特定非営利活動法人「輝HIKARI」を取材!障がいのある子どものための居場所づくりとは?

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毎日新しいことを学べて、友だちがいる学校が大好きな子どもは多いでしょう。

一方で、障がいがあることによって、自分の居場所に“心地よさ”を感じられずにいる子どもは、決して少なくありません。

今回は埼玉県で活動する特定非営利活動法人「輝HIKARI」代表理事の金子訓隆さんにお話を伺いました。

福祉に興味のある方はぜひご一読ください。

  1. 父親たちによる障がい児支援
  2. 人間力を身につけるための支援
  3. “顕微鏡視点”と“望遠鏡視点”
  4. 障がいと向き合うこと

父親たちによる障がい児支援

輝HIKARI

―本日はよろしくお願いいたします。まず、「輝HIKARI」の設立経緯を教えてください。

金子訓隆さん(以下、金子):
私には先天的な知的障がいのある15歳の息子がいます。その息子が3歳の時に発達障がいのある子どもをもつ父親としてブログを始めたんです。

主にふたつの視点からブログを綴っていました。

ひとつめは、経済的視点から障がい者の自立」です。

私自身もともと証券会社にいて、日本の経済発展と障がい者支援が比例していると感じていました。というのも、発展途上国には障がい者支援はほとんどありません。

一方、先進国には障がい者支援があります。つまり、日本の経済がよくならないと、障がい者の支援はよくならないということですよね。

ふたつめは、IT系会社の取締役という立場から「社会に出た時のあり方」という視点。

このブログには、私と同様に全国の障がいのある子どもをもつ父親たちからの反響が、非常に多くありました。


そうした背景から、「父親が子どもの将来を見据えた支援ができる団体」をつくりたいと考えました。

そこで2012年に、NPO法人輝HIKARIの前身となる「おやじりんく」の設立を決意。

現在は、障がいがある子どもをもつ5人の父親が理事を努めています。

小学校の学童保育というのは、やはり障がいがある子どもを積極的には預かってくれないんですね。

だからこそ、「子どもの居場所をつくりたい」という想いが強くなったのでしょう。

その後、継続的に発達障がい児の自立支援、療育、保育、就労の支援をおこなうため、NPO法人「輝HIKARI」として放課後等デイサービスを開始したんです。

人間力を身につけるための支援

輝HIKARI

―輝HIKARIの活動内容について、詳しく教えてください。

金子:
現在、児童発達支援事業所を2か所、放課後等デイサービスを4か所、相談支援事業所を1か所、訪問入浴介護サービス事業所を1か所運営しています。

どの施設も支援者側の視点ではなく、目指しているのは「支援を受ける側の視点で子どもに寄り添った」サポート。

たとえば、児童発達支援事業所が2か所ありますが、同じサービスを提供しているわけではありません。

「輝HIKARIみらいキッズ」は個別・小集団で「生活支援×運動型」療育をおこなっています。「からだを動かすこと」で「集中して取り組むチカラ」を身につけられるようサポートしているんです。

「CoCoRearはぐ」では朝の会や給食、コミュニケーションを通じて「集団生活のスキル」を身につけます。

このように集団と小集団と2つの施設があることは、少し個性的な形なのかなと思います。

“顕微鏡視点”と“望遠鏡視点”

輝HIKARI

―障がいをもつ子どもを育てるうえで、大事な視点を教えてください。

金子:息子が生まれてまもなく、障がい者の支援活動をしているのは母親ばかりだということに気がつきました。

母親たちが集まって話をすると「大好きなご飯をこれだけ残してしまった」「着替えがすごく遅くて準備に手間取った」「朝、癇癪を起した」といった内容が目立ちます。

一般的に母親というのは、昨日、今日、明日など、短いスパンの子どもの細部までを調べることに関して、非常に長けているのではないでしょうか。

私はこの母親の視点を「顕微鏡視点」と呼んでいます。

母親が子どもに望んでいるのは「自立」だと思いますが、母親が、顕微鏡で子どもの少し遠い将来を見ようとすると、どうしてもぼやけてしまいますよね。

とくに障がいのある子どもをもつ母親というのは、それで仕事をしていても出産後に退職されて子育てに入ることで社会経験が少ない傾向にあります。

一方、社会に出ている父親は、子どもが将来どのように育ち、どのような仕事に就いていくかを、母親と比べても想像しやすいと思います。

私はこの父親の視点を「望遠鏡視点」と呼んでいます。

「顕微鏡視点」と「望遠鏡視点」の両方が揃うことが大事で、それが子どもの自立支援につながっていくと考えています。

障がいと向き合うこと

ー最後に読者へ向けてのメッセージをお願いします。

金子:
障がいのある子どもをもつ母親たちは、周囲からよく「大丈夫、大丈夫だよ」と言われると思います。

周りの人は、激励のつもりであり、決して悪意はないと思います。でも、言われた側からすれば、第三者からの根拠のない無責任な「大丈夫だよ」なんですよね。

「大丈夫」と言って欲しい相手は、同じ親という立場で一緒に子育てをしている父親なのではないでしょうか。

子どもが生まれて障がいがあると、自分の母体で赤ちゃんを育てて生んでいるから、「もしかしたら妊娠中に風邪ひいたのが原因かな」「あのときヒールを履いて躓いちゃったのが原因かな」と、自分をとても責める母親が多くいます。

実際に、発達障がいのある子どもをもつ母親の約4割がうつ病になっているという推計データもあります。

私の妻も「私って障がいのある子しか産めないのかな」と呟いたことがあるんです。

でもその時に、私は妻に「大丈夫だよ」と言いました。

大丈夫だよと言ったあと、「なぜ障がいになったのかを考えるのではなくて、障がいがあるという現実をふたりで受け入れて、これからを一緒に考えていこうね」と伝えました。

妻は同じ親という責任ある立場の私からこのように言われたことで、とても前向きになれたと言っています。

だからこそ、この「大丈夫だよ」という言葉は、誰が言うかがとても重要です。

それから、私が各地でおこなっている講演活動の際に必ずお伝えすることがふたつあります。

ひとつは「障がいがあることが可哀そうや不幸ではなく、その障がいと向き合えないことがかわいそうであり不幸である」こと。

障がいがあることは他人から見るとかわいそうとか、不幸だと見えてしまうかもしれません。

ところが、障がいがあっても親や周囲の人たちがどれだけ居場所をつくってあげられるか。その子どもを必要として支えてあげられるのかによって、その子どもは不幸ではないと思うんです。

なかには、障がいがなくても、親から虐待を受けていたたり、ネグレクトを受けている子どももたくさんいます。

いかに周囲の人が障がいの有無でかわいそうとか不幸を決めるのではなく、その子どもに向き合い適した環境をつくるかが重要だと感じています。

もうひとつはある女性車いすテニス選手のポスターのこと。

「障がいなんて乗り越えられるわけない」
って書いてあったんです。

よく「障がいを乗り越える」という言葉が使われますが、障がいは乗り越えることはできません。

障がいがあるという現実は変えることはできません。障がいは生涯向き合っていかなければなりませんから、障がいと向き合えない人ほどかわいそうであり、不幸だと思うんです。

子どもが障がいと向き合い、人間力を身につけることを、私たち大人がどこまでも寄り添い続け、ともに向き合ってあげられるか。そのことが、その子どもの将来につながると思っています。

私たちは、障がいのある子どもをもつ父親が集い、定期的に勉強できる会も開催しています。

同じ境遇で悩まれている方がいたら、私たちのホームページ に活動スケジュールなども掲載していますので、ご覧いただけると幸いです。

ー本日は大変貴重なお話をありがとうございました。

■取材協力:輝HIKARI

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