2022年1月7日に、新リーグ「ジャパンラグビー リーグワン」が開幕することで、更なる注目を浴びているラグビー。
子どもたちから、学校でタグラグビーをやって、楽しかったという話を聞いた方もいるのではないでしょうか?
今回は、千葉県と埼玉県で活動する「Alive Athlete Academy」代表の伊藤 邦行さんにお話を伺いました。
子どもにラグビーをやらせてみたいという方は、ぜひご一読ください。
平日の放課後にラグビーができる環境
―本日はよろしくお願い致します。まず、「Alive Athlete Academy」についてお聞かせください。
伊藤 邦行さん(以下、伊藤):Alive Athlete Academyは、平日の夕方にいわゆる「放課後ラグビー教室」を開催している団体です。
活動している千葉の例でお話しすると、千葉県全体で小学生向けのラグビースクールが約20チームあって2,000人ほどが在籍しています。
ところが、中学生になると活動しているチームがわずか6チームになってしまうんです。中学生年代における受け皿不足は、千葉県だけではなく、全国的な課題です。
中学校の部活にラグビーがある学校も少ないですから、中学生になって別の部活に入ってしまうと、ラグビーを続けることが難しくなってしまいます。
というのも、ラグビースクールの多くが、活動は週末のみで平日は活動していません。
部活の練習や試合は週末もありますから、週末はラグビーがあるから部活を休みますというのはなかなか通用しませんよね。
実際、中学生になってバレーボール部に入ったら、「土日も部活を優先してください。それができなければ部活を辞めてください」と言われて、ラグビーを辞めてしまったという話もあります。
せっかく楽しくラグビーをやっていたのに、中学生になって辞めてしまう子どもが大勢います。とくに女子の場合、全体の5%しか継続していません。
この状況を何とか改善できないかという想いから設立したのが「Alive Athlete Academy」です。
現在は小学生と中学生の男子・女子が対象で、千葉県(千葉・新習志野・印西)と埼玉県(越谷・川口・さいたま)を拠点に活動しています。
週1回参加できる週1会員から、全会場の練習に参加できるレギュラー会員まで、ご希望やご都合に沿った参加方法が可能です。
アカデミー生との“10の約束”
―コーチはどのような方がいるのでしょうか?
伊藤:私自身が長年トップリーグ(現リーグワン)のクボタスピアーズというチームにいたので、スピアーズや他のトップリーグチームで選手経験があり、また指導者としても経験豊かなコーチたちがいます。
Alive Athlete Academyを一緒に立ち上げたカトニ・オツコロは、私のスピアーズ時代のチームメイトですが、彼は元日本代表選手でもあります。
アカデミー生のなかには、将来は「トップリーガーになりたい」という子どもがいますから、憧れる人から教わることができるというのは、子どもたちにとってもプラスになるのではないでしょうか。
イベント開催時には、現役の日本代表選手や、トップリーガーたちが来てくれることもあるんですよ。
―指導方針について教えてください。
伊藤:Alive Athlete Academyに通ってくれている子どもたちは、週末はそれぞれ異なるラグビースクールに在籍しています。
いろいろなラグビースクールやチームがあって、それぞれやり方が異なります。
ですので、私たちが教えているのはあまり戦術的なことではなく、どこのスクールやチームでも通用するパスやタックルの仕方など基本的なスキルです。
安全を第一優先に指導をおこなっていて、タックルは“怪我をしないタックルの仕方”を重点的に教えています。
それから、私たちが力を入れているのが「心の体幹の育成」です。
“心の体幹”と“自立した選手” を育成するために、たとえば、コーチが言ったこととは違う動きをしても、まずはなぜその選択をしたのか理由を聞きます。そのうえで、こういうこともできるからやってみようと提案するんです。
あくまでも子どもたちの個性や意見を尊重し、褒めながら、さらに才能を伸ばすようにしています。
コーチにも「コーチングポリシー」がありますが、アカデミー生にもお願いしている「10の約束」があります。
挨拶をしましょう、人の悪口を言わない、時間を守りましょう、忘れ物をしないようにしましょう、ラグビーを楽しみましょうといった、人間性や協調性を育てるうえで重要だと思う10項目をアカデミー生と約束しています。
アカデミー生以外も参加可能なレッスン
―今後開催予定のイベントや、今後の展開予定など教えてください。
伊藤:アカデミー生向けには3か月に1回「アカデミー交流会」として、各教室の選手との交流試合、交流練習会をおこなっています。
3月中旬には卒業試合をおこなう予定ですが、そこでの紅白戦は、自分がどれぐらいのレベルなのか、1年を通してどのぐらいレベルアップしたかがわかる機会となるはずです。
それから、月1回を目安に「スキルアップ会」という少人数のグループレッスンもあり、こちらはアカデミー生以外も参加可能になっています。
今後の展開予定ですが、団体名を「Alive Athlete Academy」とした理由は、ラグビーだけではなく、スポーツを楽しむ環境をつくれたらと思ってのことなんです。
たとえば、ラグビー会場の横でラクロスをやっていて、ラグビーが終わった後にラクロスを少し体験してみる。反対にラクロスをやっている子どもがラグビーを体験してみる。
そういうスポーツの横の移動を実現させたいと考えています。
そうすることによって、スポーツ全体の競技人口の増加や興味が広がり、最終的には子どもたちが自分の好きなスポーツをそこで選ぶことができるようになるはずです。
安全を第一に楽しく活動
―最後に読者の方へ向けてのメッセージをお願いします。
伊藤:ラグビーは、「危ない」と思われている方が多いかと思います。
Alive Athlete Academyでは、「安全を第一」にラグビーの楽しさや仲間との繋がりといった部分を大事に活動しています。
私たちの活動を通じて、ラグビーが好きになってラグビーを続けてくれている子どもたちが大勢います。
ラグビースクールやチームには所属していない、アライブで初めてラグビーボールを触ったという初心者もいますよ。
どのクラスも随時無料体験レッスンをおこなっているので、まずは体験に来てください!
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材協力:Alive Athlete Academy