少子化や都市化の進展、デジタルツールの普及などにより、子どもを取り巻く環境は著しく変化しています。
子どものゲーム依存やスマホ依存が懸念されるなか、子どもを健全に育てたい、育ってほしいと思う方も多いのではないでしょうか。
NPO法人「東京児童文化協会」は、子どもたちの健全育成に役立つ優良児童文化財の開拓のほか、各地の教育委員会などの行政機関と連携をとりながら、さまざまな取り組みをしています。
今回は、「東京児童文化協会」事務局長の大嶋 英二さんに児童文化活動の内容についてお話を伺いました。
都内近郊でお子さんと一緒に遊んだり、もの作りをしたい方は、ぜひご一読ください。
身近にあるもので作って遊ぼう!
ー本日はよろしくお願いします。早速ですが、「東京児童文化協会」がおこなっている活動について教えてください。
大嶋 英二さん(以下、大嶋):コロナ禍でなかなか活動ができないのですが、最近の活動としましては、新宿区内の町会の納涼祭りで「缶バッチ」と「ブンブンゴマ」作り、紙人形劇「ペープサート」をおこないました。
紙人形劇「ペープサート」は、しりとり遊びやクイズを楽しみました。
コロナ禍で親子で一緒に出かけたり、遊びに行く機会が減ったこともあり、子どもたちはどこかで発散する場を求めていると思います。
ですので、納涼祭りには、たくさんの親子が来てくれました。
缶バッチ作りでは、自分の描いた絵が缶バッチになるので、「すごい!自分の絵だ!」と喜ぶ声が挙がっていましたね。
またブンブンゴマは親子で参加する方が多かったので、親御さんが子どもに教えたり、一緒に楽しんで遊んだりと、そのやり取りが面白かったですね。
私たちが大事にしてるのは、遊びの再現性と発展性なんですね。たとえば、ブンブンゴマって、身近にある厚紙で輪っかを作ってタコ糸を通したもので遊ぶのですが、それがお家に帰っても同じことができる、指導者がいなくても自分たちでやってみようかな、あるいは友達に教えてみようかな、という再現性を大事にしています。
遊んでいくうちに、大きさを変えてみたり、タコ糸の長さを変えてみたり、創意工夫をして発展していきますよね。その発展性にも期待しているんですね。
ですので、私たちがいない場面でも遊びが展開していったらいいな、と思いながら活動しています。
ーイベントなどで子どもに遊ぶ機会を設けられているんですね。
大嶋さん:そうですね。それから、独立行政法人国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金というのがあるんですが、そのゆめ基金の方の申請を出して、令和3年度に活動しているものがあります。
集客型イベントというより、どちらかというと教室型かなと思いますが、最近ですと、太い竹を切って「竹ぽっくり」を作ったり、新聞紙と荷造り紐を使って「クリスマスリース」を作ったりと、身近にあるものを使った制作活動をおこないました。
身近にある素材、たとえば新聞紙って、失敗しても惜しくないといいますか、うまくいかなくてもまた同じように作ればいいやみたいなところもあるのかなと思います。
ちょっとお金を出せば、リースにしても立派なものがあるんですけど、それを使わない選択肢というのも子どもにとってすごく大事なことだと思っています。
「子どもも大人も遊びもまちだ展」に参加
ー今後、開催予定のイベントなどあれば教えてください。
大嶋:来年2月23日(水)に、町田駅前の「パリオ」でおこなわれる「子どもも大人も遊びもまちだ展」に東京児童文化協会として参加します。
このイベントはかなり大規模なものになりまして、パリオ4階のメイン会場では10か所ほどのブースが「作って遊ぼう」というコーナー、5階でワークショップ、そのほかマジックショーや音楽演奏などがおこなわれる予定です。
私たちの団体は、身近なものを使って、作って遊べるものを企画していますので、ぜひお子さんと一緒に足を運んでください。
大嶋:それから、私たちの団体名にも入っている「児童文化」というのは、児童文化財や児童の文化的活動を表しています。
絵本や児童文学、歌、紙芝居、児童劇などが「児童文化財」と呼ばれ、私たちはその児童文化財の開拓をおこなっていますので、たとえばクラフトでの制作や、紙人形劇「ペープサート」(カートリッジ式ペープサート=本会会員のアイデアで生まれたもの)も展開しています。
もし、そういったことをやりたい方は、ぜひこちらからご相談、ご依頼いただければと思います。
遊びを通じで子どもの文化を大切にしていきたい
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
大嶋:「豊かさ」って、ものがあることだけではなく、ひとつは文化を持っているか持ってないかもあると思っています。
その文化というのは、単純にいえば人が作り出した考え方や楽しみなんですが、大人にも子どもにも文化があると。
子どもの文化というのは、やっぱり「遊び」ですよね。遊びは主体的なものだし、いろいろなやり取りをするなかで考えることであると思います。私たちはそこを大切にしています。
遊びの中には「ルール」があり、ルールの必然性(必要なときに・必要なことが・必要なだけ・必要な方法で現れる)があると思うのです。ルールは、私たちが子どもたちに関して考えることであることもあるし、子どもたちに決めさせることでもあります。
たとえば、鬼ごっこをやるときに、ここの木以上は行ったらダメにしようとか、あるいは指導者がこの範囲で遊ばせたいというときに、この木から向こうへは行ってはダメだよ、といいます。
ボール遊びで、首から上は投げちゃダメだよ、と危険を察知してのルールを子どもたちの中で決めさせたりとか、そういう視点が子どもの成長につながると思うんです。
そして、子どもたちの中でルールを決めるというのが社会性にもつながるのかなと思っています。
小さい子から大きい子まで一緒になってルールを考えて遊び、他者を思いやりながら、問題を解決していく力を身に付けてほしい、解決した体験が子どもの中に確実に年齢とともに培われていってほしい、という想いで活動していますので、ご興味のある方はぜひ参加していただけたらと思います。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:NPO法人 東京児童文化協会