言葉をまだ理解していない月齢の子どもが、読み聞かせに反応して「キャッキャ」笑う姿に癒された思い出はありませんか?
本の読み聞かせは、幼い子どもとの大事なスキンシップの時間だったという方も多いでしょう。
今回は、乳幼児期の絵本との出会いの重要性を伝えるNPO法人「子育て支援ワーカーズ ぺぺぺぺらん」代表の高野和佳子さんにお話を伺いました。
感性豊かな子どもに育って欲しいと願う方は、ぜひご一読ください。
乳幼児期に絵本と出会うことの大切さ
ー本日はよろしくお願いいたします。まず、「子育て支援ワーカーズ ぺぺぺぺらん」の設立された経緯を教えてください。
高野和佳子さん(以下、高野):「子育て支援ワーカーズ ぺぺぺぺらん」は、子どもたちによい絵本やわらべ唄を伝えるために設立しました。乳幼児期のよい絵本やわらべ唄との出会いは、子どもの想像力や情操を豊かにしてくれます。
ところが、その出会いというのは、大人がつくってあげないといけないんですね。
私自身、もともと近隣の子どもたちに、おはなし会や文庫活動をしていました。
不定期な活動でしたので、会うのが1回きりとなる子どもが大勢で、活動としては十分ではないと感じていたんです。
絵本やわらべ唄を伝えていくことは非常に大事ですからね。
そこで、もう少し責任をも持って、定期的に伝えていくにはどうしたらよいか。考えた結果が団体の設立につながりました。
乳幼児期に保護者に読み聞かせをしてもらい、言葉と出会うことは、子どもたちのその後の成長に大きな影響を与えます。
設立から30年以上、私たちが一貫しておこなっているのは、幼児期からの絵本を通じた母親の声や、言葉との出会いの支援です。
読み聞かせで子どもの「聞く力」を養う
ー活動内容について詳しく教えてください。
高野:私たちは、ひとりでも多くの子どもに、乳幼児時期から、よい絵本と出会ってほしいという想いで活動しています。
乳幼児期によい絵本と出会うことは「聞く力」にも繋がり、この「聞く力」はコミュニケーション能力の基本となる大事な能力です。
具体的には、乳幼児とお母さんのためのおはなしの部屋として、毎月2回「キッズルーム」を開催しています。0歳児から未就園児までの子どもと保護者が参加して、絵本、わらべ唄、パネルシアターやリズムダンスを楽しんでいます。
また、保護者や保育士、読み聞かせボランティアの方が多く参加してくれるのが「絵本講座」です。毎回、季節の絵本や歴史の絵本といった、テーマに沿った絵本を中心に取り上げています。
講座の開催だけでなく、私たちは子育て支援全般をおこなっているので一時保育の「kids & Mama’s Room」もありますよ。慣らし保育として利用される方もいますね。
もうひとつ、大きな取り組みとして、絵本とおはなしの店「ぺぺぺぺらん」を運営しているんです。
乳幼児期に出会ってほしい絵本から、大人まで楽しめる本、パネルシアターや読み聞かせようの本まで取り揃えています。木や布のおもちゃも豊富にありますよ。
0歳児から参加可能なイベントを開催予定
ー今後開催予定のイベントがあれば教えてください。
高野:残念ながらコロナの影響で延期になっているものもありますが、いくつか紹介させてください。
12月8日と2月6日に「絵本講座」があります。それぞれブックフィルムのかけ方と、春の絵本をテーマに開催します。
2月9日には乳幼児と保護者が対象の「あかちゃんのためのわらべうた講座」。こちらは毎回キャンセル待ちがでるほど人気の講座なんですよ。
12月4日には木と触れ合う木育イベント「wood land」を開催します。大型木製遊具で遊んだり、ワークショップでは親子で木の車をつくったり。木を楽しむおはなし会もあって、こちらは小学生でも参加可能ですよ。
それ以外にも、毎月第1、3木曜日には「キッズルーム」を、絵本とおはなしの店「ぺぺぺぺらん」の店内では、毎週水曜日に絵本の読み聞かせやわらべ唄を楽しめるおはなし会、毎月第1土曜日には0歳児への読み聞かせもおこなっています。
HPにイベント情報を掲載していますので、ぜひご覧になってください。
子どもに与えたい豊かな言葉環境
ー今後の展望をお聞かせください。
高野:私たちが団体を設立してから30年ほどが経過し、その間に子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しました。
子どもたちがテレビゲームやインターネットなど電子メディアに触れる機会が激増し、たくさんの電子メディアで遊ぶようになった結果、子どもたちと豊かな言葉との出会いが少なくなってきたと感じます。
「言葉」というのは生きていくうえで非常に大事ですし、「聞く力」にもなります。ただ、それは電子メディアの中では育たないんですね。
生活様式が変わっても子どもに語りかけること、本の読み聞かせをすることは大切です。そして、子どもの言葉環境をよくできるのは一緒に暮らすお父さん、お母さんです。
私たちはこれからもその重要性を保護者が理解し、言葉環境を整えてあげられるよう、サポートしていきたいと思っています。
ー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
高野:残念なことに、今ご家庭で絵本の読み聞かせをする保護者が減少傾向にあります。
絵を見せるだけではなくて、そこに書いている文字を保護者が声に出して聞かせてあげる。その行為が、その読み手の存在が、子どもたちの成長に大きく関わります。
みなさん、子どもが成長してから、読み聞かせが大事だったとおわかりになると思います。
物事を理解できるようになってから読むのではなくて、どうぞ乳幼児のうちから絵本を読んであげてください。
読み聞かせは文字を読むことができない子どもだけにするものではありません。保護者の方は「読み聞かせはもう卒業した」なんて思わず、子どもがいくつになっても本を読んであげられる存在でいてください。
絵本は小さい子どもだけのものではなくて、大人にも読んでもらいたいもので年齢は関係ありません。
私たちはこれからも、皆さんがよい絵本と出会えるよう、お手伝いをしていきます。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:子育て支援ワーカーズぺぺぺぺらん