株式会社ウメソーは、広島市を拠点とする総合保険代理店です。
創業40年を誇る豊富な実績と経験を生かした取り組みとして、お金の知識や大切さを親子で学べる「キッズマネースクール」を開催しています。
仕入れや開店準備、実地販売や売上確認まで、実際のお金の動きを真似したお仕事体験を通して、子どもがお金の大切さを学ぶことができるのが魅力のひとつ。
親子で楽しみながら子どもの金銭教育ができると、地元で人気の企画です。
今回は、株式会社ウメソーの住谷 一幸(すみや かずゆき)さんに、「キッズマネースクール」のプログラム内容や子どもの金銭教育についてお話を伺いました。
幼いうちからお金の知識を養う「キッズマネースクール」
ー本日はよろしくお願いいたします。まず、「キッズマネースクール」とはどのようなセミナーなのでしょうか?
住谷 一幸さん(以下、住谷):「キッズマネースクール」は、4歳から10歳くらいの小さい子どもを対象としたマネーセミナーです。
「子どもの金銭教育を始めるきっかけづくりになるような内容」や、お金に対して興味をもってもらい「今後生活していく上で礎となるような内容」を考えて、スクール形式で楽しく勉強会を実施しています。
ー「お金」について学ぶセミナーを開こうと思ったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
住谷:株式会社ウメソーは、もともと保険代理店なんです。
普段から家庭の懐事情やお金のこと、ファイナンシャルプランニングの形で情報提供をおこなったり、アイデア提供などをしてさまざまな貢献をしてきました。
会社でなにか新しいことに挑戦したいと考えたときに、普段からお金に関することを専門的にやっているので、それを子ども向けになにかできないかと考えたんです。
とくに、子どもたちのお金についての知識や判断力といった「マネーリテラシー」について、意識を向上させていきたいという思いが強かったのがきっかけでした。
ー「キッズマネースクール」では、具体的にどのようなことを学べるのでしょうか?
住谷:小さい子どもの場合、まだお金がなにかを理解できていないことが多いです。
そこで、お金の役割や歴史などついて学びます。
さらに、お金が生まれた背景などを勉強しながら、実際にプログラム内でお金を稼ぐ体験をしてみたりと、楽しく学べる内容になっています。
本物のお金を見せることで子どもが興味を持つ
ー子どもがお金について興味をもてるように、なにか工夫をしているのでしょうか?
住谷:まず、実際に本物のお金を子どもたちに見せています。
子どもは、本物を見ることによって興味を持つことがあると思うので、基本的には現物を用意するんです。
お金を用意する際、あえて1円玉を1,000枚用意することで、千円札と比較し「どちらも同じ千円なんだよ」と子どもに教えています。
そのほかにも、お金について子どもたちに教えるためにさまざまなことをおこなっています。
ー具体的には、どのように金銭教育をおこなっているのでしょうか?
住谷:最初は、クイズを交えながら、夏目漱石さんや板垣退助さんなど「こういうふうに1,000円札の絵柄は変わってきたんだよ」と、これまでのお金の歴史や役割について勉強するんです。
ただ、それだけでは子どもが飽きてしまうので、「うさぎとかめの劇」や「お店屋さんごっこ」をやっています。
そして、そのあとは「実際にお金を稼いでみよう」と、お店屋さんごっこで子どもたちに店長になってもらうんです。
実際にモノを売る体験をすることで、お金が増えて嬉しいという気持ちを学びます。
もちろん、仕入れや開店準備、売上確認もおこなっています。
まだ「何円」っていう概念がなくても、「何枚あるかな」と枚数を数えながら教えたりする内容です。
ー小さい子どもがお金についてそこまで理解できるのでしょうか?
住谷:3~4歳の子どもでもできます。
実は、もともと金銭教育をやろうとしたきっかけというのが、私の娘なんです。
娘が3歳のときにコンビニでお菓子を買ってほしいと言われ、「お父さんお金もっていないから無理だよ」と伝えたところ「携帯で買えばいいじゃん」と言われたんです。
3歳の子どもが「スマホで買って」と言ったことに驚きました。3歳でもキャッシュレス決済をわかっているということが怖いですよね。
なにが怖いかというと、お金がなにかという知識や概念もなく、キャッシュレス決済という言葉も知らないのに、携帯では物を買えると思っているということです。
私たちが幼いころは、お駄賃として現金で100円をもらって、その100円で「なにを買おうかな」と悩んだ経験があると思います。
しかし、いまの子どもの場合、そういう経験ができないのではないかという危機感があるんです。
とくに現代の社会では、インターネット上で買い物するのが当たり前になっており、ネット上には実際のお金が登場しないので、子どもがお金について理解をするタイミングが失われつつあるのではないかと。
そこで、まず「お金とはなにか」という部分を、子どもたちに伝えていかなければならないと考えました。
お小遣いを通じてお金やモノの大切さを学ぶ
ー子どもへのお小遣いは、何歳くらいから渡したらいいのでしょうか?
住谷:子どもにお金の概念ができたら渡してあげたほうがいいと思います。
子どもが小さくても、少しでも早く渡してあげて、失敗をさせてあげるべきです。
大人になってから失敗をするよりも、小さい子どもの失敗ならかわいいものですよね。
そもそもそれは失敗ではなく、その経験を通して「こうやったらうまくいくんだよ」という学ぶきっかけにしてあげてほしいです。
たとえば、私の家では4歳の子どもに1,000円のお小遣い渡しています。
ただ、その1,000円には弟の分も含めていて、「兄弟で1,000円を遣ってね」と言って渡しています。
そうすることで、お金の価値基準を作ることができて、人に遣うお金があるということを学ぶ教育にもなります。
最初は10日くらいで全部遣い切ってしまっていたのですが、遣ったらなくなるということを理解しました。
最近では貯めるということを学び、欲しいお菓子を我慢している姿も見られます。
ーなにか目的があってお金を貯めようとしているのでしょうか?
住谷:母の日に、1本500円もするカーネーションをお小遣いで買っていたんです。
お小遣いの半分を使ってプレゼントを買ったと知ったときは、母親が本当に驚いて感動していました。
お小遣いをあげたことで、お金の「遣い方」を学ぶだけではなく、お金の「価値」も学んだのかもしれません。
お金を自分のためにだけ遣うのではなく、人のためにお金を遣うということを知ったのでしょう。
もしこれが200円のお小遣いだった場合、きっと子どもはこのようなお金の遣い方は学べなかったと思います。
子どもの金銭教育をおこなうことが社会貢献に繋がる
ーセミナーの参加条件や料金、定員など詳しく教えていただけますでしょうか?
住谷:参加条件は、4歳くらいから10歳くらいまでの子どもです。
本当は20人くらいでやると一番盛り上がるのですが、いまはコロナ禍ということもあり、定員は多くても10人にしています。
料金は無料です。
ー今後の展望や新しい取り組みの予定などがあれば教えてください。
住谷:まだ想像の段階ですが、高学年向けのカリキュラムで、外国為替や投資についてスクールを開催するのも面白いな考えています。
株式投資というものを、中学生や高校生にアプローチしていけたらいいですね。
ー最後に、読者の方にメッセージがあればお願いします。
住谷:いまの大人の私たちは、お金についての知識を日常生活で学んできました。
しかし、社会が発展して情報が複雑化してきたことによって、生きていくうえで当たり前のように使っていたものを学ぶ機会が少なくなってきています。
「キッズマネースクール」なら一から学ぶことができるので、ぜひ気軽にご参加ください。
ー本日は貴重なお話をしていただきまして、ありがとうございました!
■取材協力:株式会社ウメソー「キッズマネースクール」