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社会福祉法人わんぱく福祉会の障がい児通所支援施設「わんぱくハウス」を取材!

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障がいや病気のため、一般の保育園や幼稚園に通うことができない子どもがいます。

2000年にそんな地域の子どもたちを支援する形で「わんぱくハウス」の活動はスタートしました。

いろいろなことを、障がいがあるからできないと決めつけるのではなく、子どもの特性を見極めながら接することが大切です。

今回は福岡県直方市で活動する社会福祉法人わんぱく福祉会「わんぱくハウス」理事の射場 小百合(いば さゆり)さんにお話を伺いました。

“ルーティン”で自ら行動する子どもに

NPO法人「わんぱくハウス」

―本日はよろしくお願いいたします。まず、「わんぱくハウス」での活動についてお聞かせください。

射場 小百合さん(以下、射場):「わんぱくハウス」では“外遊び”をとても大事にしています。

障がいのある子どもというのは、公園で他の人に迷惑をかけてしまうことを心配する保護者が少なからずいることもあり、外遊びの経験が少なく、運動能力が低下している傾向にあるんです。

それで、子どもたちの運動能力をなんとか向上させたいと、天気が良い日の午前中は必ず野外活動をおこなっています。

もうひとつ、私たちが活動のなかで大事にしているのが“ルーティン”です。“ルーティン”を続けることで、いろいろなことを習慣化できます。

たとえば、午後3時ころに施設へやってくる小学生の最初のルーティンは、“トイレ→手洗い→宿題→手洗い”。宿題が終わった子どもからおやつを食べて、天気のよい日は外で遊びます。

子どもたちは宿題をやれば、おやつが食べられる。おやつを食べたら、外遊びができると分かっているから、慣れてくると私たちの声掛けも必要ないほどなんですよ。

子どもたちの「ただいま!」の声に「おかえり!」と返すだけ。あっという間にルーティンをこなして、おやつを食べて、外へ飛び出していきます。

私たち職員は、子どもがどうやったら喜んでくれるか、楽しんでくれるかを最優先に考えています。だから、わんぱくハウスでは子どもたちの笑顔が絶えません。

とはいっても、子どもに苦手なことをさせていないわけではありません。たとえば、先生の話を聞くことや制作が苦手な子どももいます。

子どもに嫌々やらせるのではなく、どのタイミングで何をやらせれば、嫌がらずにスムーズにおこなってくれるか。
子どもの特性を見て、うまく誘導するようにしているんです。

そうすると、苦手なことにも取り組むようになります。きちんと座って、集中して人の話が聞けるようにもなります。

そんなふうに日々、先生も工夫をしながら、子どもたちが苦手なことにも頑張って取り組んでいるんです。

よく保護者の方が「うちの子は、障がいがあるからそういう決まり事ができない」と心配されます。
ですが、楽しみをあとにもってきてあげるとか、ちょっとしたことで子どもは頑張るんです。

頑張ったところを褒めてあげると、褒められて嬉しいからさらに頑張ります。そうして、できないと思っていることもできるようになるんですね。

野菜を自分たちで育てて苦手を克服

NPO法人「わんぱくハウス」活動の様子

―1年を通じておこなっている野菜の栽培について教えてください。

射場:人参、じゃがいも、大根や玉ねぎなど、その季節の旬の野菜を「わんぱくハウス農園」で栽培しています。

スーパーだとどの野菜もほぼ1年中目にしますよね。だから、子どもたちは旬の野菜を知らないんです。それどころか、人参の絵を描かせると、葉っぱがないのはいいですが、四角い絵を描く子どもがいます。

要はカレーライスや肉じゃがに入っている人参しか見たことがないわけです。それで、やっぱり野菜を自分たちで育てるのは大事だなと思って。

好き嫌いが多い子どもでも、自分が育てた野菜は一口でも食べるんですね。食べてみたら、実は美味しかった。自分が育てた野菜をきっかけに苦手を克服して食べられるようになることも。だから、私たちは野菜作りを大切にしています。

イベントを通じて子どもに“自信”を持たせる

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―わんぱくハウスでおこなっているイベントについて教えてください。

射場:お花見、遠足、川遊び、芋ほりや節分など、1年を通じて本当に多くのイベントを開催しています。

親子ふれあいイベントは、同じ悩みを抱える保護者同士が顔を合わせて、お互いの悩みを打ち明ける場にもなっています。

一般の方がいると、行きにくいキャンプ場を貸し切りでバーベキューなどおこなうんですよ。

夏祭りは施設内のイベントではなく、地域の夏祭りに参加して“キッズショップ”というお店を出します。子どもたちが売り子になって、おもちゃやヨーヨー、スーパーボールなどを販売するんです。お客さんに品物を勧めたり、お金をいただいたり、お釣り渡したり、つり方を教えたり、すくい方を教えたりといった職業体験にもなっていますね。

なかにはうまくしゃべることができない子どももいますが、その子なりに声を発することができればそれでいいと思うんです。

毎年参加していると、一般の方も覚えてくださって、「頑張ってるね」と声をかけていただくこともあって、子どもたちもニニコニコしながら、「ありがとうございます」って答えていますね。

障がいがある子どもは、お客さん側で呼ばれることはあっても、自分たちが誰かを招待したり、自分たちが主になって動くことがほとんどないんです。だからこそ、子どもが自信を持って人前に出るという経験をさせたい。そのためにも積極的に地域のイベントにも参加するようにしています。

10年以上続いている「クリスマス会」は、子どもが主体となって企画し、チラシを配って近隣の方を招待します。

お餅つき大会も近隣の方に声をかけて、一緒にお餅をついているんですよ。

お孫さんになかなか会えないからと、毎年楽しみにしてくださっている方もいたり、クリスマス会やお餅つき大会は地域の方との大事なふれあいの場になっています。

障がいのある子どもは、「障がいがあるから無理だろう」「障がいがあるから連れていけない」と、こういったイベントに参加した経験が少ないんですね。

積極的にイベントに参加し、主催する経験を通じて、「障がいは恥ずかしいことではない」とわかってくる子どもが増えていると感じます。

夏祭りもクリスマス会もコロナの影響で中止になっているので、再開が待ち遠しいです。

苦手なことにも取り組みながらも、子どもたちの笑顔が絶えないなんて素敵ですね!

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2022年4月には新たに就労支援施設を開園予定

おおぞらハウスサンプル画像

―最後に今後の展望と、読者へ向けてのメッセージをお願いします。

射場:2000年に私の自宅を開放して始まった小さな家庭保育室は、間もなくして障がいや疾患があって一般の幼稚園へ通うのが難しい子どもたちの駆け込み寺となりました。

保護者からの「ここがなくなったら困ります」の声に後押しされて、2006年に「特定非営利活動法人わんぱくハウス」に。

2021年4月にはこれまでの活動が高く評価され、「社会福祉法人わんぱく福祉会 わんぱくハウス」として新たにスタートを切りました。

そして、2022年4月には新たに就労支援施設「おおぞらハウス」をオープンします。

きっかけは、わんぱくハウスのある卒業生です。保護者の方が、「子どもがわんぱくハウスを離れたくないと言っています。子どもが働ける場所を作ってもらえませんか?」と相談に来られたんです。

職員と理事で何度も話し合いを重ね、彼女を清掃員として採用しました。すると、ほかの子どもたちも、「私たちもわんぱくハウスの先生になる」と言い出したんです。

わんぱくハウスには重度障がいの子どももいれば、ダウン症、自閉症、知的障がいと、あらゆる障がいの子どもがいます。

私たちの願いは、ここにいる子どもがどんどん一般の社会へ出て行って、一般の子どもと同じように活動できるようなること。

子どもの「私たちもここで働きたい」という声を聞いて、その想いは一層強くなり、子どもたちの「働きたい想い」を全力でサポートするために、就労支援施設をつくることにし、“大空に羽ばたけ”という意味も込めて、「おおぞらハウス」としました。

これからも、子どもたち、そして保護者の方の声を大事に、支援活動をおこなっていきます。

もし、困っていることがある方は、ご相談いただければ、お力になれると思います。近くへお越しの際は、ぜひ立ちお立ち寄りください。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:わんぱくハウス

島田 佳代子
この記事を執筆した執筆者
島田 佳代子

Ameba塾探し 執筆者

幼少期よりピアノ、水泳、硬筆、英会話などを習う。中学受験をして英語教育に力を入れる中高一貫の女子校へ進学。その後、都内の短大を経てイギリスへ留学。マンチェスター市内のカレッジで観光・旅行学を学びながら、執筆活動を開始し、スポーツ、旅行、ビジネス、教育など幅広い分野で執筆経験がある。2021年9月から「自然豊かな地方の田舎生まれ。小学校では3~5年生までスイミングクラブ、4~6年生までサッカーと習い事を通じてスポーツに熱中する日々を送る。工業高校に進学するも起業や事業経営で成功したいと考えるようになり、高校3年生で個人事業主として開業。紆余曲折ありながら、ライティングを学びブログ運営やWebライターとして活動を続けている。2022年7月より「Ameba塾探し」で編集兼執筆を担当。進路に不安を抱える学生や保護者に役立つ情報をお届けする記事作りを目指しています。」にてライターとして従事し、保護者やお子さまに興味をもっていただける記事づくりを目指しています。