました。リビング学習が日常なのでしょうか?
つるの:そうなんです。我が家は基本的にリビング学習。もう、それはそれは騒がしいところで一緒に勉強をしています。特に理由はなく、小さいころからそうだったので、自然にそれが続いただけだったのですが、それが良かったのかも知れないな、と思いましたね。
僕自身もちょうどそのとき短大の勉強をしていたから、その姿を見て娘が後ろから「その勉強って楽しい?」とか聞いてくるんですよ。「興味あるの?」って聞くと「私もそっち行こうかな…」とか言い出して。そこで初めて「リビング学習いいな」と思ったんですよ。
―まさに“親の背を見て子は育つ” といった感じですね。
つるの:そうなんですよね…合格の報告を聞いたときに「もしかしたらそうだったのかも知れない…」って思ったら感慨深くなってしまって。だから尚更嬉しかったですね、人一倍喜んでしまいました。だからつい「欲しいものある?」みたいなこと、娘に聞いちゃいましたけど「何もないです」みたいな反応で、そっか…と(笑)。
合格はもちろん子どもが頑張って勉強した結果なのですが、僕が勉強したことも報われたような気がしましたね。子どもが頑張っている姿を見て僕も勉強を頑張れましたし。
「これ分からないな、なんだろう。パパもちょっと調べてみるわ」って調べて一緒に勉強に混ざることで子どもは“勉強する”より “学ぶ”という感覚に自然になっていたと思います。
「“子どもたちに勉強させてもらっている”が僕の子育てのスタンス」
―5人お子さんがいらっしゃいますが、各々好きな道を見つけて進学されていますよね。自主性を促すためにどのようなことをしていますか?
つるの:「こうしたらこうなる」なんてことはないんですよ。それぞれのやり方で親も学びながら一緒に成長していったんで。
長男は初めての子だからやっぱり心配で「勉強しなさい」って言っていたけど、自分が学んだことで息子のいいところが見えるようになりました。長男は自然が大好きでそれをもっと学びたいと思っていることが分かり、色々と提案したら自分で「カナダへ行きたい」と言って、今は留学しています。
長女はそんなお兄ちゃんを見て「私の道はこれだ」って自分で考えて、日本で勉強も部活も一生懸命頑張ってるし。次女は次女で、最初から「海外に行きたいんだ」って言っていましたし、中学受験した三女は「勉強が好きだ」みたいな子だったんでね。
―こうしてお聞きしていると、本当に寛容に子育てされているところしか思い浮かばないですね。
つるの:困ったことももちろんありますよ! やっぱり長男のときですよね。初めての子だから僕もピリピリしていました。だから悪いことしたんですよ、長男には…。「あのときは本当にごめん」って今でも謝っていますよ。だって、「遊んでないで、勉強しろ!」ってゲーム機を床に投げてしまったこともありますから。
そういう子育ても自分も嫌だったので、「僕が変わらないともうダメだ!」と思ったんですよ。だから塾に通い始めたんです。
―つるのさんにもそのような時期があったんですね。
つるの:小学校の高学年って特に難しいんですよね。今まで親が線路を引いてきたから「この子ってこういう感じだよね」って親は分かっているつもりだったのに、思春期になってくると、その線路からはみ出してくるんですよ。子どもが何考えているか分からないし、本人も自分がどうなりたいのかよく分かっていないしで、親子ともども大混乱。
でも経験してみて思うことは、「子どもは自分で線路を引く」ってことです。自分を振り返っても、親が準備してくれた線路を途中ではみ出して自分で切り拓いていましたし。
小さいときは環境を整えるのは親だと思うんですけど、ある程度線路を引いたら、あとはもう背中を押すだけですね。思い切って子どものことを信頼してみたら、あんなに怒ることなかったなって、自分が心配していたことは全然大したことなかったです。
―ぜひ今不安を抱いている保護者の方へアドバイスをお願いします。
つるの:各ご家庭によって教育方針も違うので一概にはなんとも言えませんが、僕の経験したことから言わせてもらうと、“子どもに頑張らせるんじゃなくて、自分が頑張る!”。
大人になって勉強など好きなものを学び直して頑張ってみると、びっくりするぐらい頭に入ってくるので「子どもたちも興味があることにはこうなるよね」って思えるようになります。
だから、子どもが何をしているときに一番目が輝いているか、何をしているときにうずいているかみたいなところは気を遣っていました。
でも、親御さんが悩むのもいいと思うんですよ。そこで学ぶこといっぱいあるし悩むのもひとつの愛情じゃないですか。それはすごく素晴らしいなと思います。
言い過ぎたら、あとから反省して謝り「自分も変わってみよう」と行動する。
自分の人生だけの価値観で子どもに「こうしなきゃ、ああしなきゃ」じゃ勿体ないですよね。僕たちのスケールよりもでかいものを持っているんだと思って「子どもたちからいろんなことを学んでいこう」ぐらいの方が肩の力がいい具合に抜けるんですよ。
だから、僕は「子どもたちに勉強させてもらっている」、そのスタンスでこれからもいようと思っていますね。
取材協力:つるの剛士
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