近年、少子化によって子どもの数が減少していますが、埼玉県朝霞市では人口流入により子どもの数は増加傾向にあります。
それに伴い小学校の学級数も増えていますが、子育てしやすい環境が追い付いていないのが現状です。
そのような状況を少しでも改善しようと、市の「子育て支援者養成講座」修了生により2013年4月に設立したのが、埼玉県朝霞市にあるNPO法人「朝霞ぐらんぱの会」。高齢化対策が目的でもあるため、発足当初はシニア男性だけの団体でした。
現在は女性や若い人も加わり、市内の公立保育園、小学校、放課後児童クラブで子どもの見守りや学習支援、イベントでの工作指導など、さまざまな子育て支援や子どもたちとの交流をおこなっています。
今回は、代表理事の原 賢治さんに学習支援と工作教室をメインにお話を伺いました。
朝霞市で子どもにさまざまな体験をさせたい方は、ぜひご一読ください。
小学校で学習支援や読み聞かせをおこなう
(写真:保育園での「ぐらんぱさんとあそぼう」)
ー本日はよろしくお願いします。早速ですが、学習支援や読み聞かせの活動について教えてください。
原 賢治さん(以下、原):
学習支援は主に市内の小学校を対象におこなっていまして、授業の支援や課題のあるお子さんなどのサポートを当会員が教室に入ってやってています。
学習支援は、通常のボランティアとしておこなう場合と、「支援員」として有償でおこなう場合があります。会員の中にはそういった支援員のほか、学校応援団のコーディネーター、あるいは学校運営評議会に参加したりする人もいますね。
また、小学生のお子さんを対象に金曜日の放課後にある「ステップアップ教室」で、ドリル演習をみたり、採点したり、少しアドバイスをしたりもしています。これが非常に人気が高く、学年の半数から6割くらいのお子さんが参加してくれています。
それから読み聞かせは、各小学校の学校応援団の方と一緒におこなっています。読み聞かせでは、私もそうでしたが、基本的なスキルを身につけずに子どもたちに読み聞かせをおこなうこともあり、悩んでいる方も多くみえました。
そこで、これは一度基本的なスキルを身につけていただこうということで、読み聞かせの専門講師を迎えて、読み聞かせの講座を主催しています。
講座では、読み聞かせのスキルアップ、それぞれの年代に応じた本の紹介などをしています。
各学校に読み聞かせグループがあるんですが、それぞれ個別に活動されてまして、横のつながりが全くないような状態なんです。そこで交流の場を設けて、横のつながりを持っていただく取り組みもしています。
※保育園、小学校、放課後児童クラブへの支援は、養成講座での研修と各1日ずつの現地実習の修了が前提になります。
「おもしろ工作教室」でものを作る喜びを感じてほしい
(写真:「おもしろ工作教室」の様子)
ー「おもしろ工作教室」の活動内容についても教えてください。
原:私たちは会員の研修、スキルアップにかなり力を入れてまして、会員同士で教えあい学びあいというようなこともやっているんです。
そういったことをしていく中で、会員の講師としての実力がけっこう上がってきましたので、5年前に朝霞市に子どもを対象にした工作講座をやってみてはどうかと提案したんですね。
それが採用されて現在も活動を続けているのですが、今年で5年目を迎えます。
対象者は市内の小学生で、各学校から参加希望者を募ります。おかげさまで毎回定員の2倍から3倍の申し込みがある人気ぶりです。
参加者は抽選で決定し、講師・サポーターはすべて当会員が務めます。
コンセプトは「モノを作る喜び」、そして「自分が作ったもので遊ぶ楽しみ」。そして、持ち帰った作品や材料で、今度は先生になって、家族に作り方を教える、「一緒に遊び、楽しむ」です。家族のコミュニケーションが深まれば、との思いを込めています。昔遊びも含めた、多様な作品プログラムを用意しています。
そして、その中で工具の安全で正しい使い方や紐の結び方等、日常生活の中でのスキルを身につけてもらえたら、と思っています。
ー参加されたお子さんの感想や反応はいかがですか?
原:毎回、講座ごとに感想をアンケートを取っているのですが、お子さんにも保護者の方にも非常に喜ばれてますね。お子さんが目を輝かせて教室から帰ってきて、「今日こういったことあったよー!」「これを作ったんだよ!」と報告してくれるのを楽しみにされている保護者の方が多くいらっしゃいます。
それから作品についても、学校などの図工の時間などではなかなか作れないといいますか、いろんな発想による作品がありますので、作品そのものに対しても非常に良い反応をいただいていますね。
「紙飛行機つくり」のほか多彩なイベントを開催予定
(写真:「読み聞かせ講座」の様子)
ー今後開催予定のイベントはありますか?
原:この2年間、新型コロナウイルスの関係でどうしても活動が自粛傾向にあったんですが、ようやく先月から平年並みに近い活動ができるようになりました。
直近ですと、12月5日(日)に親子で参加して、スチレン製の飛行機を作って飛ばす、「ぐらんぱと遊ぼう」というイベントを開催しました。
ほかにも講座や講演会等も企画しています。詳しくは当団体公式サイトのイベント案内をご覧いただければと思います。
また、親子教室などについては、朝霞市の「広報あさか」で紹介したり、市民センターや公民館などにチラシを置いていますので、ご覧いただけますと幸いです。
ー最後に読者の方へ一言メッセージをお願いします。
原:子どもたちの笑顔で私たちが元気をもらっています。これからもさらに素敵な笑顔が見れるよう、会員一同張り切っています。
お子さんたちを通じて、保護者はじめ地域の方とのつながりがどんどん広がっていますので、街中で会うと「ぐらんぱさん!」と呼ばれることが多くなりました。
そういう変化が私たちのやりがいにもつながっていますね。
私たちの活動では、いろんな特技なり考えを持った人とつながりを持ちます。互いに教えあったり学びあったりしますので、自分自身の遊びの領域がものすごく広がるんです。それはイベントに参加したり、会の活動に参加してもらったりすることで実感できるのではないかと思います。
ボランティア活動ですが、これによって自分自身が外に出ていくきっかけになります。当然、身体も動かしますし、頭も使います。人とのつながりは認知症の予防にもつながります。特に認知症予防はシニア世代の私たちに非常に重要なことです。
そういった意味でも自分自身にたくさんのプラスがありますので、ご興味のある方は、ぜひ活動にご参加していただければと思います。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:NPO法人 朝霞ぐらんぱの会