文化と歴史を体感できる「伊勢志摩国立公園」の魅力とは?自然体験を通して環境について考える

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有名な「伊勢神宮」をはじめ、古来より守られてきた「神宮宮域林」や、絶景を望める「朝熊山展望台」など、見どころがたくさんある「伊勢志摩国立公園」。

戦後初の国立公園として誕生した背景には、地域の人々の努力と熱意、さらに“自然を守りたい”という強い想いがありました。

「伊勢志摩国立公園」には、美しい景観はもちろんのこと、歴史や文化に触れながら自然の偉大さを感じることのできる、自然体験ツアーや、イベント、アクティビティが充実。

今回は、「伊勢志摩国立公園」の歴史や魅力について、協会事務局長の滋野 峻さんにお話を伺いました。

都会化が進み、自然と触れる機会も減りつつある今。

子どもに自然体験をさせたいと考えている保護者の方、慌ただしい毎日から抜け出して、心安らぐひとときを過ごしたいとお考えの方は、「伊勢志摩国立公園」を訪れてみてはいかがでしょうか。

  1. 見渡す限り絶景が広がる「伊勢志摩国立公園」
  2. 人々の想いで辿りついた“戦争をめぐる国立公園の歴史”
  3. さまざまな自然体験を通して感じてほしい“環境に対する意識”
  4. 素晴らしい「伊勢志摩国立公園」の魅力を伝え続けるために

見渡す限り絶景が広がる「伊勢志摩国立公園」

伊勢志摩国立公園の空から見た全体の景色の画像

ー本日はよろしくお願いします。はじめに、「伊勢志摩国立公園」はどのような公園なのか教えてください。

滋野 峻さん(以下、滋野):「伊勢志摩国立公園」は、三重県の中央部、志摩半島にあります。

伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町と、4つの行政区にまたがって位置しているのが特徴です。

また、「伊勢志摩国立公園」は、内陸部と海岸線、大きくふたつのエリアに分かれています。

ひとつは、特別保護区である、「伊勢神宮の森」を中心とした内陸部のエリア。

もうひとつは、豊富な海産物を採ることができる、入り組んだ「リアス海岸」で有名な海岸線エリアです。

神宮の周囲に広がる「伊勢神宮の森」では、2000年に渡る文化が育まれ、海岸線では今でもずっと海女漁(あまりょう)という独特な漁法が続けられています。

そんな「伊勢志摩国立公園」は、ほかの国立公園と比べて、人の住んでいるエリアが非常に多いのも特色です。

海女さんなどが普通に暮らしていて、96%が民有地になっています。

伊勢志摩の名所エリアが詳しく記載されているイラスト

ー続いて、「伊勢志摩国立公園」の名所や、施設についても教えてください。

滋野:名所というと、伊勢神宮はよく知られていますが、その伊勢神宮を囲む自然林も見どころです。

神宮宮域林(じんぐうきゅういきりん)」と呼ばれていて、環境省によって特別保護区に定められています。

神宮宮域林は、2000年以上に渡る神宮の歴史において、ずっと手つかずのまま保護されている自然林なので、独特の森林生態系が今でも残っているんです。

朝熊山から見た神宮宮域林の画像

ーほかにも、おすすめの名所などはありますか?

滋野:伊勢市にある朝熊山(あさまやま)と、志摩市にある横山展望台はおすすめです。

朝熊山は標高が550mある山で、ここから見渡す神宮宮域林は見事としかいえません。

また、その反対側に目を向けると、足元に鳥羽湾や、伊勢湾が広がります。

さらに、1年のうち数日間だけですが、天気のいい日に限り、夜明けごろに愛知県の渥美半島越しに富士山も観測できます。

それから、朝熊山の頂上に立っている真っ赤な郵便ポストが、インスタ映えすると最近有名になりました。

そこでジャンプしてはカメラのシャッターを押している方の姿をよく見かけますよ。

横山展望台に関しては、環境省による満喫プロジェクトの一貫となり、素晴らしく整備されています。

展望台からは、真珠養殖で有名な英虞湾(あごわん)が見渡せ、伊勢志摩サミットが開催された賢島(かしこじま)を見ることができるビューポイントです。

地元では「朝日のよこやま、夕日のともやま」といわれていますが、その言葉どおり、横山展望台は朝日の素晴らしいところでもあります。

横山展望台から見た景色の画像

ほかにも、絶景といえば、鳥羽市の鳥羽展望台もおすすめです。

パールロード沿いの、ちょうど志摩半島が突き出た角にある展望台なので、なだらかな伊勢湾と、荒々しい太平洋の両方を見渡すことができます。

いずれにしても「伊勢志摩国立公園」は、“どこへ行っても絶景スポット”といえるのではないでしょうか。

人々の想いで辿りついた“戦争をめぐる国立公園の歴史”

神島最初の挨拶の画像

ー「伊勢志摩国立公園」の歴史や、国立公園に指定された経緯について、教えてください。

滋野:「伊勢志摩国立公園」が国立公園として指定を受けた経緯自体もまた、ほかの国立公園とは少し異なります。

国立公園法ができた当時(1931年)、伊勢志摩も指定を受けるために地元の有力者が精力的に活動していました。

ただ、太平洋戦争が勃発(1941年)したのと同時に、その活動は中止になってしまったんですね。

それから戦争が終わって、食べものや、着るものがない、建物も失われてしまったという状況のなか「神宮の森の御用材を使いたい」という声が上がってきました。

さらに、食べものに困った末に、神宮のそばを流れる五十鈴川(いすずがわ)の鯉を捕まえて食べてしまったり、神宮内の神鶏(しんけい)として扱われているチャボを食べてしまったりする人まで出てきた。

そこで事態を重く受け止めた、当時の大宮司(だいぐうじ)と小宮司(しょうぐうじ)が、「ぜひなんとかしてほしい」と国立公園指定の嘆願のため、厚生省へと出向きました。

そして、そのような努力と、地元のみなさんの熱意が伝わり、戦後初めての国立公園として伊勢志摩が指定を受けたんです。

こういった“神宮が関わった国立公園”という意味でも、ほかに類がなく、私は「神様が選んだ国立公園」だと思っています

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さまざまな自然体験を通して感じてほしい“環境に対する意識”

志摩自然学校で観光している画像

ー「伊勢志摩国立公園」では、「エコツアー」というイベントが毎年4回ほどおこなわれているそうですが、こちらはどのようなイベントなのでしょうか?

滋野:エコツアーは、「国立公園をみなさんに知っていただきたい」「理解していただくことで一丸となって国立公園を守っていきたい」という思いで、国立公園協会が主催しているイベントです。

その土地ごとに、詳しいガイドの案内をつけて、観光名所を巡ったり、体験できたりするツアーとなっています。

そういったツアーを「伊勢志摩国立公園」にある4つの行政区にて、それぞれ1回ずつおこなっている形ですね。

たとえば鳥羽市だと、今年も神島(かみじま)で開催されます。

こちらでは海女さんが案内役を務めるのですが、土地をよく知っている方たちなので、毎回参加者からとても好評です。

ーガイドは地元から志願された方にお任せしているのでしょうか?

滋野:はい、そうですね。ただ、エコツアーに限らず、日ごろからそういった体験イベントを担っている方たちなので、安心して任せられます。

ちなみに、鳥羽市では海女さん、志摩市では横山ビジターセンターの事務局長さん、南伊勢町では日ごろから自然体験ツアーを担っている方がそれぞれガイドを務めます。

それから、今年の伊勢市は、二見(ふたみ)でエコツアーを実施するのですが、こちらは私がガイドを務める予定です。

ーエコツアー以外の自然体験やイベントは、ほかにどんなものがあるのでしょうか?

滋野:「伊勢志摩国立公園」では、非常に多くの自然体験や、イベントを実施しています。

海でカヤックに乗れるシーカヤックツアーや、漁師体験、海女体験。無人島探検や、真珠アクセサリー作りといった、普段なかなかできない貴重な体験がたくさんあります。

ただ、いずれも予約制です。事前に公式サイトなどで調べていただいて、興味のある体験を予約してもらえればと思います。

シーカヤックをしている画像

ーそのなかでも、小学生から高校生といった学生が参加できる、人気のイベントがあれば教えてください。

滋野:先ほどご紹介したエコツアーも、学生の参加が可能です。

またそれとは別に、夏休みと冬休みの2シーズン、鳥羽ビジターセンターにて「ちびっこクラフト教室」を開催しています。1シーズンで4~5日間、大体日曜日におこなっていることが多いです。

ちびっこクラフト教室では、海岸に打ちあがった漂着物や貝殻、石ころなどといった自然のものと紙粘土を使って、オリジナルクラフトづくりをします

冬休みシーズンだと、ちょうどクリスマス時期にやるので、クリスマスキャンドルやクリスマス用の小さな置きものなどをつくったりしますね。

作った作品はお持ち帰りいただくのですが、「学校の宿題として使うんだ」というお子さんもいますよ。

親子でクラフト教室を体験している画像

作り方に関しては「こういう風に作りなさい」とは指導しません。自由に、好きなようにつくっていただいています。

つくっていくなかで、海岸に打ちあがったものがどんな経緯で流れ着いたのかなどを考え、環境のことに対する意識が芽生えてくれれば嬉しいなと思っております。

素晴らしい「伊勢志摩国立公園」の魅力を伝え続けるために

子どもたちが鯛の餌やり体験をしている画像

ー伝統ある「伊勢志摩国立公園」の自然を守っていくための考えや、今後の展望についてお聞かせください。

滋野:自然を守っていくには、できるだけたくさんの方に「伊勢志摩国立公園」にお越しいただくことが大切かな、と思っています。

全国の国立公園どこでも同じだと思いますが、どんなところかということを知っていただかないことには、何も始まらないと思うからです。

知ることでそれが理解に繋がり、理解すると好きになる。

そして、好きになれば「守っていこう」という意識が生まれてくると思うんですよね。

ですから、自分の目で見て理解することで、その土地の文化や、自然を感じていただけるような、そんな事業に取り組んでいきたいなと思っています。

また、あまり手を加え過ぎずに、あるがままの伊勢志摩を楽しんでもらいたいと思う一方、自然をただ放置するだけではいけないとも考えているんですよ。

先ほど「横山展望台が整備されて素晴らしくなった」とお伝えしましたが、自然のよさを残すことを大前提としたうえで、魅力を伝え続けるために必要な手は加えていきたいですね。

伊勢古道竜ヶ峠の画像

ー最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いいたします。

滋野:これまで私たち人間は、すごく急ぎ過ぎていたような感じがするんですよね。

たとえば科学技術にしても、文化にしても。

あるいは旅行するときでも、何か慌ただしくいろいろなものを見聞きする旅行が多い気がします。

これからは、みなさんそういうところから少し身を引いて、ゆっくりと歩いてほしいです。

「伊勢志摩国立公園」を訪れた際は、ゆっくりと見て、聞いて、歩いて、のんびりくつろいで過ごしていただけたらなと思っています。

そうすると、今までと違った新しい伊勢志摩が見えてくるのではないでしょうか。

もしかしたら、“新しい人生の歩き方”が見つかるかもしれません。

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!

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■取材協力:一般財団法人 伊勢志摩国立公園協会

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