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化学式とは?一覧表・語呂合わせの覚え方・練習問題付き【中学理科】

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中学2年の理科で習う「化学変化」の分野では、アルファベットで表す「元素記号」を使った「化学式」について学習します。

しかし、初めて見る記号の数々に「いったい何を表しているの?」と苦手意識を抱いている人も多いのではないでしょうか?

化学式(かがくしき)とは、化学物質の成り立ちを原子の記号と数字で表した式のことです。

分子からなる物質を表した化学式を「分子式」と呼びます。

この分子式と化学式は、同じ言い回しとて利用される場合もあるので覚えて置きましょう。

そこで今回は、「化学式」について基礎からじっくり解説します。

覚えにくい元素記号の語呂合わせも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

化学式とは?組成式と構造式についても解説

先述したとおり、化学式(かがくしき)とは、化学物質の成り立ちを原子の記号と数字で表した式のことです。

「原子の記号」は「元素記号」とも呼ばれ、酸素や水素などをアルファベットで表します。

定義だけ聞くと難しいように感じますが、普段の生活の中で当たり前のように存在している水や空気、金属なども化学式で表すことができるのです。

そしてこの化学式は、大きく分けて「組成式」と「構造式」の2種類に分類されます。

ここでは「化学式」の種類を押さえておきましょう。

化学式の種類①組成式

組成式」とは、ある物質に含まれる元素の種類と数の比を表す式のことをいいます。

「化学式」は元素の種類と数を表す式ですので、「比」に注目した「組成式」とはまったく異なります。

化学式と組成式

化学式の種類②構造式

構造式」とは、化合物の原子構造(結合の順序・結合の仕方・立体的な情報)を表した式のことをいいます。

ちなみに「化合物」は2種類以上の元素が結びついた物質のことです。

つまり「構造式」は、化合物がどのように結合しているのかを表した式ということになります。

構造式

分子式

「分子式」とは、分子を化学式で表したものです。

ここで「分子」について少し学びましょう。

「分子」とは、原子が結合してできた物質の最小単位を表しています。

たとえば、空気の中には「酸素」という成分が含まれていますよね。

酸素原子は「O」で表しますが、実際には「O」1つだけでは成り立たず、酸素原子が2つ結合した「O₂」という物質を最小単位としています。

この「O₂」を酸素分子の分子式といいます。

電子式

電子式」とは、元素記号の周りに最も外側の電子だけを表した式のことをいいます。

ただ、これだけでは何をいっているのか分かりにくいですよね。

まずは原子の構造について知っておきましょう。

原子の中心には「原子核」があり、 原子核の周りを「電子」が回っています。

原子核の中には、プラスの電気を帯びた「陽子」と電気を帯びていない「中性子」があります。

原子の中には何がある?
  • 陽子…プラスの電気を帯びた粒
  • 中性子…電気を帯びていない(プラスでもマイナスでもない)粒
  • 原子核…中に陽子があるのでプラスの電気を帯びている
  • 電子…マイナスの電気を帯びた粒
電子式

「電子式」では、このマイナスの電気を帯びた電子のうち、原子の一番外側を回っている電子の数を表します。

「電子式」については高校の化学で詳しく学習しますので、中学では電子式をイメージできれば大丈夫ですよ。

まず化学式を構成する「元素記号」を覚えよう!

化学式では、酸素や水素、鉄などの元素は、それぞれ「O」「H」「Fe」というようにアルファベットで表記されます。

このアルファベットで表したものを「元素記号」といい、それぞれに「原子番号」が割り当てられています。

原子を原子番号の順に並べ、性質の類似した元素が縦に並ぶように配列した表が下に示した「周期表」です。

実に100個以上ある元素。「こんなに覚えるの?」と不安になる方もいるかもしれませんが、すべて覚える必要はありません。

中学では重要な元素記号20個を暗記しておきましょう。

元素記号一覧
元素記号113番の「ニホニウム」を発見したのは、なんと日本人!

埼玉県和光市にある理化学研究所仁科加速器科学研究センターの森田浩介さん率いる研究チームが発見したそうです。(※1)

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(※1)参照元:理化学研究所

元素記号20個の覚え方!語呂合わせが◎

覚えておきたい元素記号20個は以下のとおりです。

  • H(水素)
  • He(ヘリウム)
  • Li(リチウム)
  • Be(ベリリウム)
  • B(ホウ素)
  • C(炭素)
  • N(窒素)
  • O(酸素)
  • F(フッ素)
  • Ne(ネオン)
  • Na(ナトリウム)
  • Mg(マグネシウム)
  • Al(アルミニウム)
  • Si(ケイ素)
  • P(リン)
  • S(硫黄)
  • Cl(塩素)
  • Ar(アルゴン)
  • K(カリウム)
  • Ca(カルシウム)

「こんなにたくさん丸暗記は無理!」という方におすすめなのが、語呂合わせを用いた暗記法です。

20個の元素記号を覚えるために、おすすめの語呂合わせがこちら!

元素記号語呂合わせ
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高校受験に役立つ!覚えておきたい化学式

先ほども少し触れましたが、化学式は物質を元素の記号を数で表したものです。

元素記号と同じく種類が多いので、暗記が苦手という方は重要な化学式だけを効率よく覚えておきましょう。

ここでは、高校入試でも出題されやすい重要な化学式を性質別に紹介していきます。

原子2つが集まって気体になる分子

1種類の原子だけでできている物質を「単体」といいます。

単体の場合、原子の記号は「元素記号」をそのまま用います。

気体か金属かによって分子になるときに必要な原子の数が異なる点を注意しましょう。

気体…2個の原子が結びついて分子になる
  • H₂(水素)
  • O₂(酸素)
  • N₂(窒素)
  • Cl₂(塩素)

気体は原子記号の右下に原子の個数「2」を書くことで分子を表します。

金属…原子1個で分子になる
  • Mg(マグネシウム)
  • Fe(鉄)
  • Cu(銅)
  • Ag(銀)
  • C(炭素)…金属ではないが、例外として原子記号をそのまま書く
  • S(硫黄)…金属ではないが、例外として原子記号をそのまま書く

「金属」は原子1個で分子になるので、元素記号をそのまま書き、数字はつけません

C(炭素)」と「S(硫黄)」は金属ではありませんが、原子1個で分子となる例外として覚えておきましょう。

2種類の原子からなる分子

2種類以上の原子が組み合わさってできる物質を「化合物」といいます。

化合物には、気体と気体から成る物質と、金属と気体から成る物質があります。

まずは呼び方が特殊な化合物を見ていきましょう。

H・N・O・Clだけを組み合わせてできる物質は、使われている原子と化合物になったときの呼び方がまったく異なります。

なかでも重要な物質が「H₂O(水)」と「NH₃(アンモニア)」です。

少し覚えにくいですが、高校受験でも頻出なので暗記しておいてくださいね。

特殊な呼び方の化合物
  • H₂O(水)…水素+酸素=水
  • NH₃(アンモニア)…窒素+水素=アンモニア

次に一般的な化合物を見ていきましょう。

ここでいう一般的とは、「NaCl(塩化ナトリウム)」のように化学式の元素記号を後ろから前に向かって読む呼び方の物質を意味しています。

多くは金属と気体から成る物質ですが、「CO₂(二酸化炭素)」のように気体と気体から成る化合物もあります。

化学式の説明
後ろから前に向かって読む化合物
  • NaCl(塩化ナトリウム)…ナトリウム+塩素
  • MgO(酸化マグネシウム)…マグネシウム+酸素
  • FeS(硫化鉄)…鉄+硫黄
  • CuCl₂(塩化銅)…銅+塩素
  • Ag₂O(酸化銀)…銀+酸素
  • CO₂(二酸化炭素)…炭素+酸素

水中で電離する(=酸・塩基)分子

電離」とは、物質が水に溶け、「陽イオン」と「陰イオン」に分かれることをいいます。

ここで、水溶液の化学変化について少し学習しておきましょう。

原子はもともと電気を帯びていませんが、電子を失ったり受け取ったりすることで電気を帯びるようになります。

このとき、原子が電子を失って+(プラス)の電気を帯びた粒子を「陽イオン」、原子が電子を受け取って-(マイナス)の電気を帯びた粒子を「陰イオン」といいます。

化学式の説明

陽イオンになるか陰イオンになるか(=電子をあげるのか貰うのか)は、原子の種類で決まっています。

イオンを記号で表すときは、原子記号の右上に+か-のどちらかと、移動した電子の数を書きます。

陽イオンの例
  • H⁺(水素イオン)
  • Na⁺(ナトリウムイオン)
  • NH₄⁺(アンモニウムイオン)
  • Cu²⁺(銅イオン)
陰イオンの例
  • OH⁻(水酸化物イオン)
  • Cl⁻(塩化物イオン)
  • NO₃⁻(硝酸イオン)

また、水溶液に電流が流れる物質を「電解質」といい、電解質が水に溶けると結びついていた陰イオンと陽イオンが離れます

化学式の説明

化学式一覧

代表的な化学式を一覧にまとめました。

すべて覚える必要はありませんので、化学式の問題を解くときに見直すなどして活用してくださいね。

化学式物質名
H₂水素
O₂酸素
N₂窒素
Cl₂塩素
I₂ヨウ素
H₂O
H₂O₂過酸化水素
H₂S硫化水素
HFフッ化水素
HCl塩化水素
HBr臭化水素
HIヨウ化水素
CH₃COOH酢酸
H₂CO₃炭酸
HNO₃硝酸
H₂SO₄硫酸
H₃PO₄リン酸
CO₂二酸化炭素
CO一酸化炭素
NO₂二酸化窒素
NO一酸化窒素
SO₂二酸化硫黄
O₃オゾン
NH₃アンモニア
CH₃COONa酢酸ナトリウム
NaCl塩化ナトリウム
KCl塩化カリウム
MgCl₂塩化マグネシウム
CaCl₂塩化カルシウム
BaCl₂塩化バリウム
AlCl₃塩化アルミニウム
NH₄Cl塩化アンモニウム
AgCl塩化銀
ZnCl₂塩化亜鉛
CuCl₂塩化銅(Ⅱ)
CuS硫化銅(Ⅱ)
FeS硫化鉄(Ⅱ)
Na₂S硫化ナトリウム
ZnS硫化亜鉛
CaS硫化カルシウム
CuSO₄硫酸銅(Ⅱ)
FeSO₄硫酸鉄(Ⅱ)
Na₂SO₄
硫酸ナトリウム
K₂SO₄硫酸カリウム
CaSO₄硫酸カルシウム
Cu(NO₃)₂硝酸銅(Ⅱ)
AgNO₃硝酸銀
NaNO₃硝酸ナトリウム
KNO₃硝酸カリウム
Ca(NO₃)₂硝酸カルシウム
Na₂CO₃炭酸ナトリウム
MgCO₃炭酸マグネシウム
CaCO₃炭酸カルシウム
BaCO₃炭酸バリウム
(NH₄)₂CO₃炭酸アンモニウム
NaOH水酸化ナトリウム
KOH水酸化カリウム
Ca(OH)₂水酸化カルシウム
Al(OH)₃水酸化アルミニウム
Ba(OH)₂水酸化バリウム
MgO酸化マグネシウム
CaO酸化カルシウム
Al₂O₃酸化アルミニウム
Fe₂O₃酸化鉄
ZnO酸化亜鉛
CH₄メタン
C₂H₆エタン
C₃H₈プロパン
C₂H₄エチレン
C₃H₆プロピレン
化学式を書く順番は、国際的なルールで決められています。

たとえば、金属と非金属でできている物質の場合、金属が前、非金属は後ろに書きます。

また、非金属のみでできている物質は、「C・P・N・H・S・I・Cl・O」の順です。

実際に化学式の問題を解いてみよう!

代表的な元素記号を暗記し、化学変化の意味が何となくわかってきたら、練習問題に挑戦してみましょう。

例題①鉄と硫黄が化合してできる物質を化学式で書きなさい。

解き方のポイント
  • 鉄と硫黄それぞれの元素記号は何かな?…Fe(鉄)・硫黄(S)
  • 化学式を書く順番は?…金属が前で、非金属が後
  • 化合物の物質名は?…気体名を「~化」に言い換えると「~硫化」、鉄と組み合わせて「硫化鉄」

よって答えは「FeS(硫化鉄)」となります。

中学の理科の授業で、硫黄と鉄粉を混ぜて試験管に入れ、加熱をすると硫化鉄が得られるという実験をおこなうことがあるので、身近に感じる方もいるのではないでしょうか。

実験をしていなくても、上記の解き方のポイントを参考に答えを導き出せるようにしましょう。

例題②マグネシウムを加熱したときにできる白い物質は何ですか?化学式で書きなさい。

解き方のポイント
  • マグネシウムを加熱したときに起こる化学変化は?…酸化(酸素が結合する)
  • マグネシウムと酸素の元素記号は?…Mg(マグネシウム)・O(酸素)
  • 化学式を書く順番は?…金属が前で非金属は後

よって答えは「MgO(酸化鉄)」となります。

定期テストや高校入試では、ただ単に化学式を書かせるのではなく、実験を交えた問題が出題されるケースが多いです。

実験の内容やそこから得られる物質を化学式で書けるようにしておきましょう。

化学式と化学反応式の違い

「化学式」は物質の成り立ちを原子の記号と数で表したものでしたね。

物質そのものの性質を表していた化学式に対し、化学反応式」では他の物質との化学変化の様子を化学式で表します

化学反応式の作り方

式は数学のように右辺と左辺があり、左辺に反応前の物質、右辺に反応後の物質を書くのがルールです。

ただし、右辺と左辺の間は「=」ではなく、右向きの矢印「→」となるので注意しましょう。

ここでは、化学反応式の作り方の手順を一つひとつ確認していきます。

①係数を気にせずに化学反応式を書いてみる

例題:銅(Cu)が酸素(O₂)と結合して酸化銅(CuO)になる化学変化を化学反応式で表してみましょう。

まずは係数を気にせず、化学変化で登場する物質をすべて右辺に、変化した後にできあがった物質を左辺に書きます。

化学式の説明

②左右の原子の数をかぞえる

次に、変化する前と変化した後の原子の数をかぞえます。

化学式の説明

CuとOの数を左右でそれぞれ比べると、Cuは左右で同じ個数ですが、Oは変化前が2個なのに変化後は1個しかないことがわかります。

③化合物の係数をいじる

Oの数のように変化前後で個数が違っているときは、化学式の係数をいじることで数を左右で合わせていきます。

ここでは、化合物は「CuO」ですね。

化学反応式を表すときは、元素記号の右下の数は変えてはいけないので覚えておきましょう。

化学式の説明

④単体の係数をいじる

Oの数を左右ともに2個になるように化合物を2個にすると、今度はCuの数が左右で違ってしまいましたね。

最後に右辺のCuの数を調節して、左右で同じ数になるようにします。

化学式の説明

これで左右ともCuとOの数が等しくなったので、化学反応式の完成です。

例題の答えは、以下になります。

2Cu+O₂→2CuO

化学反応式の問題を解いてみよう!

では、実際に化学変化を化学反応式で表す練習をしていきます。

問題①水素を燃焼させて水を生成するときの化学変化を化学反応式で表しなさい。

「水素を燃焼させる」というのが変化前にあたるので、変化前の物質はH₂(水素)とO₂(酸素)であることがわかります。

また、変化後に生成されるのは水なので、左辺はH₂Oになります。

右辺と左辺にくる物質がわかったら、次は数を調整していきましょう。

化学式の説明

よって答えは、2H₂+O₂→2H₂Oとなります。

問題②水素と窒素を化合させてアンモニアを生成するときの化学反応式を書きなさい。

反応前の物質はH₂(水素)とN₂(窒素)、反応後の物質はNH₃(アンモニア)だということがわかります。

これを使って左辺と右辺を書き、数を調整していきましょう。

化学式の説明

よって答えは、3H₂+N₂→2NH₃となります。

ちなみに、水素と窒素からアンモニアを生成する方法は「ハーバーボッシュ法」と呼ばれ、化学肥料の大量生産を可能にする革命的な発見となりました。

化学式のまとめ

基本となる元素記号の覚え方から、化学式・化学反応式の書き方まで、中学理科で習う内容をご紹介しました。

「やっぱり化学は苦手」と感じてしまった方は、一度にすべてを理解しようとせず、まずは元素記号を覚えるところからスタートしてみましょう。

元素記号さえ覚えておけば、化学式や化学反応式は繰り返し問題を解くことで扱い方に慣れてきます。

学習の途中でわからなくなったときは、この記事を最初から読み、少しずつ化学式をマスターしていきましょう。

化学式をマスターするには、さまざまな問題を解くことが大事です。解けない問題が出てきた際に、質問できる講師がいると心強いですよね!

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坂本 菜緒
この記事を執筆した執筆者
坂本 菜緒

Ameba塾探し 執筆者

ピアノ、体操、フィギュアスケートなどの習い事を掛け持ちしつつ、小学3年生から進学塾に通う。高校受験で山手学院高等学校に進学。その後、大学受験で東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に入学。同校の大学院美術研究科を修了し、美術と工芸の専修免許状を所持。2012年から東京都公立小学校にて勤務。2018年5月に株式会社サイバーエージェントグループ会社である株式会社CyberOwlへ中途入社。2021年3月から「Ameba塾探し」にてエディターとして従事し、保護者の方やお子様にとって、目的にあった最適な習い事に出会える記事作りを目指しています。