野球といえば昔は子どもが好きなスポーツトップ3の常連のようなイメージでしたが、いつ頃からか気軽に公園でバットやボールを使って遊べない世の中となりました。家族揃ってTVの前で野球観戦ということも少なくなり、野球の楽しさを知る機会が減っています。
大阪北部の北摂エリアで活動する「NPO法人 北摂ベースボールアカデミー」は、子どもに野球の楽しさを知ってもらうため、初心者を対象に野球教室を開催しています。
今回は「北摂ベースボールアカデミー」代表の植松剛史さんと広報担当の井上陽子さんに、野球教室の取り組み内容についてお話を伺いました。
我が子に野球は向いているのだろうか?選択肢の1つとして気軽に試してみたい!とお考えの方は、ぜひご覧ください。
始めやすく、続けやすい、楽しい野球教室
ー本日はよろしくお願いします。まずは「北摂ベースボールアカデミー」の概要や活動内容について教えてください。
植松 剛史さん(以下、植松):「北摂ベースボールアカデミー」は、大阪の北部にある北摂というエリアを中心に野球に関する活動をおこなっているNPO法人です。
定期的に開催する野球教室や、不定期に休日などに開催する野球イベント、それに大人の女性向けの野球スクールをおこなっています。
野球イベントとしては、大人の野球好きの人が個人で気軽に参加できる野球イベントと、親子で野球を楽しむためのイベントという2つが主なものです。
野球教室は、野球未経験または初心者の子どもを対象としています。年齢としては幼稚園の年中から年長、そして小学校低学年といったところです。
特徴としては、道具などを用意する必要がなく、気軽に参加できるところにあります。グローブやバットなどの道具は教室で用意しますので、運動できる普段着で来てもらえれば大丈夫です。ユニフォームは不要です。
教室の内容は、最初は難しいことではなく自由に遊ぶ時間から入ります。たとえばボールを好きなように投げたり打ったりといった具合ですね。そうした遊びを経験した後にコーチたちと一緒に投げる練習や打つ練習を、ゲーム形式を中心におこないます。
野球というと長時間練習するところが多いのですが、 私たちの教室は1回90分。その中で短いプログラムをテンポ良く進め、子どもが興味や集中力を失わないように心がけています。
具体的には1つのプログラムが10分から15分くらいで、鬼ごっこや的当て、玉入れなどの楽しい遊びの中で野球に繋がる運動能力を高めます。それを4つほどこなした後、その場でチームを分けて、簡単なルールを決めて30分くらいの試合をおこなうといった具合です。
さらに、保護者の方の負担が少ないのも特徴の1つといえます。少年野球というとお茶当番など保護者もつきっきりでお世話をしなくてはいけないイメージがあると思いますが、私たちの野球教室は野球場に子どもを連れてきてくれたら買い物に行ってもらっても、手が離せない下の子を近くの公園で遊ばせてもらっても構いません。
もちろん子どもが活躍する姿を見てもらっても良いですし、実際見ている保護者の方も多いのですが、保護者だから何かをしなくてはいけないということはありません。
こうした負担を減らす工夫により、野球を始める子どもが増えてくれることが私たちの望みです。
入会した後も楽しさを知り、続けてもらうため、とにかく野球を楽しめるよう工夫しています。素振りなどの練習よりも、勝った負けたなどの楽しさを知ってもらうため毎回試合をやっているのもその一環です。
また、自由に遊ぶ時間のときは子どもが関心を持ってやりたいと思ったことを尊重しています。たとえば子どもが野球場のフェンスの外にボールを投げる遊びをすることがありますが、それを制することはせず、自由に伸び伸びと過ごしてもらっています。
子どもが本当に楽しめるようなことを大切にしながら開催していますので、初めて来た子どもでも楽しく野球を体験できるような教室になっています。
ー実際に参加されいてるお子さんや保護者の方のご感想はいかがですか?
井上 陽子さん(以下、井上):私の子どもも野球教室に参加しているのですが、元々野球のルールをまったく知りませんでした。
昔は親がテレビで野球を見ているのを子どもが一緒に見ることで野球を知り、好きになる機会がありましたが、今は子どもが自分でYouTubeを見るなどしており、野球の試合を観る機会がほとんどありません。
でも、北摂ベースボールアカデミーの野球教室は、そんな子どもでも楽しく遊びながら野球のルールを少しずつ覚えていけます。
また、保護者としてはユニフォームは不要で、グローブ、バットを野球教室で用意してくれるので、参加するハードルが低いのがありがたいですね。お茶当番などの保護者の負担が少ないのも継続する面で大きいです。
ー入会するにはどのような手続きがありますか?
植松:入会を希望する場合、まずは体験で来ていただき、続けられそうであれば入会いただくという形を取っています。
初回体験料は保険料を含めた1,000円で、入会金はなく入会後も参加した分の会費だけいただいているので、費用面でもハードルが低いといえるでしょう。
このような取り組みが認められ、北摂ベースボールアカデミーはスポーツ庁が主催する第1回「Sport in Lifeアワード」において「Sport in Life 2021 団体部門 優秀賞」を受賞しました。
今後も現在の取り組みを継続、発展させていきたいと思っています。
新たな教室の立ち上げを準備中
ー今後、開催予定のイベントなどありましたら教えてください。
植松:今は豊中市で野球教室を開催しているのですが、参加者が増えてきたので隣の箕面市で新しい教室を立ち上げる準備をしています。
2022年3月21日(月・祝)に、箕面市にあるサントリーの野球場で「体験教室」を開催しますので、ぜひ参加してください。
体験の申し込みは、北摂ベースボールアカデミーのホームページからおこなうことができます。豊中市の教室も体験申し込みを随時受付中です。
また、野球教室以外に「野球場開放」という取り組みもしています。これは野球場を公園のように自由に使って遊んでもらうというもので、今年は祝日の2月23日(水)に開催します。こちらもぜひ参加してください。
子どもにいろいろな経験をさせてあげたい
ー最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
植松:保護者としては子どもに何を習わせるか迷うと思います。野球以外にも、サッカー、体操、水泳、運動以外の芸術的なものもあるでしょう。
子どもにはいろいろなことを習わせてあげたら良いと思っていますが、習い事によっては金銭面やスケジュール面でハードルがあったり、一度入ると抜けるのが難しかったりするのも事実です。
北摂ベースボールアカデミーは出入りのハードルが低い野球教室として、夢中になれれば続けやすく、合わなければほかのものに挑戦しやすい環境を作っています。
最近は公園で気軽にバットとボールで遊べない世の中ですし、子どもたちだけで野球を楽しむのが難しくなっています。
ちょっとお試しという形で気軽に来ていただき、子どもにいろいろな経験をさせてあげる選択肢の1つとして試してみてはいかがでしょうか。
ー本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
■ 取材協力:NPO法人 北摂ベースボールアカデミー