日本の子どもたちの学力は、世界的に見て高いレベルではありますが、年々理科離れが進んでいます。お子さんの学年が上がるにつれて、理科への興味や関心が薄くなっていることに危機感を覚える保護者の方もいるのではないでしょうか。
NPO法人「サイエンスリンク」では、大学生が主催となって、子ども向け科学実験を通して科学をひろく伝える活動をおこなっています。今回はサイエンスリンク事務局代表の冨士田 李紗さんに、科学工作教室やサイエンスショーについてお話を伺いました。
お子さんに科学の面白さを知ってほしい方、お子さんと一緒に工作を体験してみたい方は、ぜひご覧ください。
光や音に関する工作や実験をおこなう工作教室
ー本日はよろしくお願いします。早速ですが「科学工作教室」の活動内容について教えてください。
冨士田 李紗さん(以下、
冨士田):科学工作作教室では、小学校や公民館などで光や音に関する工作や実験をおこなっています。用意している工作は何種類かありますが、その中で「偏光板ステンドグラス」という工作について説明させていただきます。
「偏光板ステンドグラス」は上記の写真のようなもので、偏光板とセロハンテープを組み合わせて作ることができます。工作の前に、工作で使う材料の仕組みや、光の三原色などについて実験を交えながら説明します。
そのあと子どもたちと一緒に工作を作って、できたものは持ち帰ってもらって家で遊んでもらいます。工作の前に楽しく原理などを説明することで、工作の内容がより伝わるような構成を心がけています。
子どもたちが実際に手を動かすことで、教科書だけでは得られない科学の面白さを体験してもらうことができます。
ー参加されたお子さんの反応はいかがでしたか?
冨士田:参加してくれた子どもたちは、目を輝かせながら実験や工作をおこなってました。科学工作教室で積極的に発言してくれる子どももたくさんいますね。
また保護者の方からは、「自由研究に役に立った」「また参加させたい!」というお声をいただいています。
大規模な実験をおこなうサイエンスショー
ー「サイエンスショー」ではどのようなことをされているのでしょうか?
冨士田:「サイエンスショー」は、小学校からご依頼を受けて体育館でおこなうことが多いですね。ほかにも地域の子ども会からご依頼を受けて、公民館の広い部屋で実施することもあります。
空気や光などに関連した実験をおこないますが、さまざまな実験を次々に実演して、その原理についてもクイズなどを交えながら説明します。中でも「巨大空気砲」は子どもたちに大人気です。
サイエンスショーでは科学工作教室では難しい大規模な実験もあるので、子どもたちが非常に興味を持ってくれて、大変盛り上がります。クイズをすると元気よく答えてくれて、楽しそうに参加してくれる子が多いですね。
科学工作教室とサイエンスショーのご依頼は、サイエンスリンクのホームページから受け付けています。東京近郊でしたらどこでも理系の学生が出張して教室を開催しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
子どもたちと一緒に楽しく理科を学べる機会を作っていきたい
―今後開催予定のイベントなどはありますか?
冨士田:2022年8月に対面で「サイエンスリンク」という科学イベントの開催を予定しています。全国の学生サイエンスコミュニケーション団体が集まり、子どもたちを対象に工作やサイエンスショーをおこなうイベントです。
2020年と2021年は感染対策のためオンラインで実施していましたが、今年はオンライン開催の経験を活かしながら、対面での実施をしたいと考えています。
私たちのイベントは、東京都教育委員会さまからのご後援や企業からのご協賛をいただいていますが、運営はすべて大学生・大学院生または高校生のみでおこなっています。
私たちの活動にご賛同いただけるようでしたら、ぜひご寄付をしていただけますと幸いです。
▶詳しくはこちらをご覧ください。
―最後に、読者に向けて一言メッセージをお願いします。
冨士田:近年、子どもたちの理科離れが叫ばれています。またコロナ禍により子どもたちの教育の機会も多く失われています。
そういった今の時代だからこそ、子どもたちと一緒に楽しく理科を学べる機会を作っていくことが大切であると私たちは考えています。
お近くの科学館や博物館に行ったり、一緒に公園で自然に触れたりするのも良いでしょう。そういった選択肢の一つに、私たちの工作教室やサイエンスリンクといった活動を入れていただけると幸いです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材協力:NPO法人 サイエンスリンク