子どもに習い事をさせたいけれど、「近くに教室がない」「仕事をしていて送迎」ができない。そんな悩みを抱えている方も多いでしょう。
子どもが通っている幼稚園で、また学童から直接通うことができたらいいですよね。
今回は北海道で高齢者と子ども向けのそろばん教室「え・が・お」を展開する株式会社スマイル・トワの代表取締役 廣中 浩美さんと、専務取締役の廣中 孝宏さんにお話を伺いました。
そろばんを習わせてみたいと考えている方は、ぜひご一読ください。
そろばんの裾野を広げたい
―本日はよろしくお願いいたします。まず、「株式会社 スマイル・トワ」についてお聞かせください。
廣中 孝宏さん(以下、廣中孝宏):スマイル・トワは、高齢者の笑顔あふれる生活と、子どもたちの健やかな成長の実現をサポートするために設立した団体です。
私自身、長年サラリーマン生活を送っていましたが、以前からいくつかの課題を感じていました。
ひとつは「子どもたちの基礎学力の低下」。とくに私たちが暮らす北海道は全国水準と比べても少し低くなっています。
そしてもうひとつの課題が「高齢化社会」です。高齢者が生き生きと人生を全うするためにも、認知症予防の重要性を感じていました。
妻がもともとそろばん教室の講師で、子どもの基礎学力低下にも認知症予防にも“そろばん”がよいのではないかと思い、夫婦で立ち上げました。
廣中 浩美さん(以下、廣中浩美):私自身が4人の子どもを育てた経験上、習い事をさせてあげたくてもさせてあげられない事情がある方は少なくないと思います。
習い事は安くないですから、とくに複数子どもがいると金銭的な負担が大きくなります。また働いている母親たちにとっては送迎問題があります。
そこで、少しでも安く、また送迎ができないという方のために、幼稚園で習えるように、あるいは学童と教室間の送迎対応をするなど、今まで通うことを諦めていた方でも、通いやすい教室づくりをおこなっています。
一般的にそろばん教室というと、段位を取るとか大会に出るという教室が多いですが、私たちのそろばん教室「え・が・お」では、幅広い人にそろばんの計算の仕方を覚えていただきたい、そろばんの裾野を広げたいという想いで運営しています。
幼稚園年中から通えるそろばん教室
ー子ども向けそろばん教室「え・が・お」について詳しく教えてください。
廣中浩美:そろばん教室の多くは、数の概念がしっかりわかる年齢以上の子どもたちが対象で、幼稚園児をあまり受け入れていません。
幼稚園児は集中力があまりなくて座っていられない子どももいますから、教えるには時間と労力が本当にかかるんです。
ところが、そろばんのトップメーカーであるトモエそろばんの講習を受けたときに、子どもの数に対する脳の発達時期、臨界期は5歳から10歳だと聞きました。
それで、工夫をすれば5歳の年中さんぐらいから教えることができるのではないかと考え、私たちは園内教室を中心に教室展開しています。
幼稚園児でもお風呂のなかで数を数えたりするので、12345と数えられるんですよ。ところが、「12はどんな数かな?」と聞くと答えられません。
そこで、まずは数の概念をわかってもらうために、幼稚園児には20玉そろばんや100玉そろばんを使って、これが10だよ、これが100だよ。1が5個で5だよ。7は5と2で7だよというところからスタートしています。
ーオンライン教室についても教えてください。
廣中浩美:私たちの教室は幼稚園もそうですが、市の施設をお借りして教室を開いているところもあり、コロナで施設が一切使用できなくなってしまったんです。
そろばんは日々の積み重ねで成長していくものですから、完全に止まってしまうと、せっかく積み上げていたものが、また1からのスタートになってしまいます。
そこで、既存の生徒で希望される方を対象にオンライン授業をおこなうことにしました。私はITにも詳しくないですし、不安もありましたが、いざ始めてみるとメリットもあったんです。
たとえば、そろばんは教室や連盟によって指導の仕方が多少違います。どれが正しいということはないのですが、そろばん経験者の保護者の方が、かつて習っていた方法を自宅で教えてしまい、子どもたちが混乱してしまうことがありました。
ところが、教室の対面授業と違って、オンライン授業は保護者の方も一緒になって、私たちが指導している様子を見ていただくことができます。
そうやって保護者の方にも指導の仕方を理解していただけるのはメリットだと感じましたね。
また、そろばん経験がない保護者の方からは、レッスン後もアドバイスができるようになりましたという声を聞きました。
北広島市と札幌近郊に毎年新規校を開校
―今後の展開やイベントの告知がありましたら教えてください。
廣中孝宏:私たちは、幼稚園の園内教室を多く展開しています。園内教室というのは、その幼稚園の園児たちが通えることが利点ですが、卒園後はみんなが同じ小学校には行かないんですよね。
いろいろな小学校へいきます。そのため、私たちは毎年卒園した生徒たちの受け皿として、新規校を開校しています。
今年も北広島市内及び、札幌市内の清田区と厚別区に新規校の開校を3校ほど予定しています。
そろばんが初めてという小学生も歓迎です。随時体験教室をおこなっていますので、ご興味のある方はお問合せください。
それから、コロナ禍で会員の方にオンライン授業をおこなってみて、デメリットよりもメリットの方が多かったんです。
春にはオンライン専門の教室を開校しようと思っています。
廣中浩美:画面を通じてだと、手の使い方など伝わりにくいことがあり、月1回は直接見せていただきたいというのが正直な本音です。
ただ、北海道には過疎化が進み小学校も閉校になってしまうようなエリアがたくさんあるんです。そういう地域ですと、習い事の教室もありません。
私たちは、さまざまな事情から習うのを諦めてしまう方たちにも、通っていただきたいという想いがありますので、そういう方にはオンライン授業を活用していただけたらと思います。
“計算”は楽しいもの
―読者の方へ向けてのメッセージをお願いします。
廣中浩美:私は子どものころから、とにかく計算が好きでした。小学校では計算が得意だと算数が得意になりますよね。
周りの子どもたちより少しでも算数ができると自信にも繋がります。自信がつくと、他の教科も頑張ろうと意欲的になることができます。
中学生になって難しい応用問題を解くときも、簡単に暗算ができてしまうから、ゆっくりその問題を解くことができました。
大人になってからもスーパーで量り売りの商品がすぐに計算できますし、仕事でも素早く頭のなかで計算をして商談ができたという話を聞きます。
そろばんによる計算能力は、私が生きていくうえで一番ためになった、やっていてよかったと思えることのひとつです。
私自身のそういった経験から、そろばん教室「え・が・お」ではそろばんの有段者や選手を育てるのではなく、子どもたちに「計算は楽しい」ということ。そして、計算ができたらこんないいことあるんだよということを知って欲しいと思いながら子どもたちと接しています。
廣中孝宏:私たちの社是は「一笑一会」。笑顔は出会いの源です。どんな人とどんな出会いがあるにしても、常に大事にしていることは「笑顔」です。
“好きこそものの上手なれ”という言葉があるように、嫌なことをやるよりも楽しいことをやる方が前向きになれますよね。
だから、まずは子どもたちが心を開き、嫌だと思わない、本当にやりたいと思ってくれるような教室づくりを心がけています。
先生たちも常に笑顔で接してくれています。そういう教室ですので、興味をもってくださった方はぜひ、ホームページをご覧いただけると嬉しいです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材協力:株式会社スマイル・トワ そろばん教室「え・が・お」