里山をフィールドに活動!NPO法人「ひろしま自然学校」の子どもたちが成長する“体験や環境教育”とは

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かつては人々の暮らしの身近にあり、豊かな自然や、いろいろな生物が息づいていた「里山」。しかし近年、その状況は変わりつつあります。

そこで今回は、そんな荒廃の進行が課題になっている里山を整備し、その場をフィールドにさまざまな教育・体験活動を実施している「NPO法人ひろしま自然学校」理事の花村育海さんに、自然環境や、子どもたちへの想いについてお話を伺いました

自然に触れる体験には環境教育だけでなく、心を豊かにし、さまざまなことを見つめさせてくれる学びがあります。

自然や地球、生命について深く知りたい方や、子どもに新しい学びと体験をさせたいと考えている保護者の方は、ぜひご一読ください。

  1. 里山保全や人材育成を目指し発足した「ひろしま自然学校」
  2. “森を育む・森で遊ぶ・人を育む”3つの活動の柱
  3. 幅広い年代に向けた環境教育!親子で感じる発見や学び
  4. 活動を通して“自然や地球、生命を知る”きっかけを

里山保全や人材育成を目指し発足した「ひろしま自然学校」

岩から川へ飛び込みをする子ども2人の画像

ー本日はよろしくお願いします。まず初めに、NPO法人「ひろしま自然学校」の設立経緯をお聞かせください。

花村 育海さん(以下、花村):NPO法人「ひろしま自然学校」は、里山の保全や、環境に配慮した行動ができる人材の育成を目的とした団体をつくろうという思いのもと、2005年に立ち上げました。

当団体の代表は、もともとカウンセリングの専門家で、これまで多くの子どもたちのカウンセリングをおこなってきたんですね。

そのなかで、野外でカウンセリングをすることによる子どもたちの変化などに気づき、自然に触れての教育や、体験の必要性を感じるようになったんです。

また、環境に関して指摘される「里山の荒廃」に対しても、なにかできることはないかという思いがありました。

里山の課題はひとりでは難しい問題なので、いろいろな人たちが協力しあって活動できる団体を目指したんですよ。

“森を育む・森で遊ぶ・人を育む”3つの活動の柱

子どもたちがカヌーに乗って川で集合写真を撮っている画像

ーNPO法人 ひろしま自然学校の活動内容について詳しく教えてください。

花村:当団体の活動には、“森を育む・森で遊ぶ・人を育む”の3つの柱があります。

まず「森を育む」は、里山保全や、整備をおこなう事業です。

実は中国地方の中山間地域は、里山の手入れがなかなかされておらず、多くが放置されたままになっています。

そこで私たちは、北広島町にある10ヘクタールの里山を地主さんたちからお借りし、そちらをフィールドとして、保全や、整備に取り組んでいるんですね。

この活動は、さまざまな方にご協力いただいており、定年退職者のボランティアグループが毎週整備に来てくださったり、企業団体が間伐作業や、散策路の開拓作業をしてくださったりもしているんですよ。

里山の整備を進めると、生物が増えるなど、その環境はどんどん変わっていきます。

そういった環境の調査も併せて継続的におこなっているところです。

女の子2人が竹の入れ物で遊んでいる画像

2つ目の「森で遊ぶ」では、里山を利用して、環境教育や、自然体験プログラムを実施しています。

このプログラムは、自然や地球、生命について学び、私たちが生きていくうえでこれらがどう繋がりあっているのかを知る、いわば自然と親しみながら地球への愛着をはぐくむ場です。

対象は幼児から大人、年配者まで幅広い世代に向けているため、さまざまな内容があります。

たとえば、月に1回ある「森の妖精くらぶ」は、3〜5歳の子どもがいる親子を対象としていて、森で1日遊びながらいろいろな体験を楽しむプログラムです。

また、夏休みに開催している小学生対象の長期キャンプ「里山フリーキャンプ」は、自然環境のなかで仲間と交流しながら、自主性を育むことをねらいとしています。

ほかにも、大人女子のリフレッシュキャンプや、パン研究会、里山くらぶなど、さまざまな活動をしているんですよ。

さらに、地球のしくみや、生態学的概念について知る「アースキーパー」のプログラムもおこなっています。

これはアメリカにある地球教育研究所が開発した地球教育のプログラムの一貫で、日本で唯一のフィールドとして提供している取り組みです。

窯でピザを焼いている画像

3つめの「人を育む」は、さまざまな人材を育成する事業です。

事業内容としては、子どもたちの体験活動の支援者になる大学生リーダーの養成、地球教育を伝えていけるトレーナーの育成、地域づくりの場で活躍するファシリテーターの養成などをおこなっています。

また、大学生は研修だけでなく、実際に子どもの活動に関わったり、企画の運営をすることもあるんです。

当団体では、環境教育だけでなく地域づくりに努めている側面もあって、地域のさまざまな役割を担う「コミュニティワーカー」の育成にも取り組んでいます。

自然体験を通した環境教育は、学校にはない学びがたくさんあると感じました。森で遊ぶプログラムは、勉強の気分転換にもよさそうです!

テラコヤプラスでは、駅や地域にあわせて塾・学習塾を検索することが可能。

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幅広い年代に向けた環境教育!親子で感じる発見や学び

子どもたちが虫取りをしている画像

ーそれぞれの活動を通して、参加者はどのようなことが学べるのでしょうか?

花村:私たちがおこなっているのは、地球のしくみや生態学的概念、生命について知ること、そして地球に対して愛情を育み自然と親しむこと、このふたつの体験ができる環境教育です。

また、里山という環境に触れながら、“森づくり・人づくり”の大切さを学んでいただきたいと願い、プログラムを企画して実施しています。

当団体には、幅広い年代に向けたプログラムがあり、小学生が単独で参加できるものから、家族で参加できるものまでいろいろあるんですね。

たとえば親子で一緒に参加した場合、子どもは自然の偉大さに感動したり、大人は自然のありがたみと子どもの成長を実感したりなど、参加者それぞれに異なる発見や、学びがあるはずです。

人材育成事業においても、こうした地球や他人、自分自身と向き合うことで広がる“学びの場づくり”ができる人材を増やしていくことが大切だと考えています。

活動を通して“自然や地球、生命を知る”きっかけを

子どもたちが森の中を散策している画像

ー今後の展望についてお聞かせください。

花村:私たちが目指しているのは、変動する社会や人々のニーズ、将来に寄り添った活動です。

今回のコロナ禍もそうですが、近年災害も増えており、自然の驚異をきっかけに社会も目まぐるしく変化していますよね。

自然や社会がものすごいスピードで変化するなか、一度立ち止まって、自分自身のことや、地球のことを考えてみる場を「ひろしま自然学校」というフィールドで伝えていければと思っています。

また環境教育は、自然環境だけではなく、身体や心の環境、他者との環境など、奥深い学びを得られることから“関係教育”ともいわれています。

最近では、SDGs(持続可能な開発目標)も重視されているので、私たちの活動が、人と自然、社会との関係性をつなぎ直すきっかけになれるよう、今後も取り組んでいきたいです。

ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

花村:現代の子どもたちは、ストレスを感じやすい環境のなか、思うように勉強や学びの場も保護されていないのが現状です。

だからこそ私たちは、学校教育だけではなく、自然や地球、生命、自分自身のことについて学べる場をつくっていきたいと思っています。

ぜひ当団体の活動に興味をもっていただき、さまざまなプログラムに参加していただけると嬉しいです。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。


■取材協力:NPO法人ひろしま自然学校

福岡 萌子
この記事を執筆した執筆者
福岡 萌子

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

幼少期はダンス、フィギュアスケート、ピアノ、英会話などを習う。英語に特化したカリキュラムが豊富な私立高校の国際情報コースに通い、イギリスでの短期留学を経験。その後、恵泉女学園大学人間社会学部にてインドネシア文化とフランス文化を学ぶ。その後、幼児~シニアを対象としたダンス講師として従事。2021年4月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。保護者やお子さまの目線に寄り添い、知りたい情報を確実にお届けできるよう目指しています。