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「受かったら両親に迷惑をかけるかも…」ヒャダインが中学受験で涙した過去を明かす

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音楽クリエイターとして数々のヒット作を生み出しているほか、京都大学出身のその頭脳を生かしてタレントとしても活動されているヒャダインさん

勉強が得意なイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

しかしそんなヒャダインさんも、中学受験では涙を流しており、気持ちが“ズタボロ”になったことも。そんな時、自身を再び勉強へ駆り立てた、その思いとは?

また、ヒャダイン流「子どもに勉強の楽しさを教えるコツ」も伝授していただきました。子どもの勉強嫌いに悩む保護者のかた、必見です!

勉強はクイズの延長線“やればやるほど身につく!”と実感

ー小学生のときから勉強が大好きで得意だったそうですね。勉強が好きになるきっかけがあったのでしょうか。

ヒャダインさん(以下、ヒャダイン):もともとなぞなぞやクイズが大好きでした。問題を解く行為はそのクイズの延長線上にあったので“勉強”だとはあまり思っていませんでした。

特に算数が好きだったのですが、算数ドリルをクイズの本と同じ感覚でやっていて「もっとドリルを買って!」としつこく言うので、困った両親が僕を塾に入れたみたいです。

ー本当に勉強が大好きだったんですね。塾はいつ頃から通っていましたか?

ヒャダイン:小学校4年生ですね。ちょうど同時期に幼馴染の3人も塾に通うという話しもあり、2つ駅が離れたところにあった「実践進学塾」に4人で一緒に通っていました。

テストの成績などを教室に貼り出す塾だったのですが、クイズが大好きだった僕からしたら、クイズの結果発表が出ているようなものですごく闘争心が湧いて楽しかったですね。プラスしてライバルもいましたしね。

ー負けず嫌いでもあったんですね。

ヒャダイン:そうですね。勉強はできたんですけど、運動のほうがまったくできなかったので、運動で負け続けるというフラストレーションがあった分「勉強では勝ちたい」という気持ちはあったんでしょうね。それに「勉強はやればやるほど身につく」と子どもながらに実感していました。

ー中学受験をして大阪星光学院中学・高等学校に進学されますが、中学受験は何がきっかけだったのでしょうか?

ヒャダイン:学力があったからというのもありますが、きっかけは一緒に塾に通っていた幼馴染3人が受験するというのを聞いてその流れだったように記憶しています。

その3人が同じ中学校を受験するって話を僕は聞いていなかったんです。でもそこの中学校の偏差値は、僕は余裕で受かるところだったので、「そもそも行く気ないし」って思いつつも、「えっ、なんで僕には声をかけてくれなかったんだろう…」って当時思ったのを覚えています。

4人組だったのですが、僕だけ運動できなくて。仲が悪いわけではないけれど「1対3みたいになっているなぁ…」というのは、うっすらと感じていました。その後の人生でもそういう局面は多いのですが…それが原体験かもしれないですね。

でも「まあまあそんなもんだ、僕はそんなところ行かないし」と自分で自分を納得させて、彼らより上の学校に行こうと中学受験は鬼のように勉強しましたね。

下手したら僕、そのとき小5~小6前半まで無神経な子だったので、3人の前でそういう発言していたかもしれないですね、あのときの僕が言ってないわけないですから、はい(笑)

ヒャダインさんの出身地大阪府大阪市にはたくさんの塾があります。

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2度の不合格に気持ちは“ズタボロ”「それでも中学受験がしたかった」

ヒャダイン

ー中学受験は残念ながら第一志望には叶わなかったそうですね。

ヒャダイン:はい、実は大阪星光学院の前に2校落ちています。まず、最初に受けた西大和(西大和学園中学校・高等学校)に落ちました。そこで火がついて更に勉強したのですが、第一志望だった東大寺(東大寺学園中・高等学校)にも落ちました。

東大寺の合格通知が届くのが小学校に行っている時間帯だったので、両親に「受かっている知らせがきたら学校の靴箱に“しるし”を置いておいて!」と言ったのですが、下校のときにその“しるし”がなく、帰って不合格の知らせを聞いた時は結構気持ちは“ズタボロ”でした。

さすがに東大寺の時は泣きましたね、しっとりと。

ーそこからよく気持ちを切り替えてまた受験に挑めましたね。

ヒャダイン:さすがに東大寺に落ちたときに、「これはもしかしたら自分の学力が足りないのでは…」と思いました。さらに、最初の2校は気負いすぎていたのもあると思います。京都大学の受験の時も前期試験に落ちて、後期試験で通りました。

僕は昔から緊張癖があるので、1回落ちてリラックスしたときの方が受かりやすいんですよね。それにどうしても中学受験がしたかったんです。

当時の僕は、子どもながらに「周りにわかる言葉で話さなければいけない」と言葉を選んで話したりと、時折制約のようなものを感じていました。

でも、塾に入った時にふと、言葉を選ばずに話せることに気付いて嬉しかったんです。それをきっかけに「受験して自分の学力に合った学校へ行こう」と決意しました。

ただ、大人になって上京した後に「同じような学力の人の中だけで話せればいい」という考え方を後悔することになるのですが…。

ーでも当時は大阪星光学院に合格した時の喜びもひとしおだったのでは?

ヒャダイン:そうですね。でも大阪星光学院は学費が高いことを知っていたので、「受かったら両親に迷惑をかけるな…」と思いながら受験したのを覚えています。

当時の僕は保護者が読むような受験案内の分厚い本が大好きで偏差値比べや授業料比べとかしていたので、学費のことは知っていたんです。

でも「そこしかない」と受けたらなんとか受かって…そのときさすがに「申し訳ない」という思いになり、公衆電話から母にその気持ちを伝えたら「お父さんに相談してみなさい」と。

それで父に、「学費高いけど行ってもいいですか?」というようなことを聞いたら「いいよ」と即答してもらい「良かった」と安心したのを今でも覚えています。

今思えば、両親は初めから行かせるつもりだったんでしょうね。

勉強は究極の“脳トレ”勉強が楽しくなるポイントは“発想”が生まれる瞬間

ヒャダイン

ー中学受験で猛勉強した日々は、今どのように生かされていますか?

ヒャダイン:まず、僕2020年に『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(日本テレビ)という番組で、300万円勝ち取りました。なので、勉強したら300万円とれたってことです(笑)

本当にあれは小学校のときに勉強した内容が出てきました。最後に社会の問題が出てきた時に「やったぁ! これ僕が小5のときめちゃめちゃ好きだった単元じゃん!」って。

そういう話がありつつ…ちょっと真面目に答えると、具体的な勉強内容は役に立たないかもしれないけれど、勉強は“考える頭”にもっていくためのトレーニングだと僕は思っています。

ー“勉強=トレーニング”とは具体的にどういう意味でしょうか?

ヒャダイン:オリンピック選手もしっかりトレーニングをしていないとオリンピックには出られないですよね。それと同じでちゃんと勉強をして、脳もトレーニングをしていないと、自分の夢をかなえるための脳の体力はつかないと思います。勉強は究極の“脳トレ”なんです。

その脳のトレーニングをしているかしていないかで、自分が将来やりたいことが見つかったときや仕事のときの、作業スピードや効率も変わってきます。

勉強といえば、上京後に家庭教師のアルバイトをしていた際、勉強に苦手意識がある子に「勉強って楽しいよね」と、なるべく身をもって感じてもらおうと、あえて“発想“を教えていませんでした。

勉強においての“発想”というのは、 算数でいえば公式を使う前の「どうしてこうなるのか」という部分。その“発想”が生まれる瞬間が勉強の一番楽しいところなのですが、苦手意識がある子はまずそこが思い浮かばないことが多いです。

なので、その“発想”の答えを教えずに、でも答えに辿り着けるように子どもたちにヒントを与えます。最後はほぼ正解に近いところまでヒントを出したりもするのですが、子どもが「あぁ、そうだ!」とさも自分が思いついたかのように達成感を得たところで、すかさず「おー、天才じゃーん。じゃぁ、ここでこの公式使ってみようか」って褒めていました(笑)

それに「こうしてこうして問題解いてください」って発想を教えてしまったら、ただの高圧的で嫌な大人になりますからね。

この“発想を教えない方法”は今の仕事でもレコーディングの際にとても役に立っています。

“絶望の経験”も人生の糧に「逃げずに立ち向かえば必ず自信になる!」

ーこれからの受験生に向けてアドバイスはありますか?

ヒャダイン:“絶望の経験”も必ず人生の糧になることを伝えておきたいです。

僕にとってそれは中学受験で落ちたことです。友だちのことなど、色々な思いがあった上で受けた中学受験でしたので、落ちたときは本当に“ズタボロ”でした。

でも、この経験をしたことで大人になって将来また同じような局面に立ったときに、傷が浅くてすみました。「前もこういうことあったよな…」って。こういう経験で人の心はどんどん磨かれていくんですね。

それに、子どもたちには“逃げ癖”をつけないで欲しいと伝えたいです。受験でいえば、「勉強辛いなぁ」「とりあえず地元の中学に行って高校でやればいいじゃん」と思いたくなるときもあるかも知れません。

でも、そこで逃げてしまうと、他のことでも逃げてしまうんですよね。スポーツなら「練習きつくてやめちゃえ」とか、「友だち付き合いが面倒になってやめる」とか…。

もちろん学校がつらくて行きたくないとかいじめられているっていう人は、それはぜひ逃げて欲しい。

だけど、自分の馬力が足りなくて「逃げよう」っていう人は、癖になっちゃうので子どものころから“逃げ癖”はつけないほうがいいです。

僕は今でも曲を作りながら「他の人はすごい」「勝てる気が全くしない」って思うこともあります。その一方で、「自分はこれが強い」「自分にしか出せないものがある」っていう自信もあります。その自信を持てたのは、やると決めたことを逃げずにやり続けた結果だと思っています。

逃げずに立ち向かい続ければ、自分だけにしかできない武器は絶対出てきます。光り始めるものっていうのは確実にあります。だから逃げずに続けることはとても大切ですね。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

取材協力:ヒャダイン

ヒャダイン/音楽クリエイター 本名:前山田 健一。1980年大阪府生まれ。3歳の時にピアノを始め、音楽キャリアをスタート。作詞・作曲・編曲を独学で身につける。京都大学を卒業後2007年に本格的な音楽活動を開始。アイドル、J-POPからアニメソング、ゲーム音楽など多方面への楽曲提供を精力的に行い、自身もタレントとして活動する。
ひらおか ましお
この記事を執筆した執筆者
ひらおか ましお

Ameba塾探し 執筆者

大学で入部したスポーツ新聞部をきっかけに、大学卒業後から本格的にライター業に従事。主にスポーツ雑誌を中心に活動していましたが、結婚と出産を機にwebや地元の情報誌などに活動拠点を移しました。子どもの成長と共に教育関連に興味をもち、2021年11月より「Ameba塾探し」で執筆を担当する二児の母。インタビューを通して得た情報を皆さまにシェアする気持ちで執筆しています。