「子育てにつきっきりで家事ができない」「急に仕事を失い、頼れるあてがない」、そんな人たちを支援するNPO法人があります。
沖縄県の那覇市にある「ファミリーサポート愛さん会」では、会員同士の扶助活動や地域の方を支援する活動をおこなっています。
今回は「ファミリーサポート愛さん会」代表理事の平良 博子さんに、設立のきっかけや活動内容などについてお話を伺いました。
生活の手助けをしてほしい方、また困っている人の手助けをしたい方は、ぜひ最後までご一読ください。
「愛さん会」ではファミサポができない支援をおこなう
ー本日はよろしくお願いします。まずはNPO法人「ファミリーサポート愛さん会」の設立の経緯を教えてください。
平良 博子さん(以下、平良):ファミリーサポートセンター(以下、ファミサポ)ができないところを支援しよう、という想いがきっかけで設立しました。
ファミサポは主に子育て支援をおこなうのですが、原則として生後3ヶ月から小学校6年生までの子どもの支援を対象としています。
ですのでファミサポでは、たとえば「生後間もない子どもを抱えたお母さんが、産後うつになってしまって家事ができない」といったことに対する支援はできません。
ファミサポはあくまで子ども支援なので、家事支援は一切やらないんです。また、「障害のある方や高齢の方の病院内での見守りや付き添い」といった支援は、 ファミサポだけでなく介護保険でもできないんですね。
そこで、ファミサポでも介護保険でもできないところを支援しようと立ち上がったのが「ファミリサポート愛さん会」です。
会員同士の扶助活動や生活支援で自立を目指す
ー具体的な活動内容について教えてください。
平良:まず「訪問支援(住民参加型在宅福祉サービス)」では、ファミサポや介護保険でできないところをサポートする、会員同士の扶助活動をおこなっています。
これは手助けをしてほしい人と手助けをしたい人が、制度にとらわれずお互いに助け合う、住民参加型の活動です。
現在のところ、介護のニーズがすごく高いのですが、子育てで家事が大変なお母さんなどの支援(介助)もしています。
たとえば生まれたばかりの赤ちゃんにつきっきりのお母さんに対して、上の子を見ながら洗濯や掃除などの家事支援をしたりとか、そういう活動をしています。
ー「一時生活支援事業」についても教えてください。
平良:「一時生活支援事業」というのは、生活困窮者の支援制度のひとつです。
仕事を失いやむを得ず住まいも失った方々に、一時的に衣食住を提供し、関係機関と連携して就労支援などをおこない、自立を目指していきます。
愛さん会には現在、
那覇市内に7か所 、 一時的に衣食住を提供する場所(施設)があります。
地域の方や子どもたちが笑顔になるイベントを
ー「地域ふれあい会」ではどのような活動をされているのでしょうか?
平良:「地域ふれあい会」では、三線(さんしん)教室、地域ふれあい会、一時生活支援事業の施設に入居している方たちに手づくりのお弁当を届ける活動、と3つをメインにおこなっています。
まず「三線教室」は、那覇市の三原地域というところにお住まいの方々を中心に、週に1回開催しています。
1クラス8人の生徒さんを先生が指導するのですが、最初は三線の持ち方さえもわからなかった生徒さんたちが、今では10曲以上弾けるようになっています。
また「地域ふれあい会」では、前の事務所の駐車場を活用し、地域の子どもたちを集めて月に1回そうめん流しをおこなっていました。
地域の児童館の子どもたちや、お孫さんを連れたおじいちゃんおばあちゃんなど、地域の方たちが来てくれていました。
今の事務所は駐車場も狭くてできないのですが、どこかの広場を活用して出前そうめん流しを計画しようと思っています。
平良:それから、施設に入居している方たちへのお弁当づくりですね。施設にいる方たちの食事は、ラーメンやレトルトカレー、缶詰など簡単なものばかりなので、月に1回は温かい手づくりのお弁当を届けたいという想いで活動しています。
手づくりお弁当が非常に喜ばれ、「次はいつ来ますか」といわれることもあるので、余裕があれば月に2回くらいできればいいなと思っています。
ー地域ふれあい会は、会員でなくても地域の子どもや住んでいる方たちが参加できるのでしょうか?
平良:そうですね。月1回土曜日に開催していたのですが、地域の児童館に来る子どもたちが多数でした。保護者の方が仕事で家にいないというお子さんもいましたね。
夏はそうめん流し、冬は駐車場を使ってカレーや焼きそばをつくったり、いろいろなことをしていました。
参加する子どものなかには、そうめん流しをするのが初めてという子もいて、すごく楽しそうにしているのを見て、私も楽しいひとときでした。
コロナが明け次第、今後も子どもたちの楽しい笑顔が見られるようなイベントをしていきたいですね。
「人とのふれあい」を大事にしてほしい
ー今後の展望についてお聞かせください。
平良:現在、子育て支援と介護支援の制度からこぼれ、やむを得ず生活困窮に陥ってしまい、生きていく希望を見出せずにいる方が多くいらっしゃいます。
愛さん会では、そういう制度からこぼれてしまった方が少しでも社会に希望を見出せるように、また人を支援することで巡り巡っていつかは自分が報われるという「ゆいまーる」の心を大事に活動していけたらと思っています。
ー最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
平良:私たちの活動は、訪問事業にしても生活困窮支援にしても、やはり人とのふれあいなんですね。
人は誰でも年を取ったり、病気になったり、生きていく過程でいろんなことに出あうと思うので、元気がないときは1人で悩まずにSOSを出してほしいと思っています。
そして人の役に立ちたいとか、援助したいという余力がある人は、できる範囲の手を広げて、一歩踏み出してほしいです。
そのうえで「支えあうことが大切なんだ」「支えあうことは素敵なんだ」ということを感じてもらえたら幸いです。
愛さん会はそのような活動ができると思うので、ぜひ皆さんも愛さん会の活動に参加してもらえたらなと思っています。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました!
■取材協力:ファミリーサポート愛さん会