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企業で役立つ会計知識!簿記の資格について「資格の学校TAC」の講師にインタビュー

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学生のなかには、将来の就職活動や実際に働くときのことを考えた際、就職に役立つ資格を取りたいと考える人や、やりたい仕事のために前もって資格を取りたいと考える人がいます。

資格を取得することは就活に有利なだけではなく、社会人として必要な知識を身につけることもできるため、学生のうちから資格の勉強をしておくことは将来的にも有効です。

とくに資格のなかでも、ビジネスシーンで知識を活かせる資格を持っていると就職や転職などの際、多くの企業で役立てることができます。

そこで今回は、ビジネスシーンで役に立つ会計知識のひとつとして「簿記」の資格を紹介します。

簿記は、企業のお金の流れを正確に管理するための技術であり、企業の経済活動において重要とされている知識です。

簿記の資格はどのようなところで役立つのか、簿記検定の種類や違い、検定に合格しやすい人の特徴などを「資格の学校TAC」で簿記検定講座の講師室長をつとめる足立 篤保(あだち あつお)さんにお話を伺いました。

簿記は500年以上の歴史がある

資格の学校TAC
―本日はよろしくお願いいたします。早速ですが「簿記」とはどういったものなのでしょうか?

足立 篤保さん(以下、足立):
簿記とは、会社がおこなっている経済活動を、帳簿と呼ばれる特殊なノートに記録し、決算書としてまとめるための一連の手続きや知識・技術などのことです。

簿記という言葉は、会社の取引やお金の出入りを記録するために使用している帳簿の「簿」という字と、記録の「記」という字を組み合わせた言葉です。

この言葉は、福沢諭吉がアメリカの簿記教科書を持って帰ってきて、帳簿記録のことを「簿記」と略したことが始まりとされています。

また、500年以上前の15世紀にイタリアで出版された教科書が、世界で最初に出版された簿記の教科書と言われています。

簿記は、お金のやり取りを記録する方法として発達した学問とも言われており
、現在までの500年で内容も練られているため、システムの完成度が非常に高くなっています。

そのため、簿記は法改正等による内容の変更がないかぎり、学んだ知識はずっと使える学問です。

―学生が簿記を取得することは、おすすめなのでしょうか?

足立:
企業で働く際に、企業の財政状態や経営成績の把握、商品売買の計算といったような、会計や簿記の知識を基にした考え方を持つことは重要です。

実際に、入社してから簿記の3級を取得することを新入社員に指示する企業もあります。また、警察官や県庁職員といった簿記の資格が一見必要でないと思われる職種の人でも簿記を取得していたりと、特定の業種だけではなく、簿記はさまざまな仕事で活用できる知識といえます。

そのため、簿記は学生が将来、社会に出た時に役立つ学問であり、志望業種に関わらず身につけておいて損がない知識なので、学生のうちから学ぶことをおすすめします。

―簿記を学ぶことはどれくらい難しいのでしょうか?

足立:
簿記の導入部分については独特な記録方法を用いるため、戸惑ってしまい難しく感じてしまうこともあると思います。しかし、手を動かしながら勉強していくうちに、次第に全体がわかってきます。

数学の場合、基礎がわかっていないと先がわからないことがありますが、簿記の場合は最初よくわからなくても、学習を続けているうちに段々と理解が深まっていく面白さがあります

簿記検定3級・2級・1級で身につく知識

資格の学校TAC
―簿記検定3級・2級・1級について、それぞれどのような内容でどういった違いがあるのでしょうか?

足立:
簿記は多くの団体が試験を実施しており、TACでは日本商工会議所が主催している簿記検定の合格を目指し、講義をしています。

3級は、小規模の株式会社を対象とした会計システムを学ぶ内容となっており、企業における日常的な業務は3級の知識があれば問題なくこなすことができます。

たとえば、3級で学習するのは「商業簿記」という領域です。企業がお金を出してモノを仕入れてきて、仕入れた金額に利益を上乗せして
お客様に販売することで、儲けを出すという一連の流れを記録する方法として簿記の基礎を学びます。

2級になると、商業簿記に「工業簿記」という科目が加わります。いわゆる原価計算です。商業簿記に関しては、たとえば諸外国との取引をするにあたって、外国の通貨を日本の通貨に直して記録・計算する方法など、3級で学んだ知識をレベルアップしていく内容となっています。

そして、新しく加わる工業簿記は、製造業をベースに学習を進めます。たとえば、製造業の場合、材料を仕入れ、電気・ガス、人件費といった費用をかけ、製品を完成させて販売します。

このときに、製品を作るためにどれくらい費用がかかったのか計算できなければ、作った製品をいくらで販売すべきかも決まりません。
そのため、作った製品にどれだけ費用をかけたかを計算するために学習するのが原価計算を含む工業簿記です。

TACで指導する際に、「製造業で働くわけではないから工業簿記は必要ない」といった声を聞くことがありますが、製造業に限らずどんな業界であっても、何をするにも必ず労力や人件費などのコストがかかるので、そのコストを回収したうえで利益をあげていかなければなりません

そのためには、原価計算を含む工業簿記によりコスト意識を身につけることが必要です。

そして1級では、大企業を対象とした、会計基準や会社法、経営管理や経営分析などが学習内容に入ってくるため、2級よりさらにレベルアップした内容になります。

たとえば、「次の年、どういった計画に基づき、どういった流れでモノを作り販売していけば、目標とする利益を得られるか」といったことや「市場のキャパシティを分析・把握し、それを考慮したうえでどのように事業を展開していくのがベストか」といった経営管理や経営の分析といった意思決定に関することまで学習します。

高校や大学の授業と専門学校で学ぶ簿記の違いとは

資格の学校TAC
―簿記の資格を取得したい場合、学校の授業でも学べるのでしょうか?それとも簿記の専門学校や専門塾で学んだ方がいいのでしょうか?

足立:
商業高校や商業科のある高校で学ぶ授業内容であれば、3級あたりは対処できると思います。ただ、学校の授業内容が頭に入っていたとしても、大学入試などと同様に簿記の検定試験には、簿記検定用の対策やトレーニングが必要です。

商業高校では、簿記部があったり検定試験に向けた特別講義をおこなっていたりと、検定試験に合格するための対策をしている学校もあります。しかし2級や1級の合格を目指すのであれば、授業以外にも簿記検定用の特別講座を受けた方がいいと思います。

大学の場合、簿記の科目はありますが、検定試験に合格するための対策などを授業内で学べるわけではないので、やはり検定試験対策が別に必要です。

最近では多くの大学で、就職に有利という理由で簿記の資格取得を推奨している動きがあって、夕方などの通常授業以外の時間帯に検定試験のための特別講座をおこなうなどの対応をしているのが実情です。

将来的なことを考え簿記の資格を取得したいと思っているのに、身近に特別講座等を受講できる環境がないのであれば、授業内で検定試験のための対策をしっかりおこなっているスクールで学ぶのが一番だと思います。
資格取得のための検定試験を授業外で学ぶ手段として「資格の学校TAC」がおすすめです。資格の学校TACは、関東近郊をはじめ、全国各地に多数校舎を展開中。

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TAC独自の学習指導の取り組み

資格の学校TAC
―TACで簿記を指導する際、具体的な勉強量や時間はどのようになっているのでしょうか?

足立:
学習は人によって向き不向きがあるため一概には言えませんが、TACでは受講生が講義を受けた時間と同じ時間分の「手を動かす復習時間」が必要と考えています。

そのため、日商簿記検定3級の場合、TACの講義は試験前の答案練習と合わせて50時間ほどの学習量があるため、復習時間は50時間となり、合計約100時間の学習量になります。

2級では、講義と答案練習で100時間、個人の復習で100時間の学習量となるので、合計約200時間ほど必要かと思います。

そして、1級になると合計500~600時間は必要です。1級取得を目指して勉強するとなると、大学生の場合はアルバイトやサークル活動をしながら楽しい学生生活を送るというのは、おそらく無理なのではないでしょうか。

簿記検定1級を取得するためには、それくらいの覚悟や決意が必要ということです。

―TACの学習指導には、どのような強みがあるのでしょうか?

足立:
TACでは、通学して講義を受講する学習形式や、施設内にあるビデオブースを使用して動画を見ながら学ぶ学習法、さらに、オンライン上での通信講義や自宅でDVDを見ながら学習するといったさまざまな学習スタイルを用意しています。

学習指導において、通常の講義はもちろん、試験直前におこなう答案練習がTACの腕の見せ所です。答案練習では、過去に試験で出題された問題や問題作成者の癖や性格を分析し、次の試験に出題されるであろう予想問題を準備しています。

答案練習の問題は1人の講師の偏った分析にならないように、何人もの講師が集まり意見を出し合いながら作成しています。予想パターンは1つだけではなく複数のパターンを用意しているので、検定試験では毎回いくつかの類似問題が出題されています

そのため、試験前にきちんと問題演習をすれば、試験では予想問題と似た問題が多く出題されているため、問題が解きやすくなり高得点を狙えます。

この独自の分析や答案練習は、TACが簿記の指導で積み上げてきた長年の指導経験があるからこそできる強みのひとつです。

資格の学校TAC
―TACで指導している講師には、どのような特徴があるのでしょうか?

足立:
TACでは、カリキュラムは統一ですが、あえて講師全員が同じ講義をやろうとはしていません。検定試験合格という最終的な着地点は一緒ですが、そこへもっていくプロセスは講師ごとにさまざまな独自の指導をおこなっています。

TACの講師は受験のプロであり、日商簿記検定の合格はもちろん、税理士の資格を持っている講師や会計士の資格を持ち監査業務をおこないながら教壇に立ち指導している講師もいます。

そのため、講師一人ひとりが簿記検定合格の経験を持っているからこそ、講師それぞれの経験に基づいた質の高い指導をすることができ、全員が同じ講義方法ではなくても受講生を簿記検定合格へと導くことができるのです。

―TACの講師の方々は、勉強に悩んでいる生徒のメンタルケアなどはおこなっているのでしょうか?

足立:
講師によって方法はさまざまですが、講義中や空き時間など生徒に声をかける講師は多いと思います。教壇に立ちながら質問があるかどうかを受講生に聞いても、なかなか手を挙げて質問してくれません。

タイミングを見ながら受講生一人ひとりに丁寧に声をかけていくことで、「実はここがわかりません」「成績に伸び悩んでいます」といった受講生の質問や悩みを聞くことができます。そのようにして、受講生の状況を聞いてからアドバイスやケアをしています。

簿記検定に合格しやすい人の特徴

資格の学校TAC
―簿記の検定試験で合格しやすい人には、なにか特徴があるのでしょうか?

足立:簿記の検定試験で合格しやすい人の特徴は、まず素直な人
です。素直な人は学習したことの吸収が早く、成績が伸びやすいです。そして、素直な人は講師の指導を肯定的に捉えることができるので、何事も前向きに学ぼうとする姿勢が学力に大きく影響していると思います。

これは簿記に限らず勉強をするすべての人に言えることだと思いますが、学習する内容を疑って否定的に捉えてしまうと、問題を理解するスピードも遅くなってしまうため、どうしても成績が伸びにくくなってしまいます。

また、答案練習の際に、自分自身の力を冷静に分析できるかどうかも大きく関係します

簿記の学習は、最初はだれもが点数をとれない段階からスタートします。少しずつ学力をつけていくなかで、つまずいたときに
自分の学力をしっかり分析し、自分に何が足りないかを理解しながら勉強できる人は、どんどん成績が伸びていきます。

自己分析がしっかりできる人は学習内容の理解が早く、試験にも事前に対策をして取り組むことができるため、合格しやすいといえるでしょう。

―最後に、これから簿記の資格を取得しようとしている人、取得しようか検討している人へのメッセージがあればお願いいたします。

足立:
簿記は、特に学生のうちは残念ながらマイナーな学問です。しかし、一般的にはあまり触れることのない学問なので、やり始めてみると「こういう学問があるのか」と新鮮に学ぶことができます。

簿記のような少し毛色の違う学問に触れることで、理解がどんどんと深まっていく楽しさを味わうことができると思います。

最初から検定試験合格を目指すのではなく、簿記の世界を少し覗いてみるといったところから始めてみてもいいかもしれません。

簿記の勉強は、業界に関わらずどんな人にも役立つ知識でもあるため、難しく考え過ぎず、自分に必要な知識なのだと思いながら学ぶといいのではないでしょうか。

もし簿記に興味を持っていただけたのならば、せっかくなのでぜひ一歩踏み出してみてください。今はインターネットでも体験講義を見ることができます。簿記はハマる人はハマる学問なので、気軽に覗いてみてほしいです。

この機会にぜひ簿記を学んでいただけたら嬉しいです。

ー本日はお時間をいただきありがとうございました!

■取材協力
資格の学校TAC
資格の学校TAC 「簿記検定講座」
工藤 智也
この記事を執筆した執筆者
工藤 智也

Ameba塾探し 執筆者

「Ameba塾探し」の編集兼ライター。子どものころは勉強が苦手で、好きな教科と嫌いな教科でテストの点数が極端に違ったタイプ。国語が好きで、本ばかり読んでいた学生時代。中学校で塾に通い、その時に初めて塾で勉強すると成績が伸びることを実感。苦手な数学の成績が上がったことは、勉強に対する考え方が変わった良いきっかけに。この経験を活かし、勉強することが苦手な人が、少しでも勉強を好きになり前向きな塾選びができるようなサイトを目指します。