スマートフォンをピッとタッチするだけで、決済が完了するキャッシュレス決済は本当に便利ですよね。
お金のやり取りが発生しないため、無料でいくらでも商品がもらえると誤解する子どももいるようです。
キャッシュレス時代だからこそ、幼いころから「お金」について学ぶことがより重要になります。
今回は親子で一緒にお金と仕事を考える「キッズ・マネー・ステーション」認定講師の袖山 佳さんにお話を伺いました。
学校では教えてくれない大事なお金のこと
―本日はよろしくお願いいたします。まず、キッズ・マネー・ステーションがおこなっている講座についてお聞かせください。
袖山 佳さん(以下、袖山):キッズ・マネー・ステーションの講座は、「子どもに生きる力や自立する力を身につけて欲しい」という思いをこめて、試行錯誤を繰り返しながらつくり上げたものばかりです。
子ども向けプログラムは、学校ではなかなか具体的には教えてくれないお金の役割やお金との付き合い方、物やお金を大切にする心に重点を置いています。
小さな子ども向けの講座「はじめてのおしごと体験」は、数が数えられるようになったばかりの未就学児から参加可能です。
“お金は使うとなくなる”ということ。商品を手に入れるときにはありがというという“感謝の気持ちで交換する”こと。そういった基本的なことを丁寧に教えます。
小学生から高校生が対象の「ハンバーガーから学ぶ世界のお金」という講座では円高や円安、輸出や輸入について学びます。
言葉は聞いたことがあっても、それがどういうことなのか理解している子どもは多くありません。
それを「ハンバーガー」という身近な食べ物を通じて学びます。日本が世界と繋がっていることにも気がつくでしょう。
円高や円安について学んだあとは、実際に世界のお金を手にとって顕微鏡で観察することもあります。
このように、どうしても難しくなってしまう社会の仕組みや経済のことを、身近な題材やゲームを通してわかりやすく伝え、体感してもらえる工夫をしているんです。
300人の認定講師!教育にかける熱い思い
―全国に300人いるという認定講師についてお聞かせください。
袖山:私たち認定講師のもともとのバックグラウンドは会社員、主婦、個人事業主や教職者など多岐に渡りますが、共通してるのは「子どもたちへ必要なマネー教育を届けたい」という熱い気持ち。
そして、「将来を担う子どもたちに、生きるために必要なマネー教育を普及したい」という純粋な思いを持っている講師が非常に多いですね。
私たち認定講師はキッズ・マネー・ステーション主催のイベントだけではなく、PTAからの依頼を受けて、全国の小学校や中学校で講座をおこなうこともあります。
保護者向けにお話をすることもあれば、小学校の授業で講師を務めさせていただくこともあるんですよ。
未就学児から参加可能なイベント
―今後開催予定のイベントや告知があれば教えてください。
袖山:ぜひお伝えしたいイベントが3つあります。
1つ目は「キッズ・マネーすごろく」年長から小学生の子どもと保護者を対象とした講座です。Zoomを使ったオンライン講座なので、全国どこからでも参加していただけます。
この講座で初めて「株式」「保険」「電子マネー」といった言葉に触れるかもしれません。
難しく感じる言葉かもしれませんが、講師が一方的に話をするのではなく、すごろくなどを活用して子どもが楽しく参加できる工夫をしています。
自宅にいながら会場のみんなとワイワイ取り組んでいただけるので、「こんなに楽しいなんて」と好評なんですよ。
12月はお休みですが年明けは1月23日(日)10時から、2月27日(日)10時から開催します。
2つ目は「お金のすべて」という講座。次回の日程が確定していませんが、子どものマネー教育から投資まで「子育て世代が必要なお金」のことを体系的に学べる内容になっています。
保護者が対象ですが、親子で参加していただくことも可能ですよ。
3つ目は「認定講師の養成講座」です。ほぼ毎月開催していて、12月におこなわれる講座で60回を数えるんですよ。それだけ人気の講座になっています。
近年、スマホや電子マネーの普及もあって、こどものお金を取り巻く環境は大きく変化しています。それに伴ってトラブルも増加しています。
しかし、学校などでは十分にお金について教えてはもらえません。私たち大人が正しい知識を持って子どもに伝えることが大切です。
「子どもたちに必要なマネー教育をわかりやすく伝えたい」という方は、ぜひ認定講師養成講座を受けていただければと思います。
キッズ・マネー・ステーションではご紹介した以外にも多くの講座をおこなっています。ぜひHP を見ていただき、少しでも気になる講座があればご参加ください。
キャッシュレス社会だからこそ大切なマネー教育
―最後に読者の方へ向けてのメッセージをお願いいたします。
袖山:近年、ネット決済や電子マネーなど「見えないお金」が増加していて、便利になった一方で問題も生じています。
たとえば、スマートフォンをピッとタッチしただけで商品を受け取れてしまうと、まるでお金を払わなくても、商品がもらえてしまうような錯覚に陥ります。
その結果、お金や物を大切にする習慣を身につけることが難しくなっているんですね。
だからこそ、私たち大人が、「スマートフォンをピッとしたとき、目には見えないけれど、じつはここからお金が動いているよ」と、仕組みを伝えることが重要になります。
お金というのは生きていくためには絶対に必要なものですよね。
ところが、日本はもともと子どもに対する「マネー教育」が、諸外国よりも遅れているといわれています。
その環境を変えたくて、私たちはマネー教育の普及に取り組んできました。
もちろんその活動はこれからも続けていきますが、保護者のみなさんにも将来を担う子どもたちへお金の重要さを伝えていって欲しいと思っています。
子どもが幼いころからお金のことや社会のことを学ぶことで、将来素敵な大人がひとりでも増えるといいですよね。
ー本日は大変貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:イーカンパニーキッズマネーステーション