枚方フットボールクラブを取材!プロ選手を多数輩出する理由とは?

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将来はプロのサッカー選手になりたいと思っているサッカー少年、少女は多いでしょう。

プロになるには、怖い監督のもとで厳しい練習をするのが当たり前だと思っている方もいるかと思います。

ところが、勝ち負けよりも「選手全員が楽しめること」を最優先に活動しているのに、なぜかプロ選手を多数輩出している町クラブがあります。

今回は、1969年創設の歴史ある枚方フットボールクラブのチェアマンで、関西クラブユースサッカー連盟会長でもある宮川淑人さんにお話を伺いました。

子どもにサッカーを習わせている方、習わせたいという方はぜひご一読ください。

  1. 幼稚園児からシニアチームまで
  2. 大事なのは「選手全員が楽しめる」こと
  3. プロ選手を多数輩出
  4. 子どもには「選択肢」を与えて欲しい

幼稚園児からシニアチームまで

枚方FC

―本日はよろしくお願いいたします。まずは、「枚方フットボールクラブ」についてお聞かせください。

宮川 淑人さん(以下、宮川):もともとは外科医であり、のちに「少年サッカー指導のパイオニア」と呼ばれた近江達先生が、1969年に枚方市立開成小学校の児童たちにサッカー指導をはじめたことがきっかけで創設されたサッカークラブです。

第1期生が小学校を卒業し中学校へ進学するのを機に、中学生部門をつくり、小学生だけではなく大人まで在籍できるクラブづくりを目指し、発展してきました。

現在、幼稚園年中からシニア、保護者チームが活動していて、幼稚園児と小学生は各学年10名から20名程度が在籍しています。入団に際し、セレクションは一切おこなっていません。

小学4年生からシニアまで同じメーカー、同じデザインのユニフォームを着ますので、着ようと思えば小学4年生で買ったユニフォームを中学生や高校生になっても着ることができますし、保護者チームもあるので、親子で同じユニフォームを着ることもできます。

入団する際にユニフォーム一式、何万円もかかるチームもあるようですが、枚方FCでは入会時の費用的な負担は極力少なくなるように設定していて、ユニフォームの購入も小学4年生からです。

というのも、とくに小学校の低学年では、まだこれから本当にサッカーを続けるかどうか、見極められていない状態でしょう。まずは気軽にサッカーを楽しんでもらい、もっと続けたいと思ったときに購入してもらえればと考えてのことです。

幼稚園児と小学校低学年はユニフォームがないので、交流試合にはお揃いの練習着で出場しています。

それから、10年ほど前にJリーグのガンバ大阪とパートナーシップ契約を締結し、ガンバからは指導者の派遣。
枚方FCからはガンバ大阪サポーターとして応援を積極的におこなっています。

大事なのは「選手全員が楽しめる」こと

枚方FC

―小学生向けの「サッカースクール」で大事にしていることを教えてください。

宮川:大事にしているのは、勝ち負けではなく、まずはサッカーを楽しんでもらうということ。

コーチたちは子どもたちにあまり注意せず、自由にやらせて、わざと失敗をさせるようなこともあります。

その失敗から子どもたちがヒントを見つけて自ら解決するように導きます。それを何度も繰り返しおこなう。あくまでも型にはめることなく、見守るのが枚方FCの指導方針です。

フェアプレー精神」も大事ですから、大人も審判や相手チームの文句を言わないように心掛けています。子どもは大人の姿を見ていますからね。

枚方FCが大会運営をする際には、子どもたちに会場準備などのお手伝いをさせることによって協調性を身につけたり、いつも試合や大会を運営していただく方々への感謝の気持ちを忘れないでいてほしいと思っています。

練習回数も時間もそれほど長くはありませんので、勉強との両立も難しくないはずです。ですので、強豪クラブにありがちなサッカー漬けというふうにはなりません。

もし家庭の都合、学校行事やテスト期間に練習を休んだからといって、試合に出さないというようなことは一切ありません。

公式戦は子どもたちのテスト期間など関係なく開催されますが、枚方FCにはいろいろな学校の生徒が通ってきてくれていて、テスト期間もまちまちなので、基本的にはお休みする選手がいても、問題なく試合に臨むことができていますね。

―どのようなコーチがいるのでしょうか?

宮川:一部、保護者からスタッフになった人、ガンバから派遣されたスタッフがいますが、大半が枚方FCのOBで、現在は28人のコーチがいます。

指導者の公平性を保つために、保護者コーチの場合、基本的には自分の子どもの学年は担当させませんし、子どもの試合を見に来るときでもベンチに入ることは認めていません。自分の子どもの試合を近くで見たいがためにコーチをするような人も過去にはいましたので…。

毎月指導者会議をおこなって、指導の方向のベクトル合わせをしています。

とくに失敗した事例ですね。間違った事例をまず探して、犯人捜しをするのではなくて、次にどうやったら解決するか議論をし、みんなで指導の確認と方向性を合わせているんです。

勝ちたいという強さの度合いは各自違いますし、やはり30名弱いますと勝負にこだわる人もいます。

しかし、我々が優先することは「選手全員が楽しめる」ということ。そのなかに勝負があるというふうに思っています。

もちろん、こだわれば勝てた試合もあるかと思いますが、それよりも楽しめることを優先しています。

選手全員が楽しく活動していくことが結果的にチームの底上げとなり、最後には勝てるようになると信じています。

枚方FCはセレクションがないクラブですので、運動能力が高いとはいえない選手もいます。ですが、その選手たちを決して置き去りにすることなく、愛情をもって、常に少しでも上手くしてあげたいう気持ちで指導しているのが枚方FCのコーチたちです。

プロ選手を多数輩出

枚方FC

―宮川さん自身も第1期生だそうですが、OBにはどのような方がいるのでしょうか。

宮川:枚方FCはとくにセレクションをおこなうようなチームではなく、とくに強化しているわけでもないですが、旧日本リーグを含めて、プロになったOBが18名います。

子どもたちに「自由にやらせて想像力を育む」という形でやっているなかで、プロになるような選手も出てくるのでしょうね。

【プロになった枚方FCのOB選手】

安井真、小松晃二、北川勝士、岩城孝次、長田治郎、佐々木博和、宮澤浩、内田哲兵、廣長優志、石丸清隆、狩野倫久、山田尚幸、能登正人、浜中耕史、定國智之、斎藤和希、大垣勇樹、武田太一

トレーナーやスポーツドクターとしてJリーグのクラブで活躍しているOBもいます。最近では、14期生の石丸清隆さんが愛媛FCの監督に就任し、枚方FCのOBとして初めてのJリーグ監督となりました。

ーOBの方にとって、枚方FCはどういった存在ですか?

宮川:
本人たちに聞かないとわかりませんが、帰って来てくれているところを見ると、「故郷」という気持ちをもってくれているのかなという気がしますね。

学校は母校といっても、先生が変わってしまうと帰りにくいかと思います。枚方FCは、自分が指導してもらったスタッフも元気でいますし、一緒にプレーした選手たちもコーチとしているので、帰ってきやすい環境にはあるのかなとは思います。

プロになったOBが、子どもたちとボールを蹴ったり、激励してくれることもあります。最近では大垣勇樹選手が顔を出してくれました。

嫌な思い出があったら卒団後はきっと2度と顔を出さないと思うんですよ。おそらくそういう思い出がないのか少ないのか、それよりも楽しかった思い出の方が大きいかなと思います。

「枚方フットボールクラブ」がある大阪府枚方市には、たくさんの塾・学習塾があります。

テラコヤプラスでは、枚方市 塾・学習塾 ランキングや、枚方市駅から近い 塾・学習塾 ランキングなど、エリアや駅を絞って塾を探すことができます。

サッカーと併行して塾にも通わせたい方は、ぜひご活用ください!

子どもには「選択肢」を与えて欲しい

ー最後に読者へ向けてのメッセージをお願いいたします。

宮川:各ご家庭でいろいろなスポーツや習い事を考えて、選んでいると思います。

選択肢のひとつとして私たちのような敷居の低いサッカークラブでサッカーを試してもらい、サッカーが好きになる子どもたちがたくさん出てきたら、それは私たちにとっても大変嬉しいことです。

入部を希望する選手は誰でも歓迎ですが、実際の練習に参加してみないと分からないこともあると思います。枚方FCでは、無料体験練習を随時おこなっていますので、興味のある方はぜひホームページをご覧ください。

保護者の方には、お金と時間が許すのであれば、もちろんサッカーだけでなく他のスポーツでも経験させるなど、選択肢を与えてあげて欲しいですね。ただし、最後に決めるのはあくまでも子ども。それが大事だと思います。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!


取材協力:枚方フットボールクラブ

島田 佳代子
この記事を執筆した執筆者
島田 佳代子

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期よりピアノ、水泳、硬筆、英会話などを習う。中学受験をして英語教育に力を入れる中高一貫の女子校へ進学。その後、都内の短大を経てイギリスへ留学。マンチェスター市内のカレッジで観光・旅行学を学びながら、執筆活動を開始し、スポーツ、旅行、ビジネス、教育など幅広い分野で執筆経験がある。2021年9月から「テラコヤプラス by Ameba」にてライターとして従事し、保護者やお子さまに興味をもっていただける記事づくりを目指しています。