障がいのある子どもたちに対する理解は深まりつつある昨今ですが、適切な対応を受けられる幼稚園や小学校は数少ないのが現実です。
「大切な子どもを安心して預けられる場所がほしい」。
そうお考えなのであれば、認定NPO法人「たすけあい佐賀」を利用されてみてはいかがでしょうか。
「たすけあい佐賀」では、支援事業の一貫として、障がい児童向けの児童発達支援・放課後等デイサービスをおこなっています。
今回は、「たすけあい佐賀」の代表を務める吉村 香代子(よしむら かよこ)さんに、団体の活動内容やイベントなどについてお話を伺いました。
すべての人を孤独にしない場所を作りたい
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、 認定NPO法人「たすけあい佐賀」の設立経緯や概要について教えてください。
吉村 香代子さん(以下、吉村):私は、元代表の西田京子と一緒に、「たすけあい佐賀」の設立前から、障がい者支援に関わっていました。「困った時はお互いさま」を合言葉に、28年間活動を続けています。
その活動を続けるなかで、1994年に立ち上げた「ふくし生協佐賀準備会」こそが、「たすけあい佐賀」の始まりです。
「ふくし生協佐賀準備会」では当初、ご家族が亡くなり独り身になった団体メンバーのお母さんを鹿児島から呼び寄せ、佐賀の娘さんと一緒に暮らし始めたけどお友達もいない佐賀ではお母さんの元気が無くなり寂しくされていました。
それではお母さんのお友達を作ってあげようと、自宅にお友達を集めたら…ということで近所のお年寄りに声を掛け、集まった皆でご飯を食べるという、勝手にお友達勧誘作戦を仕掛けました。それが宅老所の始まりです。
私を含め他のメンバーの話し合いの中で、人生何がいつ起こるかわからない。交通事故や不慮の事故あるいは病気等でいつ自分が障がい者になるかもわからない。また、人は誰でも年を重ね高齢者になる。そんなときに慌てなくてもいい世の中の仕組みを作っておくべきなのではと皆が身近な問題だと真剣に考え始めました。
また、ちょうどそのころから高齢者だけでなく、障がい者の方と接する機会が増えていました。
車いす対応の車両を頂くことができ、家にずっと閉じこもりの車いす生活の女性の外出支援でお花見に連れていくことができました。その女性から「こんな世界があったのね。嬉しい!!」と言われたんです。
私たちが普通にできていることが、その車いすの女性に感動を呼び起こせたことは、私たちにやる気を引き出し、次々と事業を拡げるきっかけにもなりました。
ニーズがあるからそのニーズに応える、それが私たちのやり方です。
多くの高齢者や障がい者の方と接していくうちに、「高齢者だけでなく障がい者や子ども、みんなで一緒になって何かできるような場所がほしいね」という話になったんです。
そのことがきっかけとなり、「たすけあい佐賀」として宅老所や託児所といった事務所や拠点を構えることになりました。
「たすけあい佐賀」では、現在、障がい児未就学児や小学生~高校生までの放課後等児童デイサービス、お年寄り向けのデイサービスや有料老人ホームを運営しています。
特色は、「子ども・高齢者・障がい者等の区別をせず、みんなで共生しましょう」という理念を大切にしていることです。
これは
「たすけあい佐賀」だけでなく佐賀県全体の考え方なのですが、すべての人が分け隔てなく、関わりを持てる場を作りたいと考えています。
子どもたちがやりたいことをやれる環境を整える
ー「たすけあい佐賀」の、子ども向けの活動について詳しくお聞かせください。
吉村:27年前に始めた一時預かり託児所は365日24時間の謳い文句通り、夜間もお預かりする、いつでもどんなお子さん(障がい児)でもOK、しかも1時間300円、1日2,000円の低価格。公的支援は一切なしで、コツコツと20年間頑張りました。その託児所が「ころころ」です。
また、佐賀の地域共生ステーション第1号が2005年にオープンし、宅老所と放課後デイサービス(ぽけっと)を始めました。それが今の事業「ころころぽけっと」に繋がっているんです。
どちらも障がいを持つお子さんを対象として、「ころころ」では2歳から6歳まで、「ぽけっと」では小学校1年生から高校3年生までのお子さんを受け入れています。障がいの種類等はいろいろです。
各サービスの活動では、子どもたちの個性や状況に合わせ、歌やお絵描き、運動などさまざまな遊びにチャレンジしてもらう内容です。
最近ではバス乗り体験、近くの県立公園(森林公園)での運動遊び、動物と触れ合う(どんぐり村)体験、音楽療法士の先生による音楽療法、コスモス見学、夏祭り、ハローウイン行事等外遊びなども充実した体験をしています。
基本としては安心安全な支援を心がけるとともに子どもたちが笑顔で過ごせるよう接していくことをスタッフ一同確認しあっています。
保護者の方からは、「うちの子どもを本当に理解してくれている」「安心して預けられる」との嬉しいお言葉をいただいています。
ー支援をするなかで大切にされていることはあるのでしょうか。
吉村:大切なお子さんを預けていただくことになるので、信頼性だけではなく、親しみやすさにも重きを置いています。
接する子どもたちに対しては、とにかく子ども一人ひとりに合った対応を心がけ、嫌がるようなことはしません。また、できることを取りあげるようなことももちろんしません。
子どもたちが自分できることはちゃんとやってもらう、そして、やりたいことをやれる環境を整えてあげたいと思っていますね。
四季折々のイベントを子ども食堂で開催
ー今後、開催予定のイベントなどがあれば教えてください。
吉村:新型コロナウイルスの影響を見ながらではありますが、毎月、「よってこランド子ども食堂」を開催しています。
毎回、地域の保育園、幼稚園児から小学生、そのお母さんたちや地域の高齢者の方も混じっています。50~60人ぐらい集まっていただいてます。もちろん「ころころ」「ぽけっと」の子どもたちも一緒です。
スタッフ以外にボランティアの方々にも手伝ってもらっています。ボランティアの中には支援学校の中学生が毎回参加してくれます。その中学生は新聞のコラムやテレQの「未来の主役」という番組に取り上げられたりもしました。そうすることで随分と自分に自信がついたのではないかと思います。
毎回高校生ボランティアの参加もあります。ボランティアに参加することで友たちづくりはもちろんのこと、自分の将来に繋がったりすることもあるんですよ。
参加者に提供している食事はそのときどきによって違うのが魅力です。いろんな所からの食材の提供も増えてきました。とても嬉しいことです。
吉村:たとえば、ボランティアの方々のなかで「ピザを作ってあげたい」という声があがり、ピザ窯を持ってきてもらってピザを作る…なんてこともありました。近いうちにまたやる予定です。
そのほかにも、夏祭りでかき氷、そうめん流しなどもやりました。ハロウィンなどの季節に合わせたイベントも開催しています。
イベント時には食事だけでなく、音楽療法士の先生による皆で楽器の演奏、歌ったり、また参加している小学生によるピアノ演奏など。風船アーティストによるバルーンアートなどもおこなっていて、参加者は盛り上がってくれていますね。コンサートなどもおこなっています。
誰もが手と手を取り合える地域を目指して
ー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いいたします。
吉村:私たちは、「助け合える」「困ったときには助けてといえる」地域づくりを目指していきたいと考えています。
私たちの活動の軸は、高齢者・障がい者・子どもの3本柱です。でもそんな枠組みは関係なく、相手が誰であっても、すぐそばにいる人の助けになれることが大事だと思っています。
支え合い、助け合える、そのような仲間を作れる場所として、「たすけあい佐賀」は今後も活動していきたいです。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。
■取材協力:認定NPO法人 たすけあい佐賀