大切な我が子の成長を見守ってくれる場所が、学校の学童以外にもあることをご存知でしょうか。
1998年に設立し、2008年にNPO法人として再スタートした「こもれびの家」では自由な発想力を育むことを目的とし、0歳から「本物を見る・触る・味わう」の体験を提供しています。
今回は、生活相談員の毛利 宗孝さんと、理事である古賀 信夫さんに、学童保育や託児所について詳しく伺いました。
自然での体験を通じ食について学ばせたいと思う方は、ぜひご一読ください。
こだわりの食事と野外活動で心を豊かに
ー本日はよろしくお願いします。まず初めに、NPO法人「こもれびの家」の学童保育について教えてください。
毛利 宗孝さん(以下、
毛利):学童保育では、小学1~6年生までの子どもたちを対象とし、野外での活動を中心におこなっています。
学校帰りなどで一日に参加する子どもの数は通常3~4名ほどと少人数ですが、夏休みの時期になると、20名ほどの子どもが来るので定員制で対応しています。
やはり長期間となると、どうしても子どものそばにいられないというご家庭も多いのでしょう。
その日の活動内容は、参加する子どもの年齢や人数に応じて異なりますが、基本的には山や川に出かけることが多いですね。
具体的には、畑で農作の物収穫、虫捕り、ヤギのエサやり、川遊び、他には山村塾の他の草取りなど、さまざまな活動をおこなっています。
夏には川遊びだけではなく、竹を切ってきて流しそうめんの土台作りから取り組んでもらうので、面白いですよ。
また、上級生の子どもが多い日には、自分達で食事を用意する経験をしてもらうこともあります。
「こもれびの家」設立前は、理事長の毛利 赫子とともに「グリーンコープ生協」を立ち上げ、この地区の生協に力を注いできました。
そんな背景から、食事にはこだわりがあるんですよね。
食材は、グリーンコープ生協の商品を使うのはもちろん、お米は山村塾の農家が育てた棚田米、野菜は近くの農家が安全に育てたものから厳選しています。
これは当法人ならではの魅力の一つではないでしょうか。
また、子ども向けの活動では、安全な使い方をアドバイスしたうえで、実際に子どもたちに刃物を使ってもらう場面があります。
具体的には、竹細工で箸やコップを作る時にはノコギリや小刀を、料理では包丁を使ってもらいます。
これには、「危ない=やらせない」ではなく、「安全で正しい使い方をしっかり身につけてほしい」という思いがあるんです。
古賀 信夫さん(以下、古賀):参加する子どもは年齢も学校もバラバラですが、意外と異学年の交流がありここで友達になる場合も多いです。
子どもの野外活動としては、毎年7月~8月までに4回ほどおこなっています。
1つめは、
福岡県八女市黒木町にある「山村塾」に行き、丸一日過ごすというもの。
2つめは、現在感染拡大防止のため実施できていませんが、福岡県宮若市にある宿舎(毛利家の古民家)で2泊3日のキャンプをするというものです。
そこでは子どもたちが自炊したり、日中は川遊びをしたりと、かなり人気のある行事ですね。
時々、田んぼに入りたくないという子どももいますが、みんなで過ごすうちに面白さを感じるのか、帰ってくる頃には笑顔が見られることも多いんですよ。
野外活動でのたくさんの刺激で、豊かな心を育てたいと思っています。
自然に触れて自由な発想力を育む
ー続いて、託児所について教えてください。
毛利:託児所では、0~5歳までの子どもを対象とし、デイサービスのお年寄りや、色んな方と付き合える豊かな人格育成をサポートしています。
託児所の一日の流れとしては、まずは子どものバイタルチェックをおこない、学童保育と同じように午前中は外で思いっきり遊びます。
お昼寝をした後は、室内で創作童話の絵本や紙芝居を沢山見たり、読み聞かせをして遊ぶというものが基本です。
食事に関しても、学童保育同様にこだわりの食材で出していて、好き嫌いの多い子どもや少食の子どもが、「こもれびの家での食事で改善した」という声を多くいただいています。
なかには、先天的に障がいをもっていた子どもが家庭でも活発になり、お医者さんからも褒められたという声をいただくケースもあるほどで、卒園後も交流のあるご家庭が多いですね。
私たちが大切にしていることの一つに、子どもから大人まで名前で呼び合うということがあります。
僕の場合は、下の名前で宗孝(むねたか)さんと呼ばれているんですよね。
せっかくご家族がつけられた素敵な名前ですので、正確な名前で呼ぶほうがよいのではと思っています。
また、当法人ではデイサービスとしても運営しているので、子どもと高齢者との関わりで大家族のような温かな空間があると思います。
クリスマス会などのイベントでは、デイサービスの利用者、託児所の利用者やその家族、特に子どもの家族、OBの小学生など、100名ぐらい参加するのでとても賑やかですよ。
古賀:本当に、午前中はほとんど外に出て遊んでいますね。
収穫した食材で、大人も子どもも同じものを食べる光景がみられるのも、他にはない「こもれびの家」ならではの魅力でしょう。
毛利:遊具は「感覚統合」という考えを元に、トランポリンや滑り板、室内ブランコなどを置いているんです。
脳の成長がピークになるとされている12歳までは、成長を阻害しないよう、出来るだけ自由に過ごしてもらうことを意識しています。
子どもたちには、日々さまざま刺激を受けながら自由な発想力を身につけてほしいですね。
子どもの成長に欠かせない経験を
ー今後開催予定のイベントがあれば教えてください。
古賀:例年、「クリスマス会」「餅つき」「農作物の収穫」など、1年を通してさまざまな行事を予定しています。
12月以降のイベントについても、どんな事をやるかスタッフ一同で考えているところです。
野外活動についてなど詳細が決まり次第、順次公式ホームページでの告知や、地域役場にてチラシでの募集を予定しています。
気になる方はチェックしてみてくださいね。
ー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
毛利:子どもの成長には、大人が知識を詰め込むのではなく、実際にいろんな経験をさせるほうがよいと思います。
勉強のようにすぐに成績が上がるわけではありませんが、そうした経験を経て、記憶の容量が増えることこそが重要なのではないでしょうか。
どんな経験も長い目で見れば絶対にプラスになっていくと考え、日々子どもたちと過ごしています。
古賀:誰かがやっているのを見て簡単だなと思っても、実際はすごく難しいことも多いですよね。
学びには、まず実体験が一番の近道だと考えています。
これからも、子どもたちにはどんどん挑戦していってもらいたいですね。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材協力:NPO法人 こもれびの家