小中学校のなかにはバドミントンが部活動にない学校も多く、子どもがやりたくてもできないことがあります。
さいたま市を拠点にするNPO法人「スポーツみらいLab」は、バドミントン初心者の子どもを含む約1,800人の会員が活動する団体です。
安心して子どもを任せられると評判で、子どもを預けながらバドミントンを楽しんでいる会員の方が大半だといいます。
今回はそんなスポーツみらいLabの代表理事の笹川 太平さんと理事の西田 康洋さんにお話を伺いました。
バドミントンをやってみたいお子さん、保護者の方はもちろん、団体の活動内容に興味がある方はぜひご覧ください。
子どもも保護者も楽しめる総合型地域スポーツクラブ
ー本日はよろしくお願いします。まずは「スポーツみらいLab」の概要と活動内容について教えてください。
笹川 太平さん(以下、笹川):スポーツみらいLabは、さいたま市を拠点に活動している総合型地域スポーツクラブです。
子どもからシニアまで幅広い層に向けて、気軽にスポーツに触れる機会の提供とスポーツの振興を目的として活動しています。
元々はバドミントンの社会人サークルとして2014年に設立し活動していたのですが、バドミントンをしたくても学校に部活がないという子どもが結構いるということを知りました。
そこで中学生も一緒になって活動を開始したところ、いつの間にか小学生も加入してくれるようになり、現在では約1,800人という大所帯で活動をおこなっています。
初心者でも始めやすいよう「未経験入門」と呼ばれるレベルを用意しており、小中学生の 子どもたちはここで楽しく活動可能です。
また、プロコーチを招聘する機会もあり、こちらも子どもが参加できます。プロの技を見ることでうまくなりたいという気持ちがより高まるのではないでしょうか。※プロコーチ講習会は中学生以上。スタッフによる講習会は小学生も対象に頻回に開催。
活動は毎日おこなっており、年間で延べ約16,000人もの会員が活動中です。
参加にかかる費用には会費と参加費の2種類があります。社会人の場合、会費は参加1回ごとに300円(ビジター)、月額300円、年額3,000円の3種類から選択可能です。これに加えて参加時間に応じた当日の参加費を支払います。
一方、子どもや障害者の場合は会費が免除され、当日参加する場合も時間制限なく1回200円です。ただし、小学生の場合は保護者と一緒の参加をお願いしています。
貸し出し用のラケットも用意していますので、ちょっと試してみたいという方も気軽にご参加いただけます。
さいたま市内にある大宮体育館や大宮武道館をメインに活動していますが、浦和で活動することもありますね。
入会を希望する方は、ホームページから手続きが可能です。参加する人数に制限をかけていますので、空きがあればすぐに参加できますが、空きがなければ待っていただくこともあります。
ー実際に参加しているお子さんや保護者の方の感想を教えてください。
西田 康洋さん(以下、西田):バドミントンが初めてという小学生のお子さんの保護者の方からは、「丁寧に楽しく基本から教えてくれるため、子どもがまた参加したいといっている」という感想をいただきました。
また、保護者目線で「安心して子どもを参加させられる」という感想もいただいています。子ども連れの保護者の9割がご自身も会員として活動されているのは、子どもを安心して預けてバドミントンを楽しめる体制ができているからでしょう。
それから、レベルに応じて活動が細かく分かれている点に魅力を感じている方もいます。
中学生と高校生の2人の子どもが参加している保護者の方からは、「部活を始めたばかりの中学生子どもも、何年もやっている高校生の子どもも、それぞれが自分に合ったレベルで活動ができるのが素晴らしい」というお言葉を頂戴したこともあります。
子どもの見守りや居場所作りにも貢献したい
ー今後開催するイベントや今後の展望について教えてください。
西田:子ども向けのイベントとして、中学生なら誰でも参加できる大会を開催予定です。
最近は新型コロナウイルスの影響で中学生向けのバドミントンの大会が減っています。このため、部活をやってもレギュラーになれないと1度も大会に出られずに引退するという子どももいるのです。
そこで、スポーツみらいLabでは中学生なら誰でも参加できる大会を2021年に開催しました。
日程は未定ですが、今年も必ず開催しますので、ぜひ参加してください。
笹川:今後の展望としては、バドミントン以外のスポーツにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
たとえば、ヨットやボートを使って親子連れで釣りやセーリングをしたり、現在原野になっているスポーツみらいLabが持っている土地を整地し、小屋を建てるなどして秘密基地のようなプライベートキャンプ場を作ったりといったことを計画中です。
マイナーなスポーツの発展にも力を入れたいと考えており、モルックやスパイクボールといったもの、半弓と呼ばれる短い弓を使ったスポーツ弓矢などを始めようとしています。
いずれも子どもがいろいろなスポーツに触れるきっかけになると思うので、参加することで子どもの可能性を広げることにつながるのではないでしょうか。
そのほかに、学生の部活動と地域コミュニティーが共同でおこなえる取り組みを企画中です。
スポーツみらいLabには幅広い世代が集まっていますので、その良さを活かして子どもの見守りや居場所作りに貢献したいと考えています。ここで育った子どもが大人になったとき、地域の子どもの見守りや居場所作りに携わるような好循環を作っていきたいですね。
それから、令和5年度より学校の部活動が民間に委託されるため、スポーツみらいLabでも学生の部活動に協力・貢献していきたいと考えています。
自分たちの体育館を作るのが目標
ー最後に読者の方へメッセージをお願いします。
笹川:私たちの目標は、漫画喫茶に行くように、スポーツがしたいと思ったとき、いつでも気軽に足を運べる体育館をさいたま市に自分たちで作ることです。
屋内スポーツの場合、個人ではスポーツをする場所もなく仲間を集めるのも難しい。どこかの団体に所属しないと体育館で継続しスポーツができない現状があります。そのために世の中にはスポーツをしたくてもできない⽅が⼤勢います。
また、高度経済成長期に体育館を含む多くの公共施設が建てられましたが、それらの老朽化が進んでいる点も危惧すべき点です。
今後、大規模改修と建替えの大きな波が訪れるのですが、行政の方針としては原則新たな建物は建てない、建替えは複合施設とする、総床面積を縮小するとされており、このままではスポーツ活動の場所が減っていってしまいます。
そこで私たちは自分たちの体育館を作りたいのです。
私たちが目指している体育館は今までのような体育館とは異なり、一人でぶらっと行ってそのとき出会った方たちと楽しくスポーツを楽しめる施設です。
より多くの方々が気軽にスポーツを楽しむことにつながりますし、子どもにとっても安全に楽しく過ごせる場所になるでしょう。
できるだけ多くの方々に私たちの活動に参加していただき、一緒に体育館を作り上げていきましょう。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■ 取材協力:NPO法人 スポーツみらいLab