特定非営利活動法人「グッドネーバーズ・ジャパン」がおこなう困窮するひとり親家庭支援とは

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食品をついつい買いすぎて、気がついたときには賞味期限切れで。毎月のようにまだ食べられたはずの食品を廃棄処分していませんか?

そのまだ食べられるはずだった食品を必要としている人がいます。

今回は、国際NGOグッドネーバーズ・インターナショナルの一員である特定非営利活動法人「グッドネーバーズ・ジャパン」広報部長の飯島史絵さんにお話を伺いました。

フードロスや日本の子どもの貧困問題に関心がある方は、ぜひご一読ください。

  1. 子ども7人に1人が相対的貧困
  2. 困窮する “ひとり親家庭”をサポート
  3. 活動に協力できる3つの方法
  4. 貧困問題に目を向けて欲しい

子ども7人に1人が相対的貧困

グッドネーバーズ・ジャパン

―本日はよろしくお願いいたします。まずは、日本の「相対的貧困」について教えてください。

飯島 史絵さん(以下、飯島):貧困と言うと、海外の「絶対的貧困」と呼ばれる状態の、栄養失調でお腹の出てしまった子どもや、必要な医療を受けられず、命が消えそうな貧困をイメージをされる方が多いと思います。

一方、日本の「相対的貧困」は、住んでいる地域の文化や生活水準と比較して、困窮した状態を差し、子どもの“7人に1人”が相対的貧困の状態にいると言われています。

これを“ひとり親家庭”に絞ってみると、48.3% 約2人に1人が相対的貧困というかなり深刻な状況です。

小学校の35人クラスで考えると、1クラスに5人は相対的貧困の子どもがいるという計算になります。

本当にそんなにいるのと思う方がいるかもしれません。

今、服は新品でもフリマサイトでも安価で買え、服装や見た目で経済状況がわかる時代ではありません。

困窮している家庭の子どもこそ、ライフラインとしてスマホが必要であったり。着ているものや持ち物は普通の家庭と変わりません。

そして、あいさつ程度のママ友やクラスメイトに「生活が苦しい」と打ち明ける親も子どももいませんよね。

こういったことから、子どもの貧困は「見えない貧困」と言われているのです。

見えないところで、食費を切り詰めるために母親/父親が食事をしないといった困窮が起きています。

よくドラマに出てくる「ひとり親家庭」というのは、シングルマザーが必死に仕事をしながら、小学生くらいの子どもひとりを育てている。そんなイメージかもしれません。

ところが現実は、
親と子が健康とはかぎりません。コロナで失業して、未だに仕事に戻れていない人たちもたくさんいます。

赤ちゃんを抱えているシングルマザーもいます。親の介護や、亡くなった夫の謝金返済、障がいや病気を抱えているケースもあるんですね。


このように、二重苦、三重苦を抱えている人たちは少なくありません。こうなってくると、自分の力だけでこの状況から抜け出すのは困難なんです。


相対的貧困の当事者にはそれぞれの苦しみがあり、海外の「絶対的貧困」と比べることは無意味です。

低所得世帯で育った子どもは教育を受ける機会が少なく、それは将来の所得格差に繋がり、ひいては日本の所得や財政収入の損失にも繋がります。

決して、他人事ではないということがお分かりいただけるでしょうか。

困窮する “ひとり親家庭”をサポート

グッドネーバーズ・ジャパン

―ひとり親家庭のフードバンク、グッドごはんについて詳しく教えてください。

飯島:
私たちはこれまで途上国で支援活動をおこなってきましたが、国内の貧困も見過ごせないということで、2017年から国内での支援活動を開始しました。

生きていくうえで一番必要な食を支援しようと、ひとり親家庭のフードバンク事業「グッドごはん」をはじめたんです。

はじめは、事務所がある大田区を中心に食品の配布をおこなっていましたが、現在では関東と関西にも少しずつ拠点を広げています。

対象は、とくに貧困率が高い“ひとり親家庭”。各自治体が発行するひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭を対象としています。

とはいえ、対象にあてはまらないけれど、困っているという人も当然ながらいるんですね。

たとえば、夫からのDV被害で子どもと避難しているようなケース。こういったケースでは相談のうえ、特例で食品配布の対象にするなど、臨機応変に対応しています。

一世帯に対して支援しているのは“月1回  18,000円相当の食品

月の食費を1~2万円ほどでやりくりしている、ひとり親家庭が多くありますから、食品を受け取ることで、家計に多少の余裕ができた。

子どもに体操服や、誕生日プレゼントを買ってあげることができたといった声もお聞きします。

活動に協力できる3つの方法

グッドネーバーズ・ジャパン

―活動に協力できることがあれば教えてください。

飯島:
私たちは、お金・食品・時間の寄付をお願いしています。

食品を提供するのに、1世帯あたり3000円の運営費がかかります。

このお金がないと、活動をつづけていくことができないので、お金の寄付は非常にありがたい支援です。

食品は、私たちが支援を必要とする方へ配布するものになります。

もし、ご自宅で食べずに余っている食品がありましたら、直接お持ちいただくか、元払いになりますが送っていただけたら嬉しいです。需要が多いお米などの食品を、Amazonの欲しいものリスト に掲載しています。

今後、受け入れ態勢が整えば、生鮮食品、冷凍品・冷蔵品の受け入れも開始したいですね。

時間の寄付というのは、ボランティアで、食品の仕分け作業、梱包作業や、対面配布を手伝ってくださる方を募集しています。

とくに、対面配布のボランティアは、食品が本当に必要としている方へ届いていることを実感していただけるので、「やりがいがある」という感想をいただきます。

HP に、協力方法を詳しく記載したページもあります。ご協力いただける方はご覧いただけると幸いです。

貧困問題に目を向けて欲しい

ー最後に読者へ向けてのメッセージをお願いいたします。

飯島:
子どもには何の責任もありませんが、家庭の経済状況により希望する進路に進めない、習いごとや旅行などができないなど、できることが制限されてしまいます。

そして、「なぜ自分だけがこれをできないんだろう」と疑問をもつようになります。

それが次第に「どうせ自分なんて」という意識に変わるんですね。


そしてこの状況が長引くと、自己肯定感の低下を招き、その子どもがもつ才能や能力が発揮できないような結果を招いてしまいます。

これは、個人だけの問題ではなくて、少子化が進む日本においても不利益になってしまうと思うんです。

私たち大人は、子どもが生きて行く将来の環境を少しでもよくしていく責任があるのではないでしょうか。子どもたちが、教育を受け、健康に育つ環境を支援する必要があるはずです。

日本には、女性は低賃金で保障の少ない非正規雇用が多く、男性は長時間労働に縛られるという就業・社会構造があり、健康に問題のないシングルマザー/シングルファザーでも育児・家事・仕事の両立が非常に難しいという問題があります。

皆さんにもこういった問題に目を向けて欲しいと思います。私たちも「グッドごはん」の活動と同時に、日本の子どもの貧困問題を解決するためにどのような支援や政策提言が必要か、考えていきたいと思っています。

ー本日は大変貴重なお話をありがとうございました。

■取材協力:グッドネーバーズ・ジャパン