特定非営利活動法人「CMC」を取材!学校と連携した体験型交流イベントとは

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気候変動に関する問題や各所で勃発する紛争と、それに伴う難民など、自国だけで解決できない問題が増えています。

子どもたちが大きくなった将来は今以上に、世界の人々と取り組む問題は増えるでしょう。

特定非営利活動法人「CMC」は、各国の駐日大使館と学校を連携した体験型の国際交流イベントを実施しています。

今回は、特定非営利活動法人「CMC」理事長兼事務局長の岡田 珠紀(おかだ たまき)さんにお話を伺いました。グローバルな視点を子どもたちに早くから身につけてほしいと考える方は、ぜひご一読ください。

学校との連携で体験的な学習と多様性を身につける

CMCイベント

ー本日はよろしくお願いします。まずは、特定非営利活動法人「CMC」の概要についてお聞かせください。

岡田 珠紀さん(以下、岡田):特定非営利活動法人「CMC」は、各国の駐日大使館と連携しながら学校を中心に国際交流イベントを実施している団体です。

2002年に「生活保健実践協会」という今とは異なる団体として立ち上がり、その後、二代目の理事長が経営者向けの私塾を開講するなどしていました。

私自身も私塾に参加し、世界の人々との融和や格差の是正について考えていくうちに、現在のCMCの活動が生まれました。

未来に向かって日本の子どもたちが世界に対して何らかの大きな貢献をするためのきっかけづくりがしたいと思っていたんです。

「子どもたちにとって何が一番必要なのか」ということが、CMCの活動を始めるにあたってイメージしたことですね。

ー学校と連携を目的としているのはなぜでしょうか?

岡田:一人でも多くの子どもたちへ機会を作ることを考えると、学校で実施するのがベストだと考えたからです。

また、日本では先生が上に立って指導する風潮が強いですが、世界の学校教育に目を向けると、コミュニケーションを重視したり、物事やテーマを自分たちで考えさせたりしています。

日本の学校教育で足りないものはなんなのかを改めて考えると、体験的な学習と多様性、この2つだと思ったんです。

また、国際理解やグローバルな教育というと、必ず「英語教育」になってしまいがちですよね。

英語ってコミュニケーションのツールで、英語ができたからグローバルな意識が芽生えるかというとそうではないと思うんです。

世界の人たちとコミュニケーションをとる方法のひとつとして英語があるのに、英語教育となると子どもたちは途端に英語から遠ざかり外国人から遠ざかってしまいます。

これでは多様性を感じる機会もグローバルな体験の機会も少なくなってしまうでしょう。

「日本の学校にとって何が一番大事なんだろう」ということを考えたときに、CMCの姿が確立したんです。

世界のイメージを変える「CMCプロジェクト」という取り組み

CMCプロジェクト

ー主な活動である「CMCプロジェクト」について詳しく教えてください。

岡田:CMCプロジェクト(Encounter Project~Children meet countries)」は、私たちが非常にこだわっている活動ですね。

一人でも多くの子どもたちが国際交流を体験できるように、各国の駐日大使館の外交官やスタッフの方々をゲストとして学校にお呼びし交流イベントを開催しています。

現在は、幼稚園から中学校まで幅広く申し込みが来ています。各年代で素晴らしい交流ができるのがこのプロジェクトの魅力ですね。

ーイベントについて、まず小学校ではどのようなことをおこなっているのでしょうか?

岡田:写真を多く用いたスライドを利用して、国の様子をわかりやすく紹介したり、生徒たちと一緒に何かをしたり、ということに焦点を当てています。

いろいろな国の写真を紹介しますが、洋服や食べ物、動物、お家のなかにあるものなどさまざま。小さな子どもですとやはりそういうものに興味がありますよね。

できるだけ大使館から、その国のものを持ってきてくれるようにお願いしています。

伝統衣装を着た人形や工芸品に
触ってみたり、布の感触を確かめています。

子どもって五感が鋭敏ですよね。体中から世界の文化を浴びているなと感じます。


低学年だとまだ小さいので、お話をちゃんと聞けないのかなと思うかもしれないですが、一生懸命聞いてくれるんですよ。

その場の雰囲気を楽しみながら、五感を最大限に使って体験をしているようです。

ー中学校ではどのようなイベントをおこなっているのでしょうか?

岡田:中学校の場合はなかなか長くお時間がいただけないので、1時間授業のなかでのお話をメインにおこなっています。

ビデオを視聴したり、実際に外交官の方からその国の言葉でプレゼンテーションをしていただいたりしています。

お話では、主にその国のさまざまな情報のほか、日本との関係ですね。どのような形で日本と関わりを持っているかということなどについて紹介していただいています。

たとえばギリシャ大使館の場合、「古代オリンピック」の貴重な映像を見せていただきました。

また、南アフリカ共和国大使館とのイベントでは、イベント後に英語クラブの生徒と、当日お越しくださった駐日全権公使が意見交換をすることもしました。


ーイベントでは体験的なアクティビティがあるとのことですが、どのようなものがあるのでしょうか?

岡田:各国の特性を活かしたものをその時々で企画しています。

民族衣装の試着をしたり、その国の言語で一緒に歌を歌ってみたり、ときには大使館の方が自国の歌を口ずさみながら自らステップを教えてくださるアクティビティなどもありました。

学年に合わせて、各国の大使館の方々と相談をしながら決めています。

ー「CMCプロジェクト」を体験する前と体験した後では、子どもたちにどのような変化がありますか?

岡田:プロジェクト後に子どもたちの感想を聞くと、参加前と参加後ではその国の印象が変わったという声を多くいただきますね

「現地に行ってみたくなった」「現地の子どもたちと何かをしてみたい」「海外で働いてみたい」など、具体的なイメージを持ち始める子どももたくさんいます。

面白いと思ったのが、「日本についてもっと知りたくなった」「日本の文化を伝えたいから勉強したい」など、日本文化の理解やアイデンティティを深めようとする子どもたちがいること。

学校の先生からは、「子どもたちが明るくなった」「いろいろなことを話そうとするようになった」という声もいただいたりしますね!

海外への留学が難しい今、日頃通っている学校で体験を通して世界のことを知れるのはとてもよい機会ですよね!

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物事をワールドワイドな視点で考えられるように

CMCイベント

ーなぜ、体験型の国際交流を重視しているのでしょうか?

岡田:経済の縮小などにより、留学をする学生も減少傾向にあります。海外への興味や意識も薄れて日本の学生はどんどん内向的になっているような気がしています。

現在ではYouTubeやSNSから海外の情報がたくさん入ってくるので世界と繋がることは簡単ですが、自分の欲しい情報だけを取捨選択できますよね。

しかし、世界の人たちと連携をしなくてはならない問題はたくさんあります。

また、新型コロナウイルスの影響で突然海外との往来がパタッと止まり、経済が立ち行かなくなったり、そのほかいろいろなことで困ることも如実にわかりました。

それを考えると、いわゆる「グローバル」は、私たちの根底でもう常に必然としてあるものだと思うんです。

とはいえ、世界の人々や文化を理解したり尊重したりという教育プログラムは、とくに小学生にはなかなかないんですね。

新型コロナウイルスや今年の東京オリンピックでは、「多様な社会、グローバルな社会とは一体どういうことなのか」ということを考える機会になりました。

それを子どものうちから意識することで視野が広がり、物事をワールドワイドな視点で考えられるようになることによってきっと世界が全然違って見えると思うんです

子どものうちに世界のことについて意識をするってすごく大事ですよね。

子どものときの体験が、将来の職業を決めるきっかけになることもあります。

費用がかからず、どんな子どもたちも学校教育のなかで体験的な学びができる。その機会として、CMCプロジェクトは学校と連携して活動をおこなっています。

羽ばたける未来を子どもたちに描いてほしい

CMCイベント

ーでは、今後開催予定のイベントなどがあれば教えてください。

岡田:2022年3月に、留学生と小学校高学年とのオンラインイベント「Show & Tell」の開催を企画しています。

「Show & Tell」は、アメリカ小学校で実践されているワークショップ型のプログラム

自分の好きなものについて、どうして好きなのか、どこが好きなのかを紹介するんです。また質問も受けます。

互いに自分の好きなものを紹介し合、コミュニケーションを取りながら、国際交流や国際理解を体験できる内容になっています。

オンライン開催なので、ご興味があればぜひお申し込みいただきたいですね!

ー今後の展望についてもお聞かせください。

岡田:私たちは、CMCプロジェクトに参加した子どもたちの意見を抜粋した提言集(Impression Book)というものを作成しています。

その提言集に掲載された子どもたちと、その保護者や大使館の方々を招待して、12月に「アニュアルパーティー」を開催します。

いまは人数を制限していますが、人数が増やせるようになったら外部の方々も参加できるような企画にしたいと思っています。

このアニュアルパーティーの先に、いずれは日本と世界の子どもたちのフォーラムのようなものを開催することが目標ですね。

子どもたちは、私たち大人が思っている以上に、地球や環境を守ることに興味を持っています。

各国の活動について話し合ったり、自分たちには何ができるかを話し合ったり、子どもたちが主役のフォーラムをやってみたいなと思っていますね。

ー最後に読者の方へメッセージをお願いします。

岡田:子どもたちが未来を描けるようなことを考えていきたいなと思っていますね。

「多様性」といっても日本の子どもたちにとってはあまりイメージがつかないと思うんです。

イメージすることが難しいからこそ、CMCでの体験が子どもたちのイメージを膨らませるきっかけになればいいなと思っています。

素晴らしい文化がそれぞれの国にあって、人々がそこで暮らしている。そして、世界中のあらゆる問題を解決するためにも手を取り合わなければならない。それを互いに理解し合うことがどれほど大切なのかを伝えたいですね。

日本の子どもたちはもっと世界で活躍できるはずです。自分たちが世界で活躍できる場所がたくさんあることを知ってもらいたいですし、羽ばたける未来を描いてもらいたいと思いますね

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!

■取材協力:特定非営利活動法人「CMC」

福岡 萌子
この記事を執筆した執筆者
福岡 萌子

Ameba塾探し 執筆者

幼少期はダンス、フィギュアスケート、ピアノ、英会話などを習う。英語に特化したカリキュラムが豊富な私立高校の国際情報コースに通い、イギリスでの短期留学を経験。その後、恵泉女学園大学人間社会学部にてインドネシア文化とフランス文化を学ぶ。その後、幼児~シニアを対象としたダンス講師として従事。2021年4月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。保護者やお子さまの目線に寄り添い、知りたい情報を確実にお届けできるよう目指しています。