新型コロナ感染症の影響もあり、なかなか子どもを思う存分遊ばせることができないと悩んでいるご家庭も少なくないでしょう。
そんな今、アウトドアで少人数で楽しめるモトクロス体験の人気が高まっています。
今回は、小さなお子さんやバイク知識がまったくないという方でも、気軽にモトクロスの体験ができる「ウッズモータースポーツランド下市」代表の平田 武博さんにお話を伺いました。
お子さんに挑戦心や達成感を与えたいという保護者の方は、ぜひご一読ください。
バイク好きの輪から生まれ、進化し続けるモトクロスコース
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、 「ウッズモータースポーツランド下市」の設立経緯や概要について教えてください。
平田 武博さん(以下、平田):僕が15歳の頃、バイクの免許を取るのが待ちきれなくて、交通のない空き地や私有地でバイクに乗っていたんです。
そんな僕の姿を見て車屋の父が、「思いっきり走れるオフロードコースをつくろうやないか」と、コースを設立してくれたのが「ウッズモータースポーツランド下市」の始まりです。
そうしてできたコースを走り始めてからは、そのなかでいろいろな方との出会いがありました。レーシングチームにも入れてもらい、各地のレースを転戦したこともあります。
そして、そのときの仲間たちがコースの運営を手伝ってくれて、より設備が充実していきました。
たとえば、「自分は絵を描くのが得意だから看板をつくるよ」だったり、「土建屋からちょっと重機を持ってきてコース整備するわ」といった具合です。
そうしてできあがったのが、「ウッズモータースポーツランド下市」で、最初は本当に“仲間内で楽しむための遊び場”だったんです。
そこから時代が移り変わるに連れて、バイクに乗る人がの数が減少し、それはバイク好きとしては非常に悲しく感じていました。
もっと気軽にバイクに乗ってもらって、バイクの楽しさを知ってほしい。
そういった思いから、老若男女問わず、ライダーの層を広げるために改良をずっと続けてきて、2013年にはアマチュア日本一決定戦「MFJモトクロス全国大会」を開催させていただくまでになりました。今ではビギナー用やちびっ子ライダー向けのコースも整えています。
自転車に乗れれば参加OK!大迫力のバイク体験
ー対象年齢やバイクの種類など、体験内容について詳しく教えてください。
平田:対象年齢については、自転車に一人で乗れることを基準としています。今まで教えたなかで最年少は4歳ぐらいの子でした。
ただし、バイクは自転車よりも数倍の重量があるので、自転車よりも力が必要です。
小さい子どもはその点で、思ったより上手く乗れないというパータンが多く見られます。
だからといってそこで、「乗れませんでした。残念でした」という終わり方では寂しいですよね。
ですので、「ブレーキなどの操作は全部先生がやるから、とりあえずアクセルを上げてみて、自分が怖くないスピードを出してみてごらん」といったふうに、2人乗りする形で体験を進めています。
アクセルに慣れてきたら、「今度はブレーキもやってみようか」といった感じで、少しずつ教えながら進める感じですね。
バイクについては、うちで貸しているのは50ccからです。小さめのバイクではありますが、電動ではなく、エンジンがきちんとついたものなので、子どもたちにとっても、非常に迫力があるものでしょう。
それこそ大きなサーキットでバイク体験となると、子ども向けのバイクは電動のもので車体もとても小さいものが一般的。スピードも、歩いてる速度プラスアルファぐらいしか出ません。
そういった子ども向けのバイクではもの足りなくなってしまったという子どもたちが、次のステップアップ場所を探して、うちにたどり着くというケースが多いですね。
なお、体験時間は2時間。バイクからウェアや機具のレンタル、指導料すべて含めて、小学生までは9,000円(税込)、中学生以降は10,000円(税込)です。
とくに体験開催日などは設けていないので、随時お申し込みいただき次第、予定を組ませていただきます。お気軽にお問いあわせください。
ー安全面に関する配慮についても、お伺いしてよいでしょうか。
平田:はい。ヘルメット、ブーツ、プロテクター、ひじ当て、ひざ当てといった器具はすべて装着してもらっています。
それから、その子どもの年齢や能力を見て、あまりスピードを出したら危ないなというときには、アクセルにリミッターをつけます。
リミッターをつければ、50ccのバイクでも歩くぐらいのスピードしか出ないようにできるんですね。
それでゆっくりのスピードから慣れてもらって、徐々にスピードをあげるといった形にしています。
もちろんそれでも、転んで擦りむいてしまう子もいますが、そのあたりに関しては、はじめに親御さんも含めてしっかりとお話します。
バイクというのは、取り扱いを間違うととても危険な乗りものです。車でもバイクでも一歩間違うと他人を傷つける凶器となります。
しかし、正しく扱えば、ほかでは得られない満足感や、これからの人生を歩んでいくのに必要なたくましさが身につくでしょう。
また、近年では新型コロナ感染症のリスクを懸念される方もいますが、アウトドアの個人活動で感染リスクが低いモトクロスの人気は、
むしろ高まっています。
ウッズモータースポーツランド下市では、グループ講習も受け付けてはいますが、基本的には個人のお客さまがほとんどです。
お子さんや初心者の方だと、スタッフの目が届かない状況は本当に危ないので、完全初心者であれば、マックスでも1度に2人までといった少人数体制で立ち会っています。
本格的な実況放送ありのレース大会を定期開催中
ー今後、「ウッズモータースポーツランド下市」で開催予定のイベントについて、教えてください。
平田:スピードや成果を競う大会のほか、楽しみ優先のレース大会を開催しています。
楽しみ優先の大会は、「超ごきげんモトクロス」や「超ごきげんエンデューロ」といったものですね。
楽しみ優先ではあるのですが、実況放送付きなので、かなり盛り上がります。参加を機にさらにバイクにハマる子も多いでしょう。
これらのイベントは2か月ないし、3か月に1回ぐらいのペースでコンスタントに開催しています。
参加条件は、自分でバイクに乗れることだけなんですが、レンタルではなく自分のバイクを持ち込んでの参加をお願いしています。
なので、まずはバイクをうちで体験してもらって、「もう少し本格的にやりたいな」となってから自分用のバイクを買ってもらって…それから出てもらうような形ですね。
ちなみにこれらのレースは「超ごきげん」というのがテーマなので、ベストコンディションでのみ開催します。雨天は中止です。
一般的なレースは雨が降ろうが槍が降ろうがやるものなんですが、それは自分もバイクもどろどろになって、あとがいろいろと大変なので…。
また、エントリーは事前にWebからできますが、参加料金は当日支払いかつキャンセル料もいただいていません。
子どもの挑戦と成長が見られる冒険の場へ
ー最後に、読者の方に向けて、メッセージをお願いします。
平田:僕は子どもを過保護に育てすぎるのはよくないと思っています。
なぜなら、子どもをいつまでも自分の管理下に置くことはできないからです。
親が守ってあげられる範囲には、どうしても限度があります。
親からすると、目の届くところでなんでもかんでもしてあげられるというのは、安心です。
でも、それはあくまで親が安心を得るためにしていることであり、子どものためにはならないでしょう。子どものためを本当に思うのなら、冒険させないと駄目なんです。
そして、僕自身も多くの子どもさんにバイクの指導をしてきましたが、子どもたちは簡単に僕らの想像を上回ってきます。素晴らしいなと素直に思うことも多いんですよね。
だからこそ、大人の経験則からああしろこうしろというよりも、子どもの可能性を信じて、見守ることも大切なのではないでしょうか。
お子さんが独り立ちするときに向けて、知恵とたくましさを身につけるための冒険の場として、ぜひ「ウッズモータースポーツランド下市」をご利用ください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:ウッズモータースポーツランド下市