一人ひとりの自立心を養う「フリースクール玄海」を取材!全寮制で育むかけがえのない人間性

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不登校やひきこもりに子どもが陥ったとき、「本人が動き出すまでそっとしておくべき」とよくいわれます。

しかし、何もしないことは本当に正解なのでしょうか。

そんなふうに悩んでいるのなら、NPO法人塩浜学園「フリースクール玄海」に相談してみませんか。

不登校やひきこもり、発達障がいなどさまざまな課題を抱えた子どもたちが通う「フリースクール玄海」では、子どもが自分の力で生きていくための基盤づくりをおこなっています。

今回は「フリースクール玄海」の代表および講師を務める嶋田 聡(しまだ さとし)さんにお話を伺いました。

子どもに「自信を持ってもらいたい」「自立心を育んでほしい」と考えている方は、ぜひご一読ください。

  1. 学力よりも人間性を育てるために
  2. 一人の人間として立つ力を育む全寮制
  3. 独自の授業が自信と元気の基礎をつくる
  4. 体験入学・体験入寮は、いつでも可能
  5. 1年後、多くの子どもたちは一般社会に戻る

学力よりも人間性を育てるために

フリースクール玄海

ー本日はよろしくお願いいたします。はじめに、 NPO法人塩浜学園「フリースクール玄海」の設立経緯や概要について教えてください。

嶋田 聡さん(以下、嶋田):「フリースクール玄海」は、2008年に設立したフリースクールです。

それまで私は大学受験を対象とした予備校で、国立医学部の進路指導に長く携わってきました。

そのなかで、学力ばかりが注目される成績中心の考え方に疑問を抱いたのです。

そして、子どもたちともっと人間的に向き合える場所をつくりたいと思い、 「フリースクール玄海」を立ち上げました。

一人の人間として立つ力を育む全寮制

フリースクール玄海

ー「フリースクール玄海」の特長である「全寮制」について、詳しく教えてください。

嶋田:全寮制」は男子のみで定員18名、現在は中学1年生から高校3年生まで、計10人の子どもたちが入寮中で、一人ひとりに個室があります。

学年もですが出身もみんなバラバラで、全国いろいろなところから来てくれています。

入寮までの流れですが、多くの場合はまず親がどのような学校や寮なのかを見学に来て、それから子どもが見学や体験入寮…という形です。

不登校やひきこもり、発達障がいのある子どもが対象のため、子どもに家を出て入寮するまでを納得してもらうのはどのご家庭も大変だと思います。

子ども自身が納得して入寮できるように、ご依頼いただければ私たちもお家まで出向きはたらきかけることも可能ですので、お気軽にご相談ください。

全寮制での生活は、子どもだけでなく親にとっても親子関係を見直すよい機会になると思います。

不登校やひきこもりの悩みを抱える児童の多くは、親子ともに依存心が強い傾向にあるためです。

全寮制で暮らすうちに、子どもたちは自分でできることが増え、そこから自信や自主性が育まれます。

そして親元を離れて大人になっていく、自立していく子どもの姿を見て、お父さんお母さんも成長していかれるのでしょう。

このような変化を得られることが全寮制であることの最大のメリットだと思います。

ー「通学制」と「相談会員」についても教えてください。

嶋田:通学制」は寮に入らず家から登校する形で、登校後は全寮制の子どもたちと一緒に授業を受けます。

ただ、「フリースクール玄海」に来るのはほとんど外に出ない、まったく学校に行かない子どもたちなので、通学制よりも全寮制の需要が高い傾向にありますね。

そのため、現在は通学制の生徒がいません。生徒の募集は続けているので、入寮は難しい、また女子の入学希望者はご相談ください。

相談会員」は子どもの状態によって対応がさまざまで、「フリースクール玄海」を卒業したあとに相談会員となり、週1回の通学を続けている子どももいますね。

また、「保護会」という月に1回子どもの様子を職員が伺う形をとっていることもあります。

相談会員は勉強というよりも、悩みや心のケアがメインですね。

独自の授業が自信と元気の基礎をつくる

フリースクール玄海

ー学校や寮での活動内容について、詳しく教えてください。

嶋田:「フリースクール玄海」では通常科目のほかに写経やサーフィンなど、一般的な学校では見られない授業を多くおこなっています。

なぜかというと、不登校やひきこもりだと生活リズムが乱れやすく、結果として自律神経がおかしくなっている子が多いんですよね。

自律神経がおかしいということは、緊張とリラックスのバランスがうまくとれず、体も心も調子を崩して、なおのこと学校に行く余裕がなくなってしまうのです。

なのでリラックスのために写経や座禅、緊張のためにサーフィンやプロレスなどをおこない、さまざまな活動を通して自律神経のバランスを整えていきます。

慣れない活動に戸惑う子どももいますが、職員一同が個別に対応し、一般的な学校よりも挑戦しやすい環境をつくっているので、気づいたときには全力で楽しんでいる子どもばかりですね。

運動や勉強に前向きに取り組めるようになれば自信がつき、以前よりも元気になっていく子どもたちの姿が見られます。

ー年間イベントについて教えてください。

フリースクール玄海

嶋田:イベント後に楽しかったという声がよく聞かれるのは、夏の「沢登り」と冬の「スノーボード旅行」ですね。

「沢登り」では川で水遊びもするんですが、最近だとそういった経験をしたことのない子どもも多いので、幼少期にかえったかのようにはしゃいでいます。

「スノーボード旅行」は泊まりがけで行くこともあり、スノーボードだけでなく美味しいご飯に温泉にと、満喫する子どもたちの笑顔が印象的ですね。

ほかにも毎月1回の「父母会」というイベントがあります。こちらはお父さんお母さんにも参加していただいて、スポーツなどをしたあとにみんなで食事をする形です。

このように「フリースクール玄海」のイベントは、体を動かすものを多く取り入れています。

体験入学・体験入寮は、いつでも可能

フリースクール玄海

ー体験入寮について教えてください。

嶋田:やはり親元を離れていきなり寮生活というのはなかなか難しいため、「フリースクール玄海」では1週間の体験入学・体験入寮を随時募集しています。

ただ、実は体験入学後に子ども自身が「ここにいたい、ここに通いたい」となるケースはほとんどなく、お父さんお母さんの強い勧めで、最終的に入学を決めるケースばかりです。

入学から1か月もすると「ここにいてもいいよ」と子どももなりますが、1週間の体験だけではなかなか難しいでしょう。

ただ当校では、「ひきこもりの子どもを本人が動き出すまで待つ」ということを推奨していません。

成長途上の子どもにとって、自分で判断し行動することは、とても難しいことです。

だからこそ、お父さんお母さんをはじめとした周りのアクションが大切だと考えています。

子どもに自信や自主性をつけてほしいと願うのであれば、まずは体験入学を子どもが外に出るきっかけづくりとして活用してみてください。

子どもの環境を変えるきっかけをつくってあげるのは、とても大切なんですね!

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1年後、多くの子どもたちは一般社会に戻る

フリースクール玄海

ー今後の展望をお聞かせください。

嶋田:「フリースクール玄海」が目指すのは、一般的な学校に通える体や心の育成です。

「フリースクール玄海」が大事にしている、不登校やひきこもりの子どもに対して積極的に行動を促すのがよいという考え方は、マイノリティーだと思っています。

お父さんお母さんと離れて暮らすことは子どもにとって、とても苦しいことでしょう。

しかし、苦しさが大きい分だけ、子どもの成長促進には絶大な効果があるのではないでしょうか。

実際、「フリースクール玄海」を卒業した子どもの9割以上は、一般的な学校に通うようになっています。

今後も子どもたち一人ひとりに対して正面から向き合い、自信と自立性が根づいた子どもの育成に励みたいですね。

ー最後に読者の方に向けてメッセージをお願いいたします。

嶋田:「フリースクール玄海」をおすすめするのは、大人しく真面目な不登校の男の子です。

「フリースクール玄海」のやり方は特殊であり、すべての子どもに適用するとは思っていません。

しかし、愛情をたくさん受けて育ち、ある意味では純粋で傷つきやすい幼い男の子には合っていると思っています。

そういった子どもは依存心が強く、自己中心的でとても思い込みの強い傾向にあります。

そのような子どもを1年間で元気にするためには、親元を離れての共同生活、そして体を動かすことが最適な方法と考えています。

子どもをひきこもりのままで終わらせたくない、またお父さんお母さん自身も子どもから自立したいとお考えなのであれば、ぜひ「フリースクール玄海」にご相談ください。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました。

■取材協力:NPO法人塩浜学園 フリースクール玄海

坂本 菜緒
この記事を執筆した執筆者
坂本 菜緒

テラコヤプラス by Ameba 執筆者

ピアノ、体操、フィギュアスケートなどの習い事を掛け持ちしつつ、小学3年生から進学塾に通う。高校受験で山手学院高等学校に進学。その後、大学受験で東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に入学。同校の大学院美術研究科を修了し、美術と工芸の専修免許状を所持。2012年から東京都公立小学校にて勤務。2018年5月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。2021年3月から「テラコヤプラス by Ameba」にてエディターとして従事し、保護者の方やお子様にとって、目的にあった最適な習い事に出会える記事作りを目指しています。