「ちこらブックス」はキャラクタ―絵本を発行する出版社!その設立に込めた想いとは?

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子どもが小さい頃、絵本の読み聞かせをしてあげた経験がある方は少なくないでしょう。

子どもにとってだけではなく、日々、仕事や家事に忙しい保護者の方にとっても、“絵本の読み聞かせ”は親子で時間を共有できる大切な時間です。

今回は、親子で楽しめるキャラクター絵本を出版する「CHICORA BOOKS(以下、ちこらブックス)」の松本 えつをさんにお話を伺いました。

子どもに良質な絵本を読んであげたいと考えている方は、ぜひご一読ください!

  1. 「キャラクター絵本出版大賞」を主催
  2. 読み聞かせにピッタリ!お勧めの3冊。
  3. 日々頑張る親子をサポート

「キャラクター絵本出版大賞」を主催

―本日はよろしくお願いいたします。まず、「ちこらブックス」がどういった出版社なのか教えてください。

松本 えつをさん(以下、松本):「ちこらブックス」は、おもに子ども向けのキャラクター絵本を扱う、2018年にできた出版社です。

私自身がもともと出版社にいて、制作者や役員として8年ほど勤務した経験があります。その後も出版社の立ち上げに携わる機会があり、長年出版業界にいたからこそ知っている裏側、感じていた課題がありました。

皆さんもご存じのように、この15年ほどデジタルメディアの台頭もあって、出版業界は斜陽産業とも言われてしまっています。出版社にとっても、売れるという確信が持てるものしか出版できない状況なんですね。

経営を続けていくには、売れる本を出さなければいけないという出版社側の事情もわかります。しかし、どんな本が売れるかなんてことは、実際に出版してみないと誰にもわかりません。

そうなると出版社として安心感があるのは、すでに実績がある、もう何十年も活躍していらっしゃる作家先生の本や、過去に売れた本の企画の焼き直しといったものになります。

そういった作品が部数を伸ばしていく一方で、新人の作家さんがデビューをするということが、以前よりもずっと難しくなってしまいました。

もちろん長く読み継がれていく絵本も大切です。しかし、これからの時代を背負っていく絵本作家さんを、たくさん輩出していきたいという強い想いがありました。

そこで少しでも新人作家さんがチャレンジする、デビューするハードルを下げていきたい。本当によいもの、よいと思ったものを世の中に出していきたいと立ち上げたのが「ちこらブックス」です。

自社で「キャラクター絵本出版大賞」というコンクールを開き、大賞・優秀賞・佳作までの作品を実際に出版化できる仕組みも取り入れたんですよ。

正直なところ、私たちも出版事業だけですべてを賄うのはまだまだ難しいですが、他の事業から賄うなど、できるところは工夫しています。

読み聞かせにピッタリ!お勧めの3冊。

―読者の方におすすめしたい絵本を3冊ほど教えていただけますか?

松本:
どの絵本もお勧めで3冊選ぶのは難しいのですが、“読み聞かせ”向けの絵本を 3冊紹介させてください。

1冊目は『ちくちくとふわふわ』

ちこらブックス

誰か(自分)をHAPPYにする「ふわふわ言葉」と、誰か(自分)をUNHAPPYにしてしまう「ちくちく言葉」があります。

花マルをもらったときのような気持ちが「ふわふわ」で、何かをぐちゃぐちゃにしてしまいたい気持ちが「ちくちく」。

大人が理屈で「ちくちく言葉」「ふわふわ言葉」というふうに教えても、子どもたちはピンとこないでしょう。


絵本にはこの両方のキャラクターが登場し、どういう言葉がふわふわで、ちくちくか。ストーリーを通して、幼い子どもでもわかるように語っています。 

いろいろな勉強ができることも大切だけれど、人に優しくしたり、うまくコミュニケーションをとったりすることも大切です。子どもたちには「自分で言葉を選ぶチカラ」を身につけてもらえたらと思います。

この絵本は著者がイベントで宣伝したり、広告を打ったりといったことはしていませんが、ほぼ100%口コミで、2019年2月に出版してから一度も下がることなく、順調になだらかな上昇を辿って20刷りと、ロングセラーになりつつあるんですよ。

「ふわふわ言葉」「ちくちく言葉」は多くの小学校の道徳の授業でも扱われていて、この絵本も図書館、幼稚園や小学校など特に教育機関からの注文が多くなっています。

バイリンガル絵本にはなっていますので、日本語だけ読んでいただいてもいいですし、わかるようになったら英語も見ていただければと思います。


2冊目は『やねうらべやのせんぷうき』

ちこらブックス

文章が一語一句とても考えられていて、絵本のなかに登場する多くの“オノマトペ”(擬音語・擬態語)で、子どもたちの表現力が自然と豊かになる1冊です。

なぜオノマトペを多用しているかといいますと、もともと絵本の作者のお子さんが、聴覚障がいをもっています。

それで、たとえば砂や小石の上を歩くと「ジャリジャリ」と音がしますよね。そういったことを息子さんに伝えたくて、息子さんの感覚が豊かになるように、絵でコミュニケーションを図る子育てを実践されていたんです。

この絵本は、作者が息子さんのために考えたストーリーとイラストがもとになっている愛情と想いがたっぷり詰まった1冊です。

言葉、文章のリズムがとてもよく、すべての文章がリズムに乗っているので、読み聞かせにもピッタリでしょう。作者はパリの美術学校で学んだ経験もあって、絵のクオリティーも本当に高いんですよ。


3冊目は『オムにゃいすマン』

ちこらブックス

白い猫の“ぼく”が、トマト嫌いを克服して、スーパーヒーロー「オムにゃいすマン」になるお話です。

ぼくが野菜嫌いを克服していく姿、弟と一緒に夜中の公園でトマト星人と戦う姿などを通じて、ぼくの弟に対する一言では言い表せない気持ちの表現や、優しさという点が共感を呼び、愛着を持っていただけるのではないかなと思います。

ヒーローに憧れる男の子にはとくにお勧めですが、女の子も含めて2歳から親子で楽しんでいただける絵本です。

「ちこらブックス」がある東京都新宿区には、たくさんの塾・学習塾があります。

テラコヤプラスでは、新宿区 塾・学習塾 ランキングや、四ツ谷駅 塾・学習塾 ランキングなど、エリアや塾など条件を絞って塾を探すことができます。

お子さんの塾をお探しの方は、ぜひご活用ください!

日々頑張る親子をサポート

―3月以降に出版予定の新しい本や、イベントがありましたらお願いいたします。

松本:基本的には定期的にイベントを開催しています。

4月下旬には「たまご」をモチーフとした絵本『The EGG』のリリースに絡めた記念イベントを開催する予定です。

ー最後に、読者へ向けてのメッセージをお願いいたします。

松本:
子どもに“良質な教育を与えてあげたい” “よい作品に触れさせてあげたい”といった想いは、保護者の皆さんはすでにお持ちだと思います。

ところが、頭ではわかっていても、自分のことも十分にケアできない忙しい日々の連続の中で、子どもたちに余裕をもって接してあげることが難しいこともあると思います。

ましてや情報が溢れている今の世の中で、何がよいもので、何がいけないものかということを、子どもの分まで親かジャッジしてあげないといけないことは、とても大変なこと…。

そんな時に、たとえばこの作家さんの作品だったらとか、この出版社の作品だったらとか、この人がお勧めしているものだったらと、わかりやすい自分なりの基準があるとものを選ぶ時間や労力が短縮、軽減されるのではないでしょうか。

弊社では、紙媒体ではないのですが、他社と協力して寝かしつけ専用の絵本プロジェクターのコンテンツもつくっているんですよ。

こんな時代だからこそ、大変なときには頼れるものにどんどん頼って、親御さんなりに生きやすくしていくことが、結果的に子どもたちにとっても良い影響が出ると思っています。

そして、ちこらブックスがその一助になれたら嬉しいです。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

■取材協力:CHICORA BOOKS (ちこらブックス)

島田 佳代子
この記事を執筆した執筆者
島田 佳代子

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期よりピアノ、水泳、硬筆、英会話などを習う。中学受験をして英語教育に力を入れる中高一貫の女子校へ進学。その後、都内の短大を経てイギリスへ留学。マンチェスター市内のカレッジで観光・旅行学を学びながら、執筆活動を開始し、スポーツ、旅行、ビジネス、教育など幅広い分野で執筆経験がある。2021年9月から「テラコヤプラス by Ameba」にてライターとして従事し、保護者やお子さまに興味をもっていただける記事づくりを目指しています。