新型コロナウイルスの影響で学校が休校になったり授業が短縮したりしたことで、家族と一緒に過ごす時間が増えました。
なかには、子どもを外で思いっきり遊ばせたい、家族でなにか一緒にしたいな、と思われている方もいるのではないでしょうか。
鹿児島県鹿屋市花里町にある「独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立大隅青少年自然の家」は、さまざまな自然体験ができる教育・研修施設。
地元の方たちからは「おおすみくん家」(おおすみくんち)として親しまれ、近隣の学校や各種団体のほか、家族でも利用できます。
今回は、「おおすみくん家」の次長・中尾 奨さんに海浜活動とスポーツ活動をメインにお話を伺いました。
子どもに自然体験をさせたい方、家族でさまざまな体験をしたい方は、ぜひご一読ください。
カヌーやゴムボート体験ができる海浜活動
―本日はよろしくお願いします。まずは活動プログラムの1つ「海浜活動」について教えてください。
中尾 奨さん(以下、中尾):「おおすみくん家」には海浜施設「新城海の家」がありますので、海浜活動では鹿児島湾(通称:錦江湾)をフィールドに2人乗りのカヌー体験や6人乗りのゴムボード体験をおこなっています。
海での活動には危険が伴いますので、原則として小学校5年生以上を対象とし、5月から10月までの期間で実施しています。
ただし、干潮や当日の天候により中止する場合があります。たとえば水温20度未満、波が1m以上、気象の警報等が発令されているときなどは、安全管理の観点から実施できません。
その場合は、創作活動プログラムや屋内でのプログラムに変更しています。
この海浜活動を通じて、子どもたちに海の活動の楽しさや素晴らしさを提供するとともに、海で安全に活動するために必要な知識や技能を指導しています。自然を相手に、まじめに楽しく活動しています。
さらに、子どもたちの冒険心や挑戦心を高めるとともに、安全に対する自己管理能力を身に付けることも狙いとしています。
また、錦江湾の海辺での活動として、海岸の砂を使ってサンドクラフトや、漂流物、貝殻などの自然物を利用した漂流物クラフトなどの創作活動もおこなっています。
このように、海の環境について考える、SDGsの考え方を踏まえたプログラムもおこなっていて、できあがった作品は子どもたちの思い出として好評です。
それから、1泊2日の「ファミリーキャンプ」は人気のある教育事業で、毎回、競争率が10倍を超える申し込みがあります。
お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、そしてお子さんが家族で来られて、1日目は新城海の家にテントを立てて、屋外バーベキューを、2日目はカヌー体験や海の環境活動をしてもらい、1泊2日をめいっぱい楽しんでもらう内容になっています。
―参加されたご家族の感想はいかがですか?
中尾:カヌーを体験された方からは「ペアの人と声を掛け合いながら漕ぐことができ、大変だったけど協力できて良かったです!」「普段できない経験をした息子の顔がとてもキラキラしていました。それを見たら私も嬉しかったです!」など嬉しいご感想をいただいています。
皆さん、「ファミリーキャンプ」で充実した時間を過ごされていますよ。
ロープクライミングやボルダリングも人気
―スポーツ活動についても詳しく教えてください。
中尾:「おおすみくん家」には、プレイホールという体育館のようなところに7mのクライミングウォールが2面あり、そこで「ロープクライミング」と「ボルダリング」を体験できるんです。
これがお子さんたちに人気の高いプログラムの1つになっています。クライミングは、考えながら全身を使って登ることが楽しいスポーツ活動です。
その反面、落下すれば大きな事故につながる可能性がありますので、ロープや安全ベルト、着地マットなどを正しくセットして、安全面に細心の注意を払って実施しています。
とはいえ、小さいお子さんから大人まで楽しめるので、たとえば幼稚園生とか保育園生の子たちが登っている姿を見て、大人の方たちが「おお、すごいな」とびっくりされています。
引率で来られる学校の先生方も、「普段、学校では運動が苦手に見えるような子が、スポーツクライミングをすると7mの高さをいとも簡単にゴールしている!」と、学校とは違う一面を見れたことに驚かれていますね。
先生はもちろん保護者の方も、お子さんのたくましい姿を見たり、聞いたりして、とても喜んでおられます。
おおすみくん家でのスポーツ活動は、普段学校の体育とは種目が違うため、その子の得意分野を開拓するきっかけにもなりますし、「できた」ということがその子の自信にもつながると思っています。
自然豊かな環境のもと、さまざまな体験を
―今後開催予定のイベントなどありましたら教えてください。
中尾:年明けの1月にはファミリーを対象にした1泊2日の「防災・減災キャンプ」、2月には鹿屋体育大学と連携したバスケットボールの「スポーツキャンプ」を計画しています。
さらに近隣の小学生が1週間寝泊まりしながら学校に通う「通学合宿」を5回にわたっておこなう予定です。
通学合宿は毎年利用者の少ない冬場に実施され、近隣の小学校の恒例行事のようになっていますね。
今後開催するイベントについては、私たちの公式サイトで随時更新して告知していますので、ぜひご覧になってください。
―最後に読者へ一言メッセージをお願いします。
中尾:「おおすみくん家」では、今、子どもたちに求められている「生きる力」を身に付けるために必要な体験活動ができます。
自然の家では「知・徳・体」のうち、主に「徳」と「体」を育むことを目指しています。
集団生活や自然の中での体験活動を通して、友達と助け合い協力することや、自然の雄大さを感じることで「道徳心」を育てるとともに、高隈連山への登山やハイキングなどの野外活動では「体」を鍛えることができます。
子どもたちが自然体験活動をすることで、いろいろなことを感じて学び、引き出しを増やしていくことで、子どもたちによい影響を与え、大きく成長できると思っています。
自然豊かな環境のもと、さまざまな活動を体験してもらえると嬉しいです。「チャレンジ!発見・感動そして夢」をキャッチフレーズに、皆さんのお越しをお待ちしています!
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立大隅青少年自然の家