デジタルツールが普及し、子どもの周囲にはおもちゃも学習ツールもデジタル製品がたくさん。家族と同じ空間にいても別々の時間を過ごすという方も多いと思いますが、たまには親子で一緒に何かを作ったり、遊んだりしませんか?
鹿児島県枕崎市の山間にある「木口屋集落」が活動拠点のNPO法人「子育てふれあいグループ自然花(じねんか)」では、親子で一緒の時間を共有し、川遊びやさつまいもの収穫などさまざまな体験ができます。
今回は、代表の大脇治樹さんに親子で一緒にできる体験プログラムについてお話を伺いました。
鹿児島県枕崎市で子どもと一緒に工作や農業体験など、さまざまな自然体験をしたい方は、ぜひご一読ください。
木材体験ができる「親子de工作たいけん」
ー本日はよろしくお願いします。まずは、「親子de工作たいけん」の内容を教えてください。
大脇 治樹さん(以下、大脇):「親子de工作たいけん」は、親子で共通の時間を作ろうというコンセプトのもと、事務局近くにあるツリーハウス広場で木工体験などができます。
先週は15組ほどのご家族が参加され、「ミニいすづくり」、クヌギの実のトトロや秋の木の実を白樺の土台にディスプレイしていく「トトロの森づくり」、木のみをたくさん使った「リースづくり」をおこないました。
「ミニいすづくり」では、木のパーツを電動ドライバーを使って親子で組み立てていくのですが、初めてドライバーを扱うお子さんもいて、お父さんやお母さんに手を添えてもらいながら上手に組み立てていましたね。
また「トトロの森づくり」「リースづくり」は、身近にあるドングリやクヌギ、ヤシャブシ、松ぼっくりなどの木の実をボンドで貼り付けて仕上げていきます。
ー参加されたお子さんや保護者の方の反応はいかがですか?
大脇:自然の中で秋を感じながら、涼しい風を浴びて、親子で楽しそうにお話ししながら工作されていますよ。
女の子が小さなトトロを「可愛い!可愛い!」と言って喜んで、お母さんと一緒に楽しそうに作っていましたね。
また
木の実の名前を親子で教えあったり、出来上がりの形を想像して親子の会話を楽しんだりする方も多くいらっしゃいました。
ーこの工作たいけんは定期的におこなわれているのでしょうか?
大脇:だいたい月に4回ほど企画・募集をしています。それ以外は、各幼稚園や保育園の学童クラブさん、平日は学校などの団体が体験活動を事前に予約して参加してもらう形を取っています。
「親子de工作たいけん」には毎回たくさんのご家族が来られますよ。事前予約が必要になりますので、「工作をやってみたい!」という方は、ぜひ私たちのホームページからお申込みください。
季節に応じた体験を親子で一緒に
ー「親子ふれあい体験活動」について教えてください。
大脇:自然花では、親子ふれあい体験活動、一時預かり事業、相談事業子育てサロンなど、子育て支援全般の活動をおこなっていますが、中でも「親子ふれあい体験活動」は、私たちのメインとなる活動です。
自然物を使った工作や草木染め体験、季節の野菜や果樹の収穫、収穫した野菜を使ってのピザづくりやパン焼きなどの食育体験、昔ながら味噌づくり、里山の自然の中での散策や川遊び、かずら遊びなど、四季にあわせた体験活動を実施しています。
普段、家庭では親子で一緒にものづくりや料理をしたり、自然の中でゆっくりとした時間を過ごすということはなかなか難しいのではないでしょうか。じっくり親子で向き合う時間というのも少なくなってきたと感じます。
活動に参加して、家族で共通の時間を過ごすうちに、家での過ごし方も変わってくるのではと思いますね。
ちなみに、集落住民を講師に招いておこなう昔ながらの味噌づくりや農業体験では、子どもだけでなく親御さんも初めて体験することが多く、世代ごとの交流の機会にもなっているんですよ。
自然花の拠点は里山ですので、今の時期だとカズラがいっぱいある山の中に入って行き、カズラをブランコにしたり、ターザンロープみたいにしてぶら下がったり、自然を感じて遊ぶ体験もおこなっています。
ーお子さんたちも自然の中でアクティブに遊べて楽しいでしょうね。
大脇: 自然の中で活動すると、子どもも親御さんも気持ちが大きくなるんですよね。普段だとケガが心配で「危ないからやめなさい」と言いがちですが、子どもたちに禁止をしないというか、自由に遊び回れるような、そういう広い目で見守られている方が多いように感じます。
自然の中で共通の時間を楽しんでほしい
ー今後開催される予定のイベントがあれば教えてください。
大脇:毎年11月か12月に「里山まつり」という大きなイベントをおこなっておりまして、例年ですと、地元のおじいちゃん、おばあちゃんたちと一緒に、子どもたちが餅つきやそば打ち体験をします。
今年は12月5日(日)に開催しますが、コロナ禍ということもあり、食の体験は控えて、制作体験を6つほど用意しています。
また、地域の子どもたちがダンスや和太鼓を習っているので、発表する場を作って賑やかに開催しようと考えていますので、ぜひお近くの方はお越しください。
ー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
大脇:私たちの活動拠点である建物や畑、広場は、以前は空き家や耕作放棄地でした。
私たちの活動を理解・共感してくださった集落住民の方たちに提供していただき、空き家だった建物は事務所や食育体験、交流体験の場として、耕作放棄地だった場所は野菜や果樹の畑、親子が過ごす広場として活用しています。
広場にはシンボルとなるツリーハウスのほか、ハイジブランコやウッドデッキなどがあり、訪れた人たちの憩いの場になっています。
活動を始めて12年が経ち、子どものいなかった過疎高齢化の進んだ集落は、親子が集い、子どもたちの元気な声が響くことでにぎやかになりました。
最近は共働き世帯が当たり前となり、子どもたちも幼少期より習い事や少年団等、忙しい毎日です。日常生活の中、親子で一緒に何かをする時間は、昔よりも少なくなったように感じます。
だからこそ体験活動を通じて親子で一緒の時間を共有し、物事に共感することが大事であると思いますし、より多くの親子が参加できる機会を今後も増やしていきたいと思っています。
これからも地域や周りの方たちとのつながりを大事にしながら、子育て支援に取り組んでいきたいと思っていますので、私たちの体験活動にご興味を持たれた方は、ぜひ遊びにいらしてください。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:子育てふれあいグループ自然花