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NPO法人「ぐんま若者応援ネット アリスの広場」が伝えたい“不安を抱える子どもたちへの想い”とは

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不登校やひきこもりになった子どもたちは、自分に問題があるのではと、自分を責めてしまうことがあります。だからこそ、孤独に陥りやすいことが問題なのです。

今回は、不登校やひきこもりの若者へ安心して自由に過ごせる居場所を提供する、NPO法人「ぐんま若者応援ネット アリスの広場」を取材

理事長の佐藤 真人さん自身もまた、不登校・ひきこもりの経験者であり、そこから脱することができたのは、フリースペースの存在があったからだといいます。

居場所がないと感じている当事者の方はもちろん、我が子にどう接してよいかわからないと悩んでいる保護者の方は、ぜひご一読ください。

ひきこもり当事者だからこそつくれた“みんなの居場所”

カフェで集まって話をしている画像
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、NPO法人「ぐんま若者応援ネット アリスの広場」の設立経緯や概要について教えてください。

佐藤 真人さん(以下、佐藤):「アリスの広場」は、不登校やひきこもりなど、さまざまな理由で学校や会社に行きづらくなってしまった人たちが自由に過ごせる空間です。

そのため、ここでは特に決まったプログラムはありません。スタッフや友だちと話したり遊んだりするのも、ひとりで本を読むのも、自由です。

そうやって過ごしているなかで、まずは外に出ることに慣れてもらえたらと考えています。

実は私自身ももともとは当事者で、中学1年生から約6年間、不登校かつひきこもりでした

そんなときに、アリスの広場のようなフリースペースにお世話になったんです。

それも、二回。10代のときに一回お世話になり、その後なんとか大学、大学院と進めたのですが、社会人になってからまたつまずいてしまいました。

そして20代の終わりごろから社会復帰できるようになるまで、また同じフリースペースにお世話になりましたね。

けれども私が社会復帰した前後、お世話になった群馬県と埼玉県のフリースペースが相次いで活動を終了してしまったんです。

当時の私を救ってくれたのは、間違いなくフリースペースだったし、その場にいた理解あるスタッフさんたちもみんな解散してしまったことが、すごく残念に感じました。

その気持ちをずっと持ち続けているなかで、あるとき出会った経営者の方に、ふとそんな話をしたんですね。

そうしたら、「場所はあるから、フリースペースをやってみないか」と話を持ち掛けられ、2014年に、この「アリスの広場」設立に至りました

私自身にはもともと団体をひとりで立ち上げるような力はなく、あくまで縁があってなんとか設立にこぎつけられたと思っています。

それでも、ひきこもり経験者であるからこそ、不安な日々を受け止めてくれる「居場所(フリースペース)」の大切さはよく知っています。

アリスの広場では、小学1年生からおおむね30歳くらいまでの方を想定して受け入れていますので、どこにも行けない、どこにも行く場所がないと悩んでいる方には、ぜひ訪れてみてほしいです。

自分のペースを最優先…仕事体験が自信や社会参加のきっかけに

ゆったりアーツでの美術館内の画像

ー活動内容について、詳しく教えてください。

佐藤:普段はのんびり自由に過ごせるスペースを提供していますが、定期的に「森林浴」や「仕事体験」などをおこなっています。

親御さんも参加可能な森林浴は、「ゆったりアウトドア」と名付けていて、日帰りで近くの森に行くこともあれば、1泊2日でキャンプ場に行くこともあります。

それから仕事体験では、桑畑の整備や伐採、オフィスビルの清掃、イベントの会場設営など、これまでさまざまなことに取り組んできました。

最近は、ボランティアの方が経営するカフェでの手伝いや、ほかの団体さんが取り組んでいるキッチンカーで焼きまんじゅう販売に参加するなどしています。

私自身、二度目のつまずきで働くことに対して怖いという思いが強くなったとき、フリースペースを介した簡単な仕事体験に救われた経験があるんですね。

だから「アリスの広場」のみんなにも、仕事体験をとおして、自信や社会参加のきっかけを持ってほしいと思っています。

ーそのほか不定期のイベントなどは開催されていますか?

佐藤:今はコロナ禍の影響でしばらくお休みしているのですが、以前は「お料理会」を月一回くらいのペースで開催していました。

去年は、その代わりに味噌づくりをやりましたね。味噌づくり教室を開いている親御さんがいるので、教えてもらったんですよ。

このように、親御さんやボランティアの方に協力してもらっておこなうイベントも多いですね。

それこそご夫婦でカフェを経営しているボランティアの方が、薪で焼くタイプの本格的な焼き窯を持っていらしたので、ピザづくり体験をしたこともあります。

今はどうしてもコロナ禍の状況を見ながらにはなってしまいますが、今年も、アーティストさんと一泊二日のアウトドアイベントなど、趣向を凝らしたイベントを開催したいと思っています。

仕事体験が自信につながり、その後の生き方によい影響をもたらすのではと感じました。みんなで参加するイベントも気持ちの変化につながりそうです!

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疲れたときは、焦らず、責めず、自分にあった生き方を

ワンデイゆったりアウトドアでみんなで湖を眺めている画像

ー現在、寄付は募ってますか?

佐藤:はい、公式ホームページから、寄付のお願いをしております

というのも、正直なところ、運営が少し厳しい状況なんですね。

みなさまからの寄付金でなんとかなっているため、少額からで構いませんので、もしよろしければ、ご協力ください。

ー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

佐藤:心が疲れてしまったら、まず休むことはとても大事です。

そこで無理をすれば、さらに心が疲弊してしまい、社会復帰はさらに難しくなってしまいます。

だから、本当に疲れてしまったときや、精神的に「どうしても今は動けない」というときは、 迷わず休んでください

ただそのままずっと休み続けて、家にいるのは、それはそれでしんどいんですよね。

しかしながら、いきなりまた学校に行こうとか、仕事してみようなんていうのは、すごくハードルが高いこと。不安だったり、怖かったり、なかなか一歩を踏み出せないと思います。

そんなときのために、ここはあります。「アリスの広場」は、いわば家と社会の間にある“ステップの場所”です。

また、不登校やひきこもりのお子さんを持つ親御さんにも、社会復帰のハードルの高さは知ってほしいと思っています。

まずはお子さんの気持ちの理解に努めてください。

そのうえで、自分たちだけではどうにもできないと感じたなら、「アリスの広場という場所があるよ」と、お子さんに伝えてみてください。

無理やり引っ張って連れて来ても、逆効果になってしまうので、あくまで情報提供として伝えるんです。

それでも、お子さんは無反応だったり、怒ったりするかもしれません。

ただ、伝えられた情報は、頭の片隅に残っているはず。そして、ちょっとした気持ちの変化が起きたときに、「アリスの広場っていう場所があるって、前に親がいっていたな」って、思い出すでしょう。

実際これまでにも、まずは親御さんだけが見学に来て、それから半年以上経ってから本人が来てくれたケースがありました。

一度つまずいてしまうと、また気持ちが上を向いていくまでには、相当な時間がかかります。それこそ年単位でかかるのが当たり前です。

ご本人も親御さんも、まずは焦らないでください。責めないでください。

大丈夫です。生き方にはいろいろな道があります。一般的な道から外れて寄り道をした結果、自分にあった生き方を見つけられる人はたくさんいます。

でも、それを見つけるためには、心に余裕が必要なので、まずは「アリスの広場」でのんびりと自分らしく、楽しみましょう。

そのなかで「次のステップに進みたい」という気持ちが湧いてきたなら、私たちは全力で手を貸します

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:NPO法人 ぐんま若者応援ネット アリスの広場

有田 幸恵
この記事を執筆した執筆者
有田 幸恵

Ameba塾探し 執筆者

幼少期は5歳から小学校6年生まで英会話教室に通う。高校受験時には家庭教師や塾の特別講習で猛勉強し、第一志望に合格。その後、芸能関係の道に進み、ライター業に転身する。エンタメや美容ジャンルの執筆を経験した後、弁護士コンテンツの法律記事に携わったのをきっかけに、読者の役に立つ情報発信を志し、2020年9月から株式会社サイバーエージェントのグループ会社 株式会社CyberOwlで編集者兼ライターとして従事。現在、「Ameba塾探し」で保護者やお子さまの未来に繋がる記事づくりを目指しています。