難関校の受験に強い塾、有名な講師が在籍している塾、オンラインで個別指導をおこなう塾…
近年、さまざまなタイプの塾が存在しますが、高校生だけで運営している塾があることをみなさんご存じでしょうか。
今回は、学校の教育に疑問を抱いた3人の高校生から始まった「寺子屋ISHIZUE(イシズエ)」を取材。
「寺子屋ISHIZUE」代表の藤原 柏甫さんは、高校2年生のときに青山学院高等部を中退し、2022年春から海外大学に進学する17歳。中学生向けに“学校が教えてくれないことを教えるオンライン塾”を運営しています。
高校生が塾を設立した経緯や、勉強の面白さ、子どもたちへの想いなどをたっぷり伺ったので、ぜひご一読ください。
“学校では学べないこと”を教える「寺子屋ISHIZUE」とは
ー本日はよろしくお願いします。まずは「寺子屋ISHIZUE」がどのような塾なのかを教えてください。
藤原 柏甫さん(以下、藤原):「寺子屋ISHIZUE」は、ちょうど1年前、高校1年生のときに仲間と立ち上げました。
学校の授業って、すごい睡魔と戦いながら授業を受けたり、一夜漬けで定期テストの勉強をしても結局1週間後には忘れちゃったり、なんで勉強しているのか分からないまま勉強しているから身に入らないんですよね。
学校はそういった勉強本来の面白さが分かる場所ではないと、課題を感じたのが立ち上げのきっかけになります。
寺子屋ISHIZUEでは、“高校生が中学生に学校では学べないことを教えるオンライン塾”をコンセプトに掲げています。
講師は全員高校生で、生徒は日本全国の中学生。大人は一切関わっていません。
授業は集団でおこない、各クラス10人程度です。毎回ディスカッションや発表など、アウトプットベースでやっていて、学校が教えないような内容で違いをつくっていますね。
高校生の講師が自分の得意分野や、興味のある分野を面白く伝えることで、勉強の楽しさを知ってもらおうと思っています。
ー他社にはない「寺子屋ISHIZUE」の強みについて具体的に教えてください。
藤原:当塾の強みは、やはり“高校生が教える塾”というところではないでしょうか。
一般的な塾は、大人やバイトの大学生が教えていて、授業の内容も、受験対策や、学校でおこなわれる定期テストの予習、復習対策など、決まったカリキュラムに沿って決まった講師が教えるのが通常です。
しかし僕たちは、カリキュラムを毎回講師によって使い分けているんですね。
毎年同じことを教えるのではなく、来年になったら新しい高校生の講師が入ってくるのでまた別の内容を教えることができます。
それと、高校生にしか教えられないことや、中学生との距離感も大事にしています。
少し距離が遠い大人と中学生の場合、勉強の面白さをいくら大人が教えたとしても中学生は気づけないものです。
でも、高校生が勉強の面白さを教えることで、親近感を感じ、自分もやってやろうと刺激を受けます。
ただ教えるというよりも、2、3個上の先輩の背中を見て学べる環境や、居場所みたいなものを提供している点が他社にはない強みだと思っています。
特別なバックグラウンドを持つ個性派揃いの高校生講師たち
ー講師の方の採用基準はありますか?
藤原:採用基準は、自分の得意分野があって人に語れるなにかを持っているか、またはユニークなバックグラウンドがあるか、なども見ていますね。
ですから、超進学校に通っていたり、偏差値が高かったりなどの理由だけで採用はしていません。
実際、今地方の公立高校に通っている高校生も授業をしてくれていたり、逆に慶応の付属高校など東京都の進学校に通っている高校生もいたり、講師はさまざまです。
教えている内容はそれぞれ違いますが、たとえばプログラミングがとても得意でAIの開発をしてる高校3年生の子の場合だと、今AI業界でこういうことがすごいんだよとか、そもそもAIってなに?とか、ほかにデータの分析についても教えています。
浅く広くいろいろな知識を教えつつ、実際にそのデータやAIについて少し触れてみるんですよ。
また、帰国子女でずっとシンガポールに住んでいる女子高校生は、現在のシンガポールのコロナ対策事情や、日本との違いを話すなど、その人にしかできない授業をおこなっています。
このように、講師はそれぞれ自分の強みを持って、それをいかにファシリテーションして生徒に伝えることができるかを重要視していますね。
さまざまな能力が身につく「独自のカリキュラム」を展開!
※国語科の授業のスライド画像 / 世の中に溢れているデータがどのように使われているのか、どこからどこまでが個人情報なのか、情報系の高校に通う高校生が授業しました。
ーカリキュラムについて詳しく教えてください。
藤原:授業としては、国語、英語、英会話があって、基本的に国語と英語は両方取っていただいていますが、自分のスケジュールや、レベルに合わせて1科目にすることも可能です。
英会話については、英語の授業についていけない場合や、反対にレベルの高い授業を受けたい場合に適しています。
どの科目も一般的な授業とは大きく異なっていて、たとえば国語は、文章を読んだり、語彙を増やしたりするイメージをもたれがちですが、本当に雑多なテーマを扱っているんですね。
具体的には、戦争はなんでなくならないのかといった社会的なテーマや、数学的な思考法を使った授業、あとはコミュニケーション能力を伸ばす授業など、こういった学校の5科目では拾えない範囲すべてをこの国語で拾っています。
1時間半の授業のなかでずっと聞きっぱなしだと飽きてしまうので、毎回ディスカッションを1、2個設けるようにしているのが特徴です。
日本の学校はディスカッションをあまりしないですが、他者との議論を通して身につく力を育成できたらと思っています。
英語については、講師が全員帰国子女か、海外在住者です。
特に中学校の先生だと、あまり発音がよくないことが多くて、授業で扱う言葉も堅苦しく、現地ではそれほど使われていない言葉を教えているケースがあるんですよ。
そのため、帰国子女や海外在住者の講師を取り入れることで、まず発音、そして現地のリアルな文化を生徒に伝えることができると思っています。
やはり、今実際に同じ歳のアメリカ人が使っている言葉を知り、海外の人がハマっているゲームや、生活スタイルなど、さまざまな知識を得ることで、もっと英語に対して前向きに捉えて、関心に繋げることができると思うんですよね。
※英語科の授業のスライド画像 / Among Usというゲームを英語で学ぶ授業をしました。丸暗記する以外の単語の正しい覚え方を、インターナショナルスクールに通うアメリカ育ちの高校生がレクチャーしました。
一方、英会話は、1対1のレッスンです。
個人指導になるので、それぞれの生徒さんのレベルに合わせて授業をしています。
基本的に小学生が多いのですが、たとえばポケモンが好きな子だったら、ポケモンの名前や技名を英語で教えて興味をもってもらうなど、そういったところから少しずつ英語に触れてもらう工夫をしていますね。
ー料金について教えてください。
藤原:料金プランは以下のとおりです。
国語 and 英語(2科目) | 15,000 円 / 月 |
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国語 or 英語(1科目) | 8,500 円 / 月 |
英会話(45分) x 4 | 8,500 円 / 月 |
英会話(45分) x 8 | 15,000 円 / 月 |
※2022年3月現在
無料体験授業も随時受付中ですので、お気軽にご連絡ください。
また、Instagram(インスタグラム)では、さまざまな情報などを発信しているので、ぜひそちらも見てみてくださいね。
僕たちが学びを変える!子どもたちに伝えたい勉強の面白さ
※英語科の授業のスライド画像 / 東京オリンピックを英語で知る英語の授業などもしました。
ー今後の展開について教えてください。
藤原:今後考えていることとしては3つあります。
まず1つ目が、ホームページを新しくすることです。
現在、決済の方法や、体験授業の申し込みがアナログになってしまっているので、生徒や保護者の方たちが使いやすくなるよう、高校生のメンバーで集まって、プログラミングもデザインもライティングも全部1からつくっています。
2つ目は、将来重要な言語になる、中国語の講座を新しくつくろうかなと考えています。
先ほど英語や英会話の授業があると紹介しましたが、外国語って英語だけではないですよね。
当塾の運営メンバーの半分以上が、2か国語以上話せるため、中国語を話せるメンバー主催の講座のカリキュラムを今作成中です。
3つ目は、いろいろな中学校に出前授業みたいな形で出向いて、寺子屋ISHIZUEの授業を生徒さん以外にも体験してもらおうかなと思っています。
塾を運営しているとさまざまな教育関係者の方にお声がけいただくことがあるので、これからはオフラインの授業なども開催していきたいです。
ー最後に入塾を検討している読者にひと言メッセージをお願いします。
藤原:僕たちは、学ぶことに対する障壁を取っ払いたいという強い思いがあり、この塾を運営しています。
本来、勉強って、先人たちが築き上げてきたいろいろな知識、見聞をすごい短い時間で一気に吸収できる最強のツールだと思うんです。
しかし、そんな素晴らしい勉強を楽しめない子どもがとても多い。そこで僕たちが、子どもたちに勉強の面白さを伝えて、彼らの勉強への向き合い方を変えることができたらと思っています。
もし今、お子さんがあまり勉強が好きじゃない、勉強に対しての向き合い方があまり望ましくないと感じている保護者の方がいらっしゃったら、1回体験にきていただいて、当塾の“学校が教えないことを教える授業”を体感していただきたいです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:寺子屋ISHIZUE