学校では、さまざまな分野をまんべんなく学ぶことができます。
しかし、得意なことと苦手なことに大きな偏りのある子どもにとっては、ときに苦痛にもなり得るでしょう。
もしも、お子さんが学校に通うことを難しいと感じているのなら、「理科フリースクール マイム」がおすすめです。
「理科フリースクール マイム」は、不登校を選択した子どもをはじめ、理科やモノづくりを専門として、やりたいことを追求したい子どもたちに開かれているフリースクールです。
今回は、「理科フリースクール マイム」を運営するNPO法人「あなたのくうかんおおいた」代表の小西 忠司さんにお話を伺いました。
「好きなことに特化した子どもに育ってほしい」「子どものペースで学べる環境がほしい」と考えている保護者の方は、ぜひご一読ください。
好きなことを追求できる居場所づくりを目指して
ー本日はよろしくお願いします。はじめに、 NPO法人「あなたのくうかんおおいた」の設立経緯と活動概要について教えてください。
小西 忠司さん(以下、コニーさん):NPO法人「あなたのくうかんおおいた」は、学校になじめない子どもたちの居場所づくりを目指して設立しました。
活動の一貫として力を入れている「理科フリースクール マイム」は、不登校を選択した小学5年生~高校3年生を対象としたフリースクールです。
「理科フリースクール マイム」では、理科やモノづくりに関する学習に力を入れており、理科やプログラミング、モノづくりが好きな子どもたちが、好きなことを追求することができるんですよ。
たとえば、科学実験やプログラミングは、学校の授業では時間が限られているため、どうしても深く突き詰めることはできません。
工作においても、学校ではカリキュラムに沿った決められた作品をつくるよう提示されるケースが多く、みんなとは全く違う作品つくりたいと思ってもできない場合もあります。
そんなふうに、「学校の授業はもの足りない、合わない」「好きなことをとことんやりたい」という子どもたちにとって、好きなことを追求できる土台を用意している場所が、「理科フリースクール マイム」なのです。
「理科フリースクール マイム」では、科学やプログラミングを学べる環境を整えるだけでなく、子どもたちが落ち着ける空間づくりも徹底しました。
たとえば、ほかの場所と区切ってひとりになれるような空間や、好きなときに寝たり休んだりできる空間も用意しています。
ー「あなたのくうかんおおいた」だからこそできることはあるのでしょうか?
コニーさん:私たちは、研究者やものづくり企業との人脈を多く持っており、そういった方々に、子どもたちの学習に協力していただくことがあるんですよ。
たとえば、SONY製品の製造を担当している「ソニー・太陽株式会社」の社員と一緒に、プログラミング学習をすることもありますね。
ほかには、プログラミングに熱心な子どものために大学や高等専門学校で情報工学を教えている先生から、わかりやすい教科書を教えてもらうなど、学習のヒントをいただくこともありました。
今後も、企業との連携の機会を多く設けることで、企業と一緒に子どもの創造性を育てていきたいと考えています。
自由に創造力を育むための空間提供
ー「理科フリースクール マイム」の施設について教えてください。
コニーさん:「理科フリースクール マイム」には、生徒が自由に学習するためのいくつもの場所を用意しています。
まず、モノづくりができる「つくるくうかん」は、工作台や工具といった本格的な道具をひととおり揃えており、木工系のモノづくりや、ロボットや電子回路づくりなど、さまざまな工作が可能です。
いろいろな実験ができる「くらやみのくうかん」は、顕微鏡、マイクロスコープ、パソコンや実験用のソフトを用意していますね。
「くらやみ」という名前のとおり、暗室にすることもできて、レーザー光線を使った実験にも取り組めるんですよ。
「むかうくうかん」は、勉強するためのスペースで、パソコンや机、大型プロジェクター、天井まで届く大きな白板、簡単実験キットや本棚などを用意しています。
使い方は子どもたちによってさまざまで、プログラミングなど、各自で自分がしたいことに取り組むこともあれば、みんなで勉強することもありますね。
そのほか、ネイティブな英会話を学べる機会も設けています。
英会話については、日本でのALT経験がある外国人の友人に協力してもらい、子どもたち、友人、私を含めてLINEを利用して会話をするので、子どもたちはリラックスしながら英語の学習ができます。
ーどのような生徒が集まっているのでしょうか。
コニーさん:「理科フリースクール マイム」には、個性豊かな子どもたちが集まっています。
たとえば、ある中学3年生の生徒は小学生までしか学校に行っていませんが、プログラミングに対する熱意にあふれ、学習スピードが非常に早くて感心します。
また、手先がとても器用なある生徒は、夏合宿で「スイカ割りの棒がほしいね」という話になったときに、「僕が木刀をつくってくる!」と言って、小刀で木を削って立派な剣をつくってくれたこともあるんですよ。
ほかにも、スポーツに取り組む時間に、バスケットボールの上手な子が練習計画をつくってくれたりもします。
知的好奇心をくすぐるイベントが盛りだくさん
ー今後、開催予定のイベントがあれば教えてください。
コニーさん:
まだ準備段階ですが、10⽉ぐらいに「レーザーメイズリアル脱出ゲーム」を予定しています。
「レーザーメイズリアル脱出ゲーム」は、「つくるくうかん」に張り巡らしたレーザー光線をよけながら、時間内に「文系」「理系」「ノンジャンル」のクイズを解きながら、室内から脱出するゲームですね。
アイデアマンの生徒が提案して、ほかのスクール生に参加を呼びかけています。
試作の段階で、科学の本を開いて調べたり、好きなボードゲームからヒントを得たり、理科の実験を組み入れるなどしました。本番が楽しみな企画です。
ほかには、東京で動物ライターをしている方と縁があり、ほかのフリースクールと共同で、動物について学べるイベントの企画
も進めています。
このように、ほかのフリースクールとの共同イベントは、今後も積極的に開催していきたいですね。
それから、定期的にスポーツにふれる機会として「スポーツタイム」というイベントも用意しています。
スクールから徒歩5分程度の近所に公共の体育施設があるため、そちらを利用して毎月バスケットやバドミントン、卓球などさまざまなスポーツに取り組んでいるんですよ。
「自分だけのオリジナルなモノをつくりたい」お子さんにおすすめ
ー今後の展望について教えてください。
コニーさん:今後は、「新しい発想で世の中にないモノを開発できる」、そんな子どもたちを育成していきたいと思います。
しかし、子どもの育成には、企業からの支援も必要不可欠です。企業の方にはNPO法人の企業会員になっていただきたいと願っています。
あるいは、実験教材の提供や工場見学なども子どもたちのモノづくりに対する意欲を高めると思います。
日本のものづくり企業は、「未来の人材である子どもたちの育成に対して、もっと興味をもつ必要がある」と考えているんですよ。
そのために私たちは、 私たちのスクールには「このような子どもがいて、こんなことができるよ、あんなことができるよ」と、これからも情報発信を続けていくつもりです。
ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
コニーさん:「とことん実験したい」「モノをつくりたい」「アッと驚くことをやってみたい」など、毎日わくわくする体験をしたい方は、ぜひ「理科フリースクール マイム」に遊びに来てください。
私自身もそうであったように、「
実験やモノづくりが大、大、大好き!」というお子さんにもおすすめです。
“自由な発想で自分のやりたいことをとことん追求できる”それが「理科フリースクール マイム」なのです。
きっと、自分の居場所が見つかるはずですよ。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。