近年、子ども向けのプログラミング教室を多く見かけるようになりました。
そこで今回は、栃木県足利市にあるマイクラ・プログラミング教室を取材。教室を運営する「こどもみらいクラブ」代表取締役の大塚 雅之さんにプログラミングで広がる可能性についてお話を伺いました。
プログラミングの言語やテクニックよりも、ITを駆使した新たな価値や、未知なる課題を解決するスキルを学べるカリキュラムは必見です。
やらされ感で習うのではなく、子ども自身楽しんで可能性を広げていってほしい保護者の方は、ぜひご一読ください。
ITを駆使して新たな価値を!プログラミングで広がる可能性
ー本日はよろしくお願いします。まず初めに、「プログラミング教室」について教えてください。
大塚 雅之さん(以下、大塚):2020年から小学校でプログラミング教育が必修化になりましたが、実は当プログラミング教室に繋がるロボット教室については10年前から展開していました。
最初はロボットを使い、モーターと電池で動かすメカニック的なものを中心に教えていたのですが、そのなかでコンピューター制御が徐々に増えてきたことから、ビジュアルプログラミングというジャンルを中心に展開しています。
プログラミング教育といっても、それらの内容はさまざまで、「Scratch(スクラッチ)」や「Viscuit(ビスケット)」などを使い、画面上で自分の代わりにキャラクターなどを動かすビジュアルプログラミング系。
「Xcode(エックスコード)」や「Visual Studio(ビジュアル スタジオ)」などを使った“本格型”のアプリ開発プログラミング系。
CPUのついた制御基板である「Raspberry Pi(ラズベリー パイ)」や「Minecraft(マインクラフト)」「Ichigojam(イチゴジャム)」などを使ったものづくり系、そして「レゴ マインドストーム」や「ArTecRobo(アーテックロボ)」などを使ったロボットプログラミング系などがあります。
近年プログラミングが流行っていますが、このようにプログラミング教室にもいろいろなジャンルがあることはあまり知られていないのではないでしょうか。
今年はコロナ禍だったため、プログラミング教室のイベントも縮小されていましたが、ここ数年でプログラミングのワークショップを多く見かけるようになりました。
ワークショップを見ていると、与えられた授業時間内で、プログラミング作業とスキルの難易度のバランスが取れていない場合があります。
そうすると、指導者も子どもも、課題を消化することで手一杯になってしまい、子どもが楽しさよりも“やらされ感”を覚える結果になりがちで、プログラミングの面白さを伝えきれない場合が多々あります。
私は日本パソコンスクール協会という財団法人の理事長もやっていますが、そのなかで大人のWord(ワード)とかExcel(エクセル)といったプログラミング以外の教育も30年近くやってきました。
そんななか、どちらかというと強制されているような、パソコンの面白さをなかなか伝えられないケースがあったんです。
大人のプログラミングであれば、生徒である大人自身がこの技術を習得したいという明確な目的を持って来るので、多少面白くなくても授業としては進めることができます。
しかし子ども向けの場合は、楽しくない、面白くない、つらいと感じてしまったら、また参加したいとは思わなくなってしまいます。
もし、これが学校の授業であれば、必修なだけに、プログラミング嫌いの子どもを増やしてしまう結果に繋がりかねません。
このため、面白さの演出はもとより、内容の難易度や、詰め込み具合に相当配慮しながら、つらいと感じさせない必要があり、これがとても難しいところだと思いますね。
たとえ自分がプログラミングに向いていると感じなくても、ある程度継続的に学ぶことで「こんな仕組みになっているんだ」ということを体験的に理解してもらえればいいなと思っています。
また、プログラミング教室の今後の目的として、コミュニケーション障害などで社会に参加できない子どもたちが、社会参加できる道筋をこのプログラミング教室でつくってあげたいなと思っています。
プログラミング教室は、ただ単にプログラミングを学ぶ場所と認識している保護者の方は多いのではないでしょうか。
これからの世の中、事務職や営業職においてどんどんIT化が進み、仕事がなくなってしまう話も一部出ていましたが、今後も続くであろうIT社会の発達のなかで、私たちは社会参加への道筋をつけていってほしいと考えています。
プログラミングのプロフェッショナルを育てるよりも、ITを駆使して新たな価値をつくることや、未知なる課題を解決するスキルのひとつとしてプログラミング的な考え方、プログラミング的思考を子どものうちから学んでいってほしいです。
こういったことがプログラミング学習のベースになるのではないかと考えていますね。
ですから、プログラミングの言語やテクニックを学ぶことよりも、自分の想像できるクリエイティブな世界をプログラミングでつくれるカリキュラムを現在作成中で、少しずつ展開していきたいなと思っているんです。
ある程度プロットタイプは完成していて、子どもが楽しみながら、やらされ感なく自分から取り組める授業、そしてより楽しめるカリキュラムの授業をおこなっています。
当教室は、まずマインクラフトというゲーム世界のなかで、プログラミングを学ぶカリキュラムから、自分でゲームをつくるゲームクリエイティブコースや、ロボットコースなど、いくつかの選択肢があるカリキュラムにしています。
最初はArtec(アーテック)のロボット教室でしたが、それから拡張し、アプリ作成などいろいろなカリキュラムを一通りおこない、自分のやりたいことを突き詰めたカリキュラムに対応できるようにしているので、あえてロボット教室ではなく、プログラミング教室と謳っているんですよ。
ゲームだけじゃない!タイピングや検定も学べるカリキュラム
ーカリキュラムについて教えてください。
大塚:カリキュラムは、やる気を引き出すレベルアップ方式になっています。
プログラミングの基礎をじっくり学習できるテキストで、何度も挑戦したくなるゲーム形式のミッションをおこない、ゲームだけでなく、タイピングや検定も学べます。
授業内容としては、入門がパソコン操作、タイピング練習、初級にマイクラ・プログラミング(12ヶ月)。
中級には、Scratchプログラミング、応用でゲームクリエイター講座(12ヶ月)があります。
また上級になると、プログラミング言語入門として、Python、HTML、CSS、JavaScriptを学べますよ。
ー今後の展開などあれば教えてください。
大塚:新しいカリキュラムをリニューアルオープンしようと考えています。
新学期から生徒を募集する予定で、小学3年生から中学生までと、ある程度限定して、子どもたちが自ら積極的に学び、自分独自の作品を友だちと評価し合いながら、作品を成長させていくというものです。
その成長過程での挫折や課題を乗り越えて、作品とともに、自らも成長していく。そんなカリキュラムを目指しています。
詳細は、ホームページからお気軽にお問い合わせください。
遊びながら楽しく学べるプログラミング教室を目指して
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
大塚:2020年は、小学校でのプログラミング教育必修化の全面実施に伴い、新しい教育が始まる一年となるはずでしたが、新型コロナウィルス感染症拡大のため、学校現場も未曾有の危機の対応となりました。
それにより、遠隔授業の準備などに追われた一年となり、プログラミング教育の実施に多くの困難が伴った一年でしたね。
そして新型コロナ過で、生徒との対面授業のあり方が制限されていくなか、新しいスタイルのプログラミングを多くの子どもたちに「プログラミングは面白い、楽しい」と感じてもらい、自発的に続けて自然に学べるよう工夫されたカリキュラムを開発しました。
当教室のカリキュラムは、想像力や論理的思考、問題解決の能力の育成に最適です。
子どもは基本的に勉強嫌いで、どちらかというと遊びが好きですよね。
だからこそ、遊びながらプログラミングが学べるプログラミング教室を目指しています。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:こどもみらいクラブ